9坪で暮らす工夫|寝室は小上がり和室にして「収納」と「くつろぎ」を兼ねる

前回のブログでは、9坪という限られた住まいの中で、キッチンを「コックピット化」することで、効率よく使える空間にする考え方をご紹介しました。

コンパクトな住まいでは、単に広さを削るのではなく、
一つの空間に複数の役割を持たせることが重要になります。

そこで今回考えたいのが「寝室」です。

一般的な住宅では、寝室は“寝るだけの部屋”として確保されますが、9坪という面積では、その考え方ではすぐに行き詰まってしまいます。

そこで有効なのが、
小上がりの和室として寝室をつくり、収納だけでなく、居間としての役割も兼ねる方法です。

夜は寝室として使い、日中は新聞を読んだり、昼寝をしたりといった、くつろぎの場として過ごす。
さらに、小上がりの下には収納を設けることで、「しまう場所」も同時に確保する。

「寝る」「くつろぐ」「しまう」という機能を一つに重ねることで、限られた空間でも、暮らしに無理がなく、むしろ豊かさを感じられる住まいになります。

今回は、そんなコンパクト住宅ならではの寝室の考え方について、具体的にご紹介します。

目次

9坪で暮らす工夫|寝室は小上がり和室にして「収納」と「くつろぎ」を兼ねる

9坪では寝室を分けると空間に無理が生じる

9坪という限られた面積で住まいを計画する場合、一般的なように「寝室を独立させる」前提で考えると、空間全体に無理が生じます。

ダイビングやキッチン、水まわりに加えて寝室を個室として確保すると、それぞれの面積が中途半端になり、どの空間もゆとりを感じにくくなります。

特に問題になるのが、寝室の使われ方です。

寝室は滞在時間自体は長いものの、寝るだけで日中はほとんど使われない空間です。
この“使用時間に対して占有面積が大きい空間”を独立させることは、コンパクトな住まいにおいては合理的とは言えません。

つまり9坪という条件では、
「用途ごとに部屋を分ける」という考え方自体を見直す必要があります。


小上がりの和室として寝る・くつろぐを一体化する

この問題に対しては、寝る場所を独立させるのではなく、
他の用途と一体化させることで空間効率を高めるという考え方が有効です。

その具体的な解決方法が、小上がりの和室です。

ベッドを前提とせず、布団で寝る計画とすることで、日中はフラットなスペースとして活用でき、夜間のみ寝室として機能させることができます。

さらに、小上がりとすることで空間に緩やかな領域分けが生まれ、完全に仕切らなくても「場所の性格」をつくることが可能になります。

また、床に近い生活は視線の高さが抑えられるため、コンパクトな空間でも広がりを感じやすくなるという効果もあります。

このように、
「寝る」と「くつろぐ」を一体化することで、限られた面積の中でも無理のない空間構成が成立します。


小上がり下を収納とすることで空間効率をさらに高める

さらに、この小上がりの下部を収納として活用することで、空間の効率はより高まります。

布団や季節物、使用頻度の低いものをまとめて収納できるため、別途収納家具を設ける必要がなくなります。

家具が減ることで室内の見通しが良くなり、視覚的な広がりも確保しやすくなります。
同じ面積であっても、空間の使い方次第で体感的な広さは大きく変わります。

また、収納場所をあらかじめ計画に組み込むことで、物の置き場が明確になり、生活の秩序も保ちやすくなります。

「寝る」「くつろぐ」「収納する」という機能を一体化することで、
限られた空間でも無駄のない、合理的な住まいが実現できます。

それでは具体的にみていきましょう。


実際の計画案

平面図

                       庭

9坪という狭い家ですから、寝室といえどもドアで区画などはしません。

空間的な一体感を損なわないように、押入れ・ワードローブで緩やかに区切ります。

かつ、小上がりにすることで、空間的に領域を感じるようにします。

畳の部屋ですから、用途は自由、昼間はくつろぎの空間として、活用します。

庭に面した南側の窓から、日も入り、リラックスできる部屋となっています。

畳は半畳タイプとして、X印の部分は床下収納として利用します。

断面図

小上がりを活用した収納についてみてみます。

小上がりは、下図のように30センチの段差となっています。

この段差を利用して、床下収納を設けるわけですが、まず入り口部分は引き出し式の収納として利用します。

平面図でX印の部分の床下収納は下図のようになっています。

厚さ30mmの半畳の畳を持ち上げ、床板を外すと大きな収納スペースとなっています。

主に季節ものの衣類の収納として利用します。

完成イメージ

出来上がりのイメージはこんな感じです。

狭い空間を区切らないように、極力一体感を持ちつつ、緩やかに領域を分けています。

Screenshot

このイメージパースの中で、窓の横に変わった棚がありますが、これは寝室として使うための押入れと、クローゼットです。

特に押入れについては、いろいろ工夫しました。

次回のブログでは、収納は「量」ではなく「配置」で考えるというテーマで、お話しします。

まとめ

コンパクトな住まいでは、「部屋を用途ごとに分ける」従来の考え方では対応しきれない場面が出てきます。

そのような場合は、用途を整理し、優先順位を明確にしたうえで、
機能を重ねていく設計が重要になります。

今回のように、小上がりの和室として寝る場所を計画し、さらに収納機能も組み込むことで、空間を無駄なく使いながら、日常の過ごしやすさも確保することができます。

限られた面積の中でこそ、設計の考え方が暮らしの質に直結します。

だからこそ、「どう分けるか」ではなく、
ひとつの空間の中で、どう役割を重ねていくかが大切だと考えています。

コンパクトな住まいほど、間取りの考え方ひとつで暮らしやすさは大きく変わります。

広さに余裕がある場合は、多少無理のある計画でも成立してしまうことがありますが、限られた面積の中では、そうはいきません。
どの機能を優先し、どのように空間を整理するかによって、日々の快適さに大きな差が生まれます。

・コンパクトでも快適に暮らせる家にしたい
・無駄のない間取りを考えたい
・自分たちの暮らしに合った住まいを一から整理したい

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

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