注文住宅でよくある後悔11選|間取り・収納・設備の失敗例と対策

注文住宅は「自由に間取りが決められて、自分たちの理想を叶えられる」と、多くの方が期待を込めて進める家づくりです。

ところが実際には、住み始めてから
「収納が少なくて物が片付かない」
「思ったより冬寒くて光熱費がかかる」
「もっと他の会社に頼めばよかったかも…」
といった“後悔”の声も多いです。

特に初めての家づくりでは、「自分たちが何を重視したいかがはっきりしないまま」「プロに任せれば大丈夫だと思っていた」という油断が、住み始めてからの後悔につながってしまうことも少なくないのです。

また、「どこに依頼するか」によっても、後悔の種類や原因には傾向があります。たとえば、ハウスメーカーでは選べる仕様や間取りの自由度が限られており、「自由にできると思っていたのに、希望が反映されなかった」という後悔をするケースが少なくありません。

本記事では、実際に多くの方が経験した注文住宅の「よくある後悔」11のポイントを具体的に紹介しながら、それぞれの原因と対策を丁寧に解説します。さらに、設計事務所という立場から見た「後悔を防ぐための家づくりの考え方」もご紹介しています。

家づくりで後悔しないために、事前に知っておいていただかいたい内容です。
ぜひ最後まで読んで、理想の住まいを現実にするヒントにしてみてください。

目次

注文住宅でよくある後悔11選とその対策

1. 日当たりや窓の位置で後悔した

よくある失敗例:

  • 「南向きだから明るいと思っていたのに、隣の家の影でリビングが1日中薄暗い…」
  • 「西向きの大きな窓があるせいで、夏の夕方は暑くてエアコンが効かない」
  • 「朝日を取り入れたかったけれど、東側に住宅が建っていて全然日が入らない」

失敗の原因:

設計段階で、敷地の条件や周辺環境を十分に読み取れていなかったことが主な原因です。たとえば、同じ「南向きの土地」でも、

  • 南側に3階建ての住宅が建っていれば、1階リビングにはほとんど日が入りません。
  • 隣家との距離が近かったり、敷地の周囲が建物に囲まれているような密集地では、南向きでも想像以上に日当たりが悪くなるケースもあります。

また、日射の強さや角度は季節によって大きく変わります。夏と冬の太陽高度の違いを考慮して設計することが、とても重要です。


後悔を防ぐ対策:

1. 敷地調査と日影シミュレーションの実施

建築前に、以下の点をしっかり確認・分析します。

  • 隣家の建物の高さ・窓の位置・距離
  • 午前〜午後の日の入り方(日照時間)
  • 冬至・夏至の太陽の高度(影の長さ)

設計事務所では、3Dパースや日射シミュレーションを用いて、年間を通じた光の入り方を事前に可視化することが可能です。

2. 「南向き神話」にとらわれすぎない

南に窓を設けることが必ずしもベストとは限りません。
たとえば…

  • 東向きリビング+朝日で気持ちよく目覚めたいご夫婦
  • 北側の庭に面した大開口で、落ち着いた光を楽しみたい人
    など、ライフスタイルや好みに合わせて窓の位置を最適化することで、満足度の高い住まいになります。

3. 庇や袖壁で日射をコントロール

大きな窓を設ける場合でも、夏の強い日差しを遮り、冬の柔らかい光だけ取り入れる工夫が重要です。
たとえば…

  • 夏の高い日差しは深めの庇でカット
  • 西日対策として袖壁やルーバーを設置
  • 南窓には落葉樹を植えて、夏は日差しを遮り、冬は光を通す

2. 収納が足りなかった

よくある失敗例:

  • 「新居なのに、引っ越してすぐに物があふれてリビングが散らかっている」
  • 「季節物の布団や衣類の置き場がなく、納戸代わりに1部屋を使う羽目に」
  • 「パントリーを作らなかったら、食品ストックや調理家電が常に出しっぱなし」
  • 「子どもの成長とともに物が増え、収納が追いつかない」

失敗の原因:

収納不足の多くは、収納スペースの“量”だけでなく“質”と“場所”が適切でなかったことに起因します。
また、設計時に「なんとなくこの辺に収納があればいいだろう」と感覚的に決めてしまい、実際に使うモノと動線が合っていないケースも多く見られます。


後悔を防ぐ対策:

1. 現在の持ち物を「見える化」する

設計段階で、

  • 家族の衣類の枚数(季節ごとに)
  • 趣味・スポーツ用品の大きさや数
  • 非常用備蓄や調理家電
    などを棚や引き出し単位で整理し、必要な収納量を数字で把握しましょう。

特に注意が必要なのは以下のようなアイテムです:

  • スーツケース、扇風機、ストーブなどの季節家電
  • 雛人形や兜などの年中行事用品
  • 思い出の品、アルバム、書類、工具、アウトドア用品などの趣味系アイテム

2. 場所ごとに適材適所の収納を配置

  • 玄関: ベビーカー・靴・傘・アウトドア用品の収納が必要か?
  • リビング: 散らかりやすいリモコン・書類・子ども用品などを一時的にしまうスペースがあるか?
  • キッチン: 食品ストック・調理器具・ゴミ箱の位置と量は足りているか?
  • 洗面室: タオル・洗剤・下着・着替えなど、実は収納量が多く求められる場所
  • 寝室・子ども部屋: 衣類だけでなく、本やおもちゃ、学校用品の収納を考慮

例:

  • 「玄関に土間収納(シューズクローク)をつくったことで、ゴルフバッグやキャンプ道具が片付き、廊下がすっきり」
  • 「階段下のスペースを活かして掃除道具・日用品のストック置き場にしたら、家事がラクに」

3. 「見せる収納」と「隠す収納」のバランスをとる

  • 見せる収納はおしゃれに見えますが、常に整頓が必要で、実はストレスになることも。
  • 逆に「隠す収納」は雑多なものをしまえて便利ですが、出しにくいと使わなくなるリスクも。

設計段階で「どこに・何を・どう収めるか」を棚のサイズや高さまで具体的に計画しておくと、後からの使い勝手に大きな差が出ます。

3. コンセントやスイッチの位置が不便だった

よくある失敗例:

  • 「ベッド横にコンセントがなくて、スマホの充電コードがベッドをまたいでいる」
  • 「リビングの掃除機をかけるたびに、何度も差し替えが必要」
  • 「照明のスイッチが部屋の出入り口になく、毎回真っ暗な中を歩くことに」
  • 「ダイニングテーブルでホットプレートを使おうとしたら、コードが届かない」

失敗の原因:

こうした後悔の多くは、暮らしの動きや家具・家電の配置を具体的にイメージしないまま、電気図面を決めてしまったことにあります。

特にハウスメーカーの標準プランでは、コンセントの数や位置が「基本仕様」で決まっていることが多く、施主が細かく指定しないと生活に合わないまま進んでしまうことも。


後悔を防ぐ対策:

1. 家具のレイアウトを仮決定しておく

図面段階で、以下のような生活導線や家具の仮配置を描いておくと、必要な場所・高さ・数が自然と見えてきます。

  • ベッドの位置 → ベッドサイドに照明・スマホ充電のコンセント
  • ダイニングテーブルの位置 → ホットプレートやIH鍋用に足元に床コンセントを
  • ソファの後ろ → サイドテーブルやスマートスピーカー用に
  • テレビボード周辺 → TV・レコーダー・ゲーム機・Wi-Fiなどで最低5口以上必要になることも

例:
「ダイニングテーブル下に床コンセントを設けたことで、コードが邪魔にならず、家族で鍋やホットプレートが快適に楽しめるようになった」


2. 場所ごとに用途を想定して配置する

  • 玄関まわり: 電動自転車の充電、クリスマスや正月飾りのイルミネーション用に
  • キッチン: 調理家電(電子レンジ・炊飯器・ケトル・コーヒーメーカー・フードプロセッサー等)の数を確認。背面収納の中にコンセントを設けるのも有効
  • 洗面所・脱衣所: ドライヤー、ヘアアイロン、電動歯ブラシ、洗濯乾燥機、アイロンがけスペース
  • 寝室: ベッド両脇のコンセントに加え、読書灯や目覚まし時計、加湿器など
  • リビング: ソファまわりでの充電、間接照明、ロボット掃除機の充電ステーション

例:
「洗面室にアイロンがけできるカウンターを設け、アイロン専用のコンセントを設置。毎回延長コードを引っ張ってくる手間がなくなった」


3. スイッチの高さや位置にも配慮を

  • 廊下・階段・リビング: 人が通る導線には、“行きと帰り”両方にスイッチを設ける「3路スイッチ」が便利
  • 子ども部屋: 将来分割して使う予定なら、コンセント、照明スイッチの配置の配慮も
  • 寝室: 出入り口とベッドサイド両方にスイッチがあると便利
  • 玄関: 室内から門柱灯・玄関ポーチ・外構照明を一括で操作できるようにする

例:
「階段の上下にスイッチを設け忘れ、毎回1階に下りて照明を消すことに。上下階に3路スイッチとすべきだった」

4. キッチンや水回りの動線が悪い

よくある失敗:

  • 「洗濯機は2階、干す場所は1階の庭…毎日の洗濯がとにかく大変」
  • 「料理中に冷蔵庫やパントリーが遠くて、何度も行ったり来たり」
  • 「買い物から帰って、重い荷物を持って遠くのキッチンまで移動するのがつらい」

失敗の原因:

これらの後悔は、設計段階で「日常の動き」を具体的にイメージしていなかったことに起因します。間取りを“見た目”や“部屋数”だけで決めてしまい、家事のしやすさという視点が抜け落ちているケースが多いのです。


後悔を防ぐ対策:

1. 「家事動線」の全体像をシミュレーションする

間取り図だけを見て「動線が良さそう」と感じても、実際の生活の流れに当てはめると、意外に無駄な動きが多いことがあります。

例えば、次のような一日の家事を思い浮かべてみてください:

  • 朝:洗濯機を回す → 朝食をつくる → 洗濯物を干す → 食器を片付ける → ゴミを出す
  • 夕方:洗濯物を取り込む → 夕食の準備 → お風呂を入れる → 洗濯物を畳む → 食器洗い

この流れをスムーズに行うには、キッチン・洗面脱衣室・洗濯機・物干し場(室内・外)の位置関係が非常に重要です。

例:
「キッチン横に洗濯機と脱衣室、勝手口の外に物干し場がある“直線動線”の間取りにしたことで、朝の家事時間が短縮された」


2. 「回遊動線」で渋滞を防ぐ&効率アップ

家事動線は「行き止まり」があると遠回りになることが多く、効率が下がります。キッチンや洗面所まわりはぐるっと回れる“回遊動線”を取り入れることで、家族が重なってもストレスが減ります。

例:
「キッチン→パントリー→玄関(土間収納)→洗面→リビングという回遊ルートを設けたことで、買い物帰りの収納や、朝の支度もスムーズに」


3. 水回りを集約することで時短&省エネに

  • キッチン・洗面・浴室・脱衣室・洗濯機をできるだけ近くに集めると、家事効率が格段に上がります。
  • 配管が短く済むため建築コストや水道光熱費の節約にもつながることがあります。

例:
「洗濯・乾燥・室内干し・収納がひと部屋で完結する“ランドリールーム”を設けたことで、洗濯にかかる時間が半分以下になった」


4. 買い物動線も見落とさずに

  • 駐車場からキッチンまでの動線が長いと、重い荷物を持って廊下を歩き回るストレスが発生します。
  • 玄関や土間収納を経由してパントリーやキッチンにアクセスできる動線があると便利です。

例:
「玄関の横に大型の土間収納を設け、買い物袋をすぐパントリーに置ける動線を確保。玄関やリビングが荷物で散らかることがなくなった」

5. 吹き抜けや勾配天井で寒さ・音に後悔

よくある失敗:

  • 「冬になるとリビングが冷え込み、エアコンを強くしてもなかなか暖まらない」
  • 「光熱費が予想以上にかかる」
  • 「2階で子どもが走る音や物音が1階にダイレクトに響く」
  • 「リビングでテレビを見ていると、2階の話し声が気になる」

失敗の原因:

これらは、見た目(開放感・デザイン性)を優先して、性能(断熱・遮音・空調計画)を十分に検討しなかったことに起因します。

吹き抜けや勾配天井は、空間を広く見せる魅力的な設計ですが、空気や音が上下階に移動しやすい構造でもあるため、しっかりとした計画がないと快適性を損なう原因になります。


後悔を防ぐ対策:

1. 吹き抜けは「高断熱・高気密」で快適に

吹き抜け部分は壁面積や窓面積が多くなりがちで、外気の影響を受けやすい空間です。そのため、

  • 壁・屋根・床の断熱性能を高く保つ
  • 吹き抜け上部に高性能な窓(例:トリプルガラス・Low-Eガラス)を使う
  • 建物全体の気密性能(C値)を確保する

といった対策が欠かせません。

実例:
「天井高5mの吹き抜けリビングを採用したが、UA値0.4、C値0.3を確保し、床下エアコン+シーリングファンで温度差を抑制。真冬でもエアコン1台で快適に過ごせている」


2. 空調計画と併用設備で温熱環境を安定させる

開放的な空間では、暖気が上昇しやすく、床付近が寒くなりがちです。これを解消するには、以下のような工夫が有効です。

  • 床下エアコンや全館空調を取り入れ、上下の温度差を抑える
  • シーリングファンやダクトファンで空気を循環させる
  • 床材に蓄熱性がある素材(無垢材など)を使い、冷えにくくする

実例:
「吹き抜け空間に床下エアコンを採用し、床面からじんわりと暖かさを伝える構成にしたことで、足元の冷えがなくなり、エアコンの効率も良くなった」


3. 音の問題には「構造と素材」の工夫を

吹き抜けは、音が反響しやすく、上下階の音の伝わりやすさも問題になります。

  • 2階床の根太レス構造(剛床工法)+吸音材で衝撃音の伝わりを軽減
  • 吹き抜けに面した壁や天井に吸音性能のある素材(木毛セメント板、布クロスなど)を使う
  • 吹き抜けに面した個室のドアや壁を遮音仕様にする

実例:
「子ども部屋が吹き抜けに面しているため、ドアと壁に遮音シートを施工。床下にも吸音マットを入れて、1階での生活音の干渉が大幅に減った」


4. 吹き抜けや勾配天井は“部分的”に使う

  • 家全体に開放感を持たせるよりも、吹き抜けはリビングの一角など部分的に設けることで、性能とのバランスが取りやすくなります。
  • 視線の抜け天井高さの緩急を活かすことで、空間に奥行きを感じさせつつ、冷暖房効率を保つことができます。

実例:
「ダイニング上だけを吹き抜けにし、キッチンとリビングは天井高2.4mで抑えた。全体の暖房効率は保ちつつ、空間にゆとりを感じられる間取りに」

6. リビング階段にして寒くなった

よくある失敗:

  • 「おしゃれだからリビング階段にしたけど、冬になると階段から冷気が降りてきて足元が寒い」
  • 「暖房をつけても2階に熱が逃げてしまい、全然あたたかくならない」
  • 「エアコンの効きが悪くて光熱費がかさむ」

失敗の原因:

リビング階段は見た目の開放感や家族のコミュニケーションを意識して選ばれることが多いですが、空気の通り道になるため、冷暖房効率に大きく影響します。

後悔を防ぐための対策

1. 階段に建具(ドア・引き戸)を設ける

階段とリビングを仕切れるようにすることで、空気の流れを制御できます。

実例:
「リビング階段の入口に天井までの引き戸を設け、寒い時期だけ閉めて冷気を遮断。普段は開放しておけるので、見た目と機能の両立ができた」

※建具は気密性の高いものを選ぶとより効果的です。


2. 空調計画で温度差を調整する

リビング階段を設ける場合は、上下階の温度差をなくすための空調計画が欠かせません。

  • 2階のホールや階段上にエアコンを設置し、冬は2階も暖めて冷気が降りないようにする
  • 床下エアコンや全館空調を採用して、家全体を一定の温度に保つ
  • シーリングファンやサーキュレーターで空気を循環させる

実例:
「リビング階段の真上にサーキュレーターを設置し、冬は上昇した暖気を1階に戻すように運転。上下の温度差が3℃以内に収まり、快適に過ごせるようになった」


3. 高断熱・高気密で“空気の質”ごとコントロール

家全体の断熱・気密性能が高ければ、そもそも空気が冷えにくく、移動しても不快感が少ないというメリットがあります。

実例:
「C値0.3、UA値0.4の高性能住宅でリビング階段を採用。階段を仕切る建具は設けていないが、上下階の温度差が少なく、エアコン1台で家中がほぼ一定の温度に保たれている」


7. トイレや洗面所の位置が気になる

よくある失敗:

  • 来客中にリビングのすぐ横のトイレを使いづらく、気まずい思いをした
  • 玄関からすぐ見える場所に洗面があり、生活感が丸出しに
  • トイレの使用音やにおいがリビングや寝室に響く・漂う

失敗の原因:

間取りを考える際に、「動線」や「コンパクトさ」を優先しすぎると、プライバシー性や音・においの問題が見落とされがちです。特にトイレや洗面は、使う頻度が高いわりに、設計の段階で深く検討されにくい場所の一つです。


後悔を防ぐための対策

1. トイレは“直接つながらない”場所に配置する

リビングや玄関のすぐ隣ではなく、廊下を挟む・壁を設ける・視線を遮ることで、心理的な安心感が大きく変わります。

実例:
「来客時でも気兼ねなく使えるように、トイレをリビングから直接見えない位置に配置。短い廊下と小さな引き戸で仕切ることで、距離感を確保しながら利便性も維持した」


2. 音対策は扉の選び方と壁の構造で変わる

  • 引き戸は音が漏れやすいため、トイレには開き戸+戸当たり付きの建具を選ぶと遮音性が高まります。
  • どうしても隣接してしまう場合は、壁の中に断熱材や遮音シートを入れることで、生活音の気になる空間(リビングや寝室)とトイレの間の音を軽減できます。

実例:
「トイレとリビングの間に収納棚を挟むことで、音やにおいが直接届かず、生活感も隠せる間取りに。」


3. におい対策は“換気”と“動線”の設計で決まる

トイレのにおいが気になる原因の多くは、換気計画が弱い・空気の流れが悪いこと。

  • 2方向換気(吸気+排気)をしっかり確保
  • トイレの扉を開けたときに、リビング側に空気が流れないような位置関係にする

実例:
「トイレの換気扇を24時間換気対応のものにし、排気口の配置も工夫。ドアを開けても空気が洗面所方向に抜ける設計にしたことで、においが広がらなくなった」


4. 洗面は“見せる or 隠す”を明確に分ける

最近は「玄関すぐ横に洗面を設けて手洗い習慣を作る」間取りも人気ですが、その場合でも洗面台のデザイン・収納計画・目隠しの工夫が重要になります。

実例:
「帰宅後すぐに手を洗えるよう、玄関横に独立洗面を設置。ただし玄関ドアからの視線が届かないよう壁を斜めに配置し、脱衣室と分離したことで、来客にも生活感を見せずに済むようにした」


5. 2階トイレや将来の増設も視野に入れる

家族構成やライフステージによっては、1階だけでなく2階にもトイレが必要になるケースがあります。間取りを決める際に、将来的な増設やメンテナンス性も考えておくと安心です。

8. 将来のライフステージを考えていなかった

よくある失敗:

  • 子どもが独立して部屋が余り、使わない空間に…
  • 階段の昇り降りがつらくなっても、1階に寝室がない
  • 家族構成の変化に対応できず、使いにくい間取りに
  • 将来の親との同居や介護を想定しておらず、リフォームに費用がかかった

失敗の原因:

家を建てるタイミングは、30~40代で子育て中の方が多く、目の前の生活に合う間取りや機能を優先しがちです。しかし、家は何十年も住み続けるもの。子どもの成長や独立、夫婦の老後など、長期的な暮らしの変化を想定せずに設計すると、将来の使い勝手が悪くなるリスクがあります。


後悔を防ぐための対策と実例

1. 子ども部屋は“変化に対応できる間取り”に

小さな子どもがいる家庭では、最初から部屋を完全に仕切るよりも、「将来仕切れるように」しておく設計が有効です。例えば、間仕切り壁を後から設けられるように構造・配線・照明を計画しておくと、成長に合わせて柔軟に対応できます。

実例:
「広めの子ども部屋に、将来的に間仕切り壁を設置できるよう下地を入れておいた。小学生のうちは兄妹一緒に使い、中学生になったタイミングで壁を追加。将来は書斎と納戸にリフォーム予定」


2. 1階に“将来の寝室”を設ける

高齢になったとき、階段の昇り降りが負担になるケースは多いです。今は客間やワークスペースとして使い、将来は寝室にできるようにしておくことで、無理なく1階生活に移行できます。

実例:
「リビング横に4.5畳の和室を設け、普段は子どもの遊び場や来客用に。60代になったとき、布団が敷ける寝室として使えるよう、引き戸で仕切れる設計にしてある」


3. 水まわりは将来のバリアフリーにも配慮

将来、介助や手すりが必要になったときのために、トイレや浴室の広さを余裕ある寸法にしておく、段差を設けないなどの工夫が長く快適に暮らすカギになります。

実例:
「トイレは一般的なサイズより少し広めに確保し、壁には将来的に手すりを取り付けられる下地を施工。浴室は引き戸にして、床もフラットに。段差を無くしたことで、子どもにも高齢者にも優しい設計に」


4. ライフスタイルの変化に対応できる“多目的スペース”をつくる

最初は収納や趣味の部屋だった場所が、将来は在宅ワークスペースや親の介護部屋になることもあります。用途を限定しない“余白のある空間”があると安心です。

実例:
「リビングの隣に設けた4畳ほどの小部屋を、最初は家族の書庫兼収納スペースとして活用。子どもが大きくなったタイミングで、机と本棚を置いて学習コーナーに。現在は在宅勤務用のワークスペースとして使っており、将来的には親の介護の際に簡易ベッドを置くことも想定。引き戸でリビングとつなげたり閉じたりできる設計にしておいたことで、使い方の自由度が高く、ライフステージの変化にも柔軟に対応できた


9. メンテナンスのしづらい素材を選んでしまった

よくある失敗:

  • 白い外壁に黒い雨だれが目立ち、こまめな洗浄が必要になった
  • 紫外線に弱い床材を選んでしまい、窓際だけ色が変わってしまった
  • 鏡面仕上げのキッチンパネルに手垢や水垢がつきやすく、掃除が大変

失敗の原因:

家づくりでは、つい「見た目が好みか」「コストが安いか」で素材を選びがちですが、その素材を使い続けたあとの「汚れやすさ・キズつきやすさ・メンテナンスの手間」まで想像できていないことが、後悔につながります。


後悔を防ぐための対策と実例

1. 外壁は見た目だけでなく「汚れにくさ」「耐久性」で選ぶ

たとえば真っ白な塗り壁やサイディングは美しい一方で、雨だれやコケ、ホコリが目立ちやすい素材もあります。特に軒が出ていないデザインや風通しの悪い立地では、汚れが付きやすくなります。

実例:
「白いリシン吹き付け外壁に憧れて採用したが、北面に雨だれ汚れが目立って数年で再塗装を検討する羽目に。耐候性の高いフッ素塗装や、セルフクリーニング機能のある外壁材を選んでおけばよかった」

対策のポイント:

  • フッ素・無機塗装などの高耐久塗料
  • 親水性のあるセルフクリーニング機能付きのサイディング
  • 軒を適度に出すことで外壁の汚れ・劣化を軽減

2. 水まわりは“汚れにくさ”“掃除のしやすさ”を重視

キッチンや洗面所は、毎日使う場所だけに細かな素材の選定で掃除のしやすさが大きく変わります

実例:
「キッチンの壁に光沢のある黒のパネルを選んだら、指紋や油はねが目立ちやすく、拭いてもムラになりがちでイライラ。マットな素材にすればよかった」

対策のポイント:

  • キッチンパネルはマット仕上げや表面コーティングありのものが水垢・指紋に強い
  • 洗面ボウルは陶器や人工大理石など汚れにくく傷に強い素材を
  • シームレス一体型の洗面カウンターは掃除がラク

3. 屋根・外構など“見えない部分”の素材選びも重要

屋根材やバルコニー防水、外構の舗装材も、見た目や価格だけで決めると将来の修繕コストがかさむことに。

実例:
「スレートの屋根を安価なグレードで選んだら、10年経たずに塗装の劣化が気になり始めた。断熱性能も低く、夏の暑さが大変」

対策のポイント:

  • 屋根は遮熱性・耐久性のあるグレードを確認
  • バルコニーはFRP防水の仕様とメンテナンス周期を把握
  • 外構のコンクリートは排水勾配や表面仕上げで汚れにくさが変わる


10. 予算オーバーで大事な部分を妥協した

よくある失敗:

  • 断熱材のグレードを下げた結果、冬は底冷えして光熱費が高騰
  • ペアガラスをやめてシングルガラスにしたら、窓からの冷気が不快に
  • 床暖房や換気システムを削ったら、住み始めてからの快適性が落ちた
  • 外壁の仕上げを安価な仕様にしてしまい、10年以内に再塗装が必要に

失敗の原因:

家づくりは「理想」と「現実(予算)」のせめぎ合いです。全体のコストを把握しないまま進めると、見積もりが出た時点で慌てて減額調整をすることになり、本来優先すべき“快適性や性能”を後回しにしてしまうことがあります。

また、打ち合わせの初期段階で「設備や内装の希望」ばかりが先行してしまい、「気密や断熱」といった見えない部分が後回しになるケースもありがちです。


後悔を防ぐための対策と実例

1. 「家の基本性能」だけは最初に確保する

家の性能=断熱・気密・耐震性・窓の性能などは、後から手を加えるのが難しい領域です。まずここに十分な予算を配分し、その上でその他の要素を調整するのが理想です。

実例:
「キッチンに予算をかけすぎて、断熱材をグラスウールの薄いタイプにしたら、冬の寒さが辛くて後悔。オプション仕様より基本性能を優先すればよかった」

対策のポイント:

  • 外皮性能(断熱等級6以上など)に必要な仕様を事前に設計者と確認
  • トリプルガラス or 樹脂サッシなど、熱の出入りが大きい“窓”に優先して投資
  • 見えない部分にこそ予算をかける意識が重要

2. 優先順位を家族で明確にする

「こだわりたい部分」「あとからでもいい部分」を家族で共有しておくと、予算調整の際に判断がスムーズになります。

実例:
「妻はキッチン、夫は書斎にこだわった結果、玄関収納やランドリールームが狭くなり、日々の不便さにストレス。最初に全体像を見て話し合っておけば防げた」

対策のポイント:

  • 家族全員で「生活の中で何を大事にしたいか」を紙に書き出す
  • 設計者に「この部分だけは優先したい」「ここは削ってもいい」と伝えておく
  • 優先度の低い部分からコスト調整をするのが鉄則

3. コストダウンは“設計の工夫”でカバーできることも多い

設備や性能を削る前に、「形状・面積・素材の選び方」でコストを抑える方法があります。

実例:
「部屋数を絞って間仕切りの少ない間取りにしたら、家族の距離感もちょうどよく、建築費も抑えられた。結果的に性能や素材にお金をかける余裕ができた」

対策のポイント:

  • 凹凸の少ないシンプルな形状にすることで、外壁・屋根のコスト削減
  • 建物の総面積を抑えつつ、収納や可変性で使いやすさを確保
  • 高価な素材を一部に絞り、アクセントとして効果的に配置する

4. 予算配分は“初期費用”だけでなく“維持費”も含めて考える

「安く建てたけど光熱費が高い」「外壁や屋根のメンテナンスが頻繁」では、結果的に長期で損をすることになります。

実例:
「外壁をコスト重視で選んだら、10年で再塗装。トータルで見ると初期費用の高い素材の方が安かったかもしれない」

対策のポイント:

  • ランニングコストやメンテナンス周期を設計者と確認
  • 光熱費・修繕費も含めたライフサイクルコストで比較検討
  • 性能を落とさない工夫=快適さと経済性の両立

11. ハウスメーカーに任せて自由度の低さに後悔した

よくある失敗:

  • キッチンを壁付けではなく対面式にしたかったが、標準プランにないと言われて変更できなかった
  • 吹き抜けや勾配天井を希望したが、「構造上できません」と断られた
  • 変形地に合わせた間取りの工夫がなく、デッドスペースが多い家に
  • 外観や素材の選択肢が限られており、近隣と似たような家になってしまった

失敗の原因:

多くのハウスメーカーでは、「仕様・間取り・設備」があらかじめ用意された規格型のプランがベースになっています。ある程度の自由度はありますが、「あくまで“用意された枠の中で選ぶ”」という設計が基本です。

そのため、こだわりがある方や、土地に特徴があるケースでは、希望が通らなかったり、満足度が下がる結果になりやすいのです。


後悔を防ぐための対策と実例

1. 「自由設計」と「注文住宅」は似て非なるものと知っておく

ハウスメーカーの「自由設計」という言葉に期待してしまう方も多いですが、実際は「選択肢の中から選ぶ」ことが自由設計の限界であることがほとんどです。

実例:
「最初の打合せでは“自由設計”と言われたけど、蓋を開けてみたら、キッチンの位置・窓の形・建具の色もほとんど選択肢が決まっていてガッカリ」

対策のポイント:

  • 契約前に、どこまで自由に設計できるのかを具体的に確認する
  • 「一からつくる設計」と「既製プランのカスタマイズ」の違いを理解して選ぶ
  • 自分たちのこだわりが多いほど、自由設計の限界が不満につながりやすい

2. 土地の個性に合わせた設計ができるのは“柔軟な設計者”だけ

変形地・狭小地・高低差のある土地などでは、規格プランがうまくフィットしないことがあります。

実例:
「旗竿地に建てようとしたが、ハウスメーカーでは“駐車スペースがとれません”と言われた。設計事務所に相談したら、旗部分を活かしたアプローチと建物配置で理想的な家になった」

対策のポイント:

  • 「土地に合わせた間取り」ではなく、「土地を活かした間取り」ができる設計者を選ぶ
  • 特殊な条件の土地でも設計の工夫次第で広く・明るく・快適な家にできる
  • 設計事務所では配置・高さ・窓位置・収納配置などをゼロベースで検討できる

3. 素材や性能にもこだわりたいなら“選択肢の広さ”が重要

ハウスメーカーでは、コスト管理のしやすさや施工性の理由から、使える素材や設備機器がある程度決まっています。

実例:
「無垢フローリングを希望したが、標準仕様にないと言われ、代替の合板フロアに。設計事務所なら価格と特徴を比較しながら、素材選びができると後から知って後悔」

対策のポイント:

  • 「自然素材」「高断熱窓」「オリジナルキッチン」などの要望がある場合は、選択の自由度が高い設計事務所が有利
  • 設計事務所では、施主の暮らし方・好み・予算に合わせて、素材・工法を選定できる
  • 性能(断熱・気密・耐震など)も数値で確認しながら設計段階で検討可能

4. 「打合せが多いこと」は、満足度の高い家へのプロセス

ハウスメーカーに比べて、設計事務所との家づくりは打合せが多く、決めることも細かいのが特徴です。しかしそれは、「建て主の希望を最大限に反映するための時間」でもあります。

実例:
「最初は“何度も打合せするのは面倒”と思っていたが、毎回要望が丁寧に図面に反映され、完成した家に“後悔ゼロ”。自分たちの暮らしにぴったり合っていて感動した」

対策のポイント:

  • 「打合せが多い=大変」ではなく、「打合せが多い=自由度が高い」と理解する
  • 一緒に家をつくる「パートナー」としての設計者を選ぶと安心
  • 施主のこだわりが多い人ほど、設計事務所との家づくりに向いている

設計事務所ならではの強みを活かして、後悔しない家づくりを

注文住宅で後悔しないためには、「自分たちの暮らし方をしっかり反映した家」をつくることが大切です。そのために有効な選択肢の一つが、設計事務所に家づくりを依頼することです。

ハウスメーカーや建売住宅と比べて、設計事務所には以下のような強みがあります。


1. 暮らしに合わせた完全オーダーメイドの設計

設計事務所では、家族構成やライフスタイル、趣味、働き方、将来の暮らしの変化まで丁寧にヒアリングしたうえで、一棟一棟をゼロから設計します。
そのため、「子どもが巣立った後に部屋が無駄になる」「家事動線が非効率だった」といった後悔を防ぎやすく、暮らしにフィットした間取りや空間構成が実現できます。


2. 敷地条件に対する柔軟な対応力

設計事務所は、狭小地・変形地・高低差のある土地など、一般的には設計が難しい敷地に対しても、その場所ならではの設計を行うことが得意です。
周辺環境や法規制を踏まえながら、日当たりや視線、風通し、景色などの「敷地のポテンシャル」を最大限に活かしたプランニングが可能です。


3. 性能・デザイン・コストのバランスを考えた提案

設計事務所では、単にデザインを優先するのではなく、断熱・気密・耐震といった住宅性能や、素材の質、将来的なメンテナンス性なども重視します。
また、コストに関しても、お施主さまの予算を踏まえて、どこにお金をかけて、どこを抑えるかという「設計によるコストコントロール」が可能です。


4. 設計者との密なコミュニケーション

設計事務所では、担当する建築家や設計士が、最初のヒアリングから設計、現場監理まで一貫して関わるのが一般的です。
そのため、細かな要望や不安にも丁寧に対応してもらいやすく、「自分たちの家を一緒につくってくれるパートナー」として安心して相談できる体制が整っています。


5. 標準仕様に縛られず、自由な素材・設備選びが可能

ハウスメーカーではあらかじめ決められた仕様の中から選ぶ必要があることも多いですが、設計事務所なら内外装の素材・断熱方法・窓・空調設備なども自由に選択可能です。
その結果、「こんな仕上がりにしたかったのに選べなかった」という後悔を防ぎ、自分たちだけの住まいを実現できます。


「自由度」と「丁寧な設計」が、後悔しない家づくりを支える

設計事務所との家づくりは、ハウスメーカーよりも打ち合わせの回数が多く、検討する内容も多岐にわたるため、手間や時間はかかります。
しかしそのぶん、「自分たちに本当に合った家」をつくるための深い対話が生まれ、見た目だけでなく中身まで納得できる住まいに近づくことができます。

長く住む家だからこそ、完成してから「こうしておけばよかった」と後悔しないためにも、じっくりと設計に向き合えるプロセスはとても価値のある時間です。


私たち足立和太建築設計室では、お施主さまとの対話を大切にしながら、ライフスタイルや価値観、敷地の特性に合わせた家づくりを一棟一棟丁寧に行っています。

性能・デザイン・住み心地のバランスを追求し、
夏は涼しく、冬は暖かく」をコンセプトに、断熱性・気密性・耐震性に優れた住宅をご提案しています。

ハウスメーカーでは難しい、変形地や狭小地への対応、素材選びの自由度、将来を見据えた柔軟な間取り設計にも自信があります。
「設計事務所に相談するのはハードルが高そう」と感じる方も、どうぞご安心ください。私たちは建築のプロとして、専門的なこともわかりやすくお伝えしながら、安心して家づくりを進めていただけるよう心がけています。


「後悔のない家づくりをしたい」そんな方へ

後悔のない住まいをつくるためには、自分たちの暮らしにしっかりと向き合い、それをかたちにしてくれるパートナー選びがとても重要です。

「こんな暮らしがしたい」「まずは相談だけしてみたい」
そんな想いをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

無料相談・無料プランニングはこちらからどうぞ


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