28:二世帯住宅 3つの「型」とその「評価」

2020年5月18日

今回のコラムのテーマは

 

二世帯住宅「型」とその「評価です。

 

 

昨今、二世帯住宅が注目されています。

 

2000年以降から共稼ぎ世帯が増え続け、今では専業主婦世帯を大きく上回っています。

 

そんな中で、共稼ぎの忙しい子世帯にとっては、親世帯に「育児協力」という形でサポートがお願いできます。

そして、親世帯にしてみれば、孫と楽しく交流ができ、さらには将来に対する不安にも備えることができるため、両者にとってこの二世帯住宅はとても良い解決方法なのです。

 

今回はそんな二世帯住宅について、考えてみたいと思います。

 

まず、二世帯住宅には下記の通り、3つの「型」があります。

 

 

1.部分共有型

 

それぞれの世帯の居住スペースを確保しながら、リビング、キッチンあるいは玄関などの一部を共有するタイプ

 

 

2.完全同居型

 

二世帯が同じ居住スペースで生活するタイプ

 

 

3.完全分離型

 

二世帯が玄関から居室まで完全に分離されているタイプ

 

 

各々メリット、デメリットがあります。

これからご説明しますので、どのタイプが御自身に合っているかを考えてみてください。


 

 

 

二世帯住宅のメリットは何?

 

 

実は僕の家も2世帯住宅でした。

全てが独立している、いわゆる「完全分離型」ですが、扉1枚で玄関がつながるという設計です。

 

しかし、扉は常時開いていましたので、実際のところは玄関を共有した、「部分共有型」ともいえますが、それほどストレスもなく生活できました。

 

しかしながら、子世帯と親世帯が一緒に住むのが二世帯住宅ですが、世代の違う家族が一緒に住むわけですから、いい面、悪い面、様々な問題が考えられます。

 

まずは二世帯住宅のメリットについて、みてみましょう。

 

 

・働き盛りの忙しい子世帯。親世帯のちょっとした協力が助かる。

 

特に子世帯が共稼ぎである場合、親世帯が子守、あるいは子供との留守番、塾への送迎、料理の手助けなど、ちょっとした手伝いをしてくれるとずいぶん助かります。

 

 

・幅広い世代の大人にかわいがられて、大人数での楽しい生活、孫は感性豊かに育つ。

 

子供は父母から、そして祖父母からたっぷり愛情を受けて育ち、お誕生日など家族の行事も大人数で楽しめます。また、世代間の価値観の違いもあって、様々な刺激をもらって、感性豊かな子供に育つことでしょう。

 

 

・親世帯が高齢になたっとき、子世帯が近くにいるので、お互いになにかと安心。

 

親世帯はいずれ高齢になります。認知症の問題、あるいは体が不自由になったときなど、遠く離れていると心配がつきません。そんなとき、お互いが近くにいるということは、親世帯にとっては安心感があり、子世帯にとっても親の状況確認がいつもできるという点で安心感があります。

 

 

・土地の相続税の80%の減額。

 

相続という問題もいずれ発生してきます。

相続税は2015年に改正があり、次のように厳しくなりました。

 

【改正前】 基礎控除額 = 5,000万円 + 1,000万円 X 法定相続人の数

【改正後】 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 X 法定相続人の数

 

例えば、父親が亡くなり、母親と子供一人が相続する場合、改正前なら基礎控除額は7,000万円でした。これが改正後になると4,200万円となります。

 

ここで、もし、課税対象相続財産が6,000万円であった場合、改正前なら相続税はかかりませんでしたが、改正後なら6000万円ー4200万円で1,800万円に対して課税されることになってしまいます。

 

しかし、この改正では緩和もあり、それが「小規模宅地等の特例」です。

 

これは簡単にいうと、被相続人と一緒に住んでいた土地を相続した場合は、土地の面積が330㎡までは80%減額するというものです。

 

二世帯住宅であればこの適用を受けることができます。

 

例えば、1億円の土地であれば、80%減額した2000万円に課税されることになります。

 

先ほどの家族の場合、「小規模宅地の特例」を使わなければ1億ー4200万円で5800万円に課税されます。

 

これが特例を使うと相続の課税対象額が2,000万円となりますから、基礎控除額以下となり無税となるわけです。

 

このように二世帯住宅には税制上の大きなメリットもあります。

 

但し、注意点としては、二世帯住宅の建物を登記する際に、「区分登記」してはいけません

 

親の単独名義が、共有名義にしておく必要がります。

 

この点だけ要注意ですね。

 

 

さて、次はデメリットについてです。

 

 

 

 

二世帯住宅のデメリットは何?

 

 

 

・生活時間・生活習慣の違いによるトラブルの可能性

 

世代の異なる二世帯が同居するため、食事、入浴、就寝・起床の時間の違い、また掃除、洗濯などの生活習慣の違いにより、ストレスを感じることがあり、場合によってはトラブルに発展する可能性もあり得ます。

 

食事メニューの好みの違い、来客の頻度など、いろいろありそうですね。

 

 

・お互いの気遣いによるストレス

 

 

親世帯が奥さん方の場合は、夫が気を使い、夫方の場合は、奥さんが気を使ってしまい、ストレスを感じることがあります。

 

また、親世帯は親世帯で子世帯に気を使うことでしょう。

 

 

・プライバシーの確保がしにくい

 

共有スペースが多いほど、世帯間のプライバシーの確保がしにくくなります。

 

 

 

・親世帯が亡くなったあとの親スペースはどうする?

 

 

親世帯が亡くなった場合、その後の親世帯のスペースをどうするかも考えておく必要があります。

 

二世帯住宅の造り方にもよりますが、いくつか考えられます。

 

1)そのまま使うケース

 

2)子世帯が親世帯に移り、再び2世帯住宅として使うケース

 

3)親世帯の住居を賃貸するケース

 

4)二世帯住宅を売却して、程よいスペースの家に住み直す

 

 

などです。

 

後々のことまで考えておく必要がありそうですね。

 

ここまで、一般的な二世帯住宅のメリット、デメリットについてみてきました。

 

 

それでは、はじめにお話しました、二世帯住宅の3つの型のそれぞれについて考えてみたいと思います。

 

比較しやすいように表にまとめてみました。

 

この表では、各型における建築コストとランニングコストについても簡単にまとめてあります。

 

また、あえて◎、◯、△で評価しましたが、これは造り方によって、評価は全く変わりますので、ほんの参考程度にみてください。

 

 

二世帯住宅の型別比較表

 

 

 

 

二世帯住宅には様々なメリット、デメリットがありますが、お互いにとってどの型が最も適しているか、よく話し合ってみてください。

いろんな二世帯住宅があると思います。

 

まず、理想と思える生活スタイルを思い描くことが大切ですね。

 

 

 

 

 

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