2020年4月7日

日経XTECHより掲載

 

建築の専門誌の日経アーキテクチャーに武漢の新型コロナウィルス専門の病院の記事が載っていました。

ご存知の方も多いと思いますが、武漢でコロナが感染拡大した時に、延べ面積3万4000㎡、ベッド数1000床もの病院「火神山医院」をわずか10日で完成させてしまいました。

 

建築に携わるものとしては、これだけの施設を10日とは、もう驚異的なスピードで、冗談としか思えませんでした。

既製のシステム建築だろうとは思いましたが、それにしても基礎工事、建て方、設備工事、備品搬入など考えても、とても信じられません。

 

日経アーキテクチャーでは、同様の工事が日本でも可能かという興味深い記事でした。

結論としては、「病院を突貫で建設すること自体は可能だが、物資調達や運送ルートの確保など膨大な要件をまとめて ”絵をかける担当者”が欠かせない。国の強権を発動してヒトやモノを動かせる中国だからこそできた」書いてありました。

 

僕も全く同感ですが、それにしてもこの工事の担当者はとんでもなく優秀だと思います。

いかにシステム建築で簡略化された工事とはいっても、とんでもない数の人間、重機が24時間稼働し、とんでもない量の資材が絶えず搬入されるとなると、その段取りたるはすごいことになります。

 

むかし、商業ビルの内装の改装を2日でやるという設計をしましたが、この場合でも教科書通りの施工ではとても間に合いません。

足場を組んで、下では床仕上げ、上では天井仕上げ、そして横では壁仕上げが同時進行で進みます。

ここで重要なのが、先を見越した段取りになってきます。

 

普通はこのような工事では、職人さんが殺気立って、あちこちでトラブルになりがちです。

これは一重に現場を取り仕切る監督の能力に依ります。

 

しかし、この工事の時の監督はとても優秀で、各職人さんがストレスなく工事ができるように、先を見越した段取りをしていました。

その結果、短工期にもかかわらず、とても和やかなまま、工事が完了しました。

 

この工事を目の当たりにした時、段取りによって、こんなにも違うものかとすごく感心したものです。

 

ましてや、武漢のこの巨大な病院、見事に完成させた担当者の能力には本当に驚きます。

 

 

 

 

 

Categorised in: