2022年11月10日

2019年にこの金沢建築館は竣工しました。

 

一度見学に行きたいなーとずっと思っていたのでが、ようやく念願がかないました。

 

この建物は金沢出身の有名な建築家の谷口吉郎さんと、そのご子息であるこれまた有名な建築家の谷口吉生さんの建築資料の収集・整理・保存を主とした建物です。

 

もともと谷口吉郎さんが住んでおられた住まいの跡地に建てられました。

 

設計はもちろん谷口吉生さんです。

 

豊田市美術館、東京都葛西臨海水族園、ニューヨーク近代美術館の設計者でもあります。

 

お父様の吉郎さんはホテルオークラメインロビー、東京国立博物館 東洋館、赤坂迎賓館別館 游心亭などがあります。

 

そして、この游心亭がこの建築館に忠実に再現されています。

 

これも楽しみです。

 

 

さて、谷口吉生さんの設計する建築は、とてもシンプルでで端正な建築なのですが、そのレベルが半端なくすごいのです。

 

材料と材料の取り合い、壁とサッシの取り合い、ドア、手すり、階段などあらゆる部分が、驚異的に美しく仕上げられています。

 

ぱっと見た感じは、建築模型ではないかと思わせるほどサラリとできていますが、それを実現するのがいかに難しいことか。

 

ちょっと見てみましょう。

 

これはエントランス廻りです。

 

 

 

庇がただの板のように見えます。

 

石の壁、金属パネルの壁も簡単に貼り合わせたようにサラッとしてますね。

 

 

これは入り口の手すりと壁をみています。

 

天井の目地と、壁の目地がぴたりとそろい、手すりの受け材は壁の目地からさりげなく出ています。

 

階段と壁の目地もきちっと揃っています。

 

無駄な線が一切ありません。

 

建物のあらゆる部分が全てこの調子で設計されていて、それでいて納まり上の破綻が全くないという完璧さです。

 

エントランスホールはこんな感じです。

 

 

テーブルの上のコロナ対応のアクリ版は谷口さんのデザインかわかりませんが、アクリル板の支持は真ん中の照明器具でされています。

 

色々なアクリル板が世の中にありますが、こんな解決の仕方もあったんですね。

 

 

この階段を上がって2階に行きます。

 

 

2階のホールには谷口父子の資料が展示されています。

 

特に目を引いたのは、

 

 

これは

2017年に日本経済新聞の「私の履歴書」で連載された時の生原稿です。

 

へー、谷口さんはこんな字を書くんだ。

 

建築から受けるイメージとちょっと違うな、

 

もっと「書き方」のお手本のような字を書かれるのかと思っていましたが、このギャップに親近感を感じてしまいます。

 

そしてこのホールから、自動ドアを抜けて隣の部屋に入ると

 

 

 

突然、游心亭が現れます。

 

和の空間が広がっています。

 

「わー」これが游心亭か。

 

 

平天井と勾配天井の組み合わせが特徴的で、この勾配天井は広縁を通り越して、和室の方まで食い込んでます。

 

間接照明、ペンダント照明、障子の組子、谷口さんお得意の六角形のオリジナル照明、竿縁天井に組み込まれた行燈照明、竿縁天井の竿のピッチ

 

土壁と襖の色合い等等

 

現代的な「和」といった感じです。

 

和室という何か決まりがあるような、難しく考えがちでしたが、游心亭を見学して、「和室」はもっと自由でいいんだと強く感じました。

 

 

 

 

 

 

見学できて本当に良かったと思います。

 

いやー、よかった。良かった。

 

 

 

そして最後にショップでお買い物。

 

ずっと本屋さんで探していたのですが、見つからなかった谷口さんの「私の履歴書」。

 

ここにありました。

 

 

そして図版。

 

 

 

みたかった建築をみて、欲しかった本も買えました。

 

大変満足できた1日でした。

 

ホント、建築っていいな。

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