12:プロポーションとスケール感について

2019年11月11日

今回は少しだけマニアックなお話です。

コラム11で設計図面ってどんなことを書いているのかについて書きました。

 

そして、そんな図面の中で最も重要な役割に、「寸法を決める」ということがあります。

この寸法によって、建物の高さだったり、屋根の勾配だったり、部屋の大きさ、天井の高さ、窓の大きさなどが決まってきます。

 

さらに、細かく見ると、外部では屋根や庇の厚み、外壁材の割付、笠木の厚み等々、内部ではドア枠や額縁(窓についている木製の枠)の厚みとか、あるいは巾木(壁と床がぶつかるところに取り付く板)の高さとか、厚み、そして壁から何mm出っぱらせるのか、また、建具では障子の組子の幅を何mmにするかといったようなことまで、あらゆる細かな寸法を決めていきます。

 

こうした寸法の細かな取り決めによって、建物全体のプロポーションだったり、壁と窓のバランスだったり、部屋が醸し出す空間の強弱というのでしょうか、雰囲気が決まってくるのです。

 

この寸法を決めるのが設計者ですが、設計者によって全体にがっしりした感じに造る人、反対に華奢に造る人、張り詰めた緊張感のある空間を造る人など、様々な個性が出てきます。

 

これは設計者の持っているスケール感によって、選ぶ寸法が変わってくるため、受ける印象が異なってくるわけですね。

 

外観でいうと、屋根の形状、厚み、勾配、軒の出具合と外壁とのバランスで、絶妙なプロポーションの建築があります。

こんな建築を見つけたときは思わず見とれてしまいます。

 

このプロポーションを決めるためには、求める部屋にはどんな天井の高さが適性か、窓はどんなあり方が良いのか、また屋根ならそれををどう見せたいのか、そのためには屋根をどんな納まりで造るのかといった、設計者の持っている思いと価値観そしてスケール感が反映されるわけですね。

 

ですから、できた建築は良きにつけ、悪しきにつけ設計者自信が反映されることになるのです。

 

昔、宮脇檀さんという建築家が、雑誌で、「僕が僕であるがままに、僕の建築はできる」と書かれていましたが、かっこいいですね。

 

こんなふうに自信を持て言えるようになりたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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