13:監理って何?

2019年11月15日

今回は「監理」について考えてみます。

建築士の仕事は「設計・監理」というものですが、「設計」とはこれまで書いてきたように設計図を書くことです。

そしてもう一つの業務に「監理」があります。

 

よく、「監督」と間違えていらっしゃる方がいますが、「監督」は工事現場において工事指導とか、工程の管理、安全管理など幅広く工事を管理する責任者のことで、一般的には施工会社の方がやる業務です。

 

設計者が行うのは、「監督」ではなく、「監理」なのです。

 

そして「監理」には、「工事監理」と一般的に「監理」と呼ばれる業務のふたつがあります。

ちょっとややこしいですよね。

 

「工事監理」というのは、建築士法にこのように書いてあります。

 

「その者に責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること」

そして

「設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない」

です。

 

要は「工事監理」は設計図書を中心にして、間違いがないか確認していくものですね。

 

それに対し、もう一つの「監理」は、請負代金内訳書の検討、工程表の検討、工事と工事の請負契約書との照合、検査の立ち合い、工事費支払いの審査等々、今度は工事そのものであったり、工事施工者に対して、もう少し幅広く行う業務です。

 

言葉で書くと、何やら難しそうですが、建築というのは、いろいろな職種が力を合わせて一品生産でかつ一発勝負で造りあげていくわけですから、工事に間違いがないように施工者の目と監理者の目で、注意深く検討し、協力しあって造っていくということです。

 

また、いくら設計図を書いても全て網羅することは出来ませんので、工事をしていく中で、図面でわかりづらいこと、図面に表れてないこと、図面通りにいかないことなど様々な問題が出てきます。

 

こうした時に、どう判断するかで、建物の出来が左右されますし、一本筋の通った建築になるかどうかにも影響してくると思います。

 

監理とは、工事中に発生する様々な問題の中で、思いを込めて設計した建物が当初のイメージどおり、または考えのとおりにできるように、必死になってささえていくような業務のような気がします。

 

ちょっと気を許すと、図面からそれていってしまいそうになるんですね。

ここが建築の難しいところですし、また面白いところなのかもしれませんが、監理の重要なところでもあるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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