「制振装置」・「GW断熱材」の施工の実際

住宅の性能には、「耐震性」と「断熱性」があります。
今回は、この耐震性にからんだ「制振装置」と、グラスウールによる「断熱」の実際の施工についてのお話です。
現在、施行中の現場写真からご説明します。
「耐震等級3」の住宅は、大地震(震度6強〜7)でも倒壊せず、構造的な損傷も最小限に抑えれらる強度です。
しかしながら、地震は余震など、繰り返しの「揺れ」が襲ってきます。
こうした繰り返しの「揺れ」によって、住宅の耐震性が劣化してしまいます。
この現場では、その劣化を防ぐために「制振装置」を設けています。
また、断熱工事では、最もコスパの良い、グラスウールでの断熱をしています。
ただ、このグラスウールはちょっと施工に注意を要します。
今回は、内部工事の、「制振装置」「断熱材」の施工の様子をご紹介します。
制振装置
内部では、まず「制振装置」を取り付け、その後断熱材の施工に入ります。
制振装置は全部で6箇所設置しますが、この役割は地震や強風などによって、建物が揺れた時にその揺れを吸収・抑制して、建物の被害を軽減するものです。
この建物は「耐震等級3」の強度を持っていますが、地震の揺れは繰り返し襲ってきます。そうした繰り返し揺れにより耐震性能は少なからず影響を受けてしまいます。
このような、地震の繰り返しによる耐震性の劣化を防ぐ目的で、「制振装置」を設置しているわけです。

上の写真の斜めの部材が「evoltz」という制振装置です。
この装置は地震の小さな揺れから大きな揺れまで、幅広く効果を発揮してくれる優れものです。
制振装置には「変異依存型」と「速度依存型」の2つがあり、これは「速度依存型」に属します。
地震の多い日本では、この「制振装置」は必須ではないかと思っています。
制振装置について詳しくは「繰り返される地震、制振ダンパーは必須か?」をご覧ください。
断熱材
さて、制振装置がついたところで、壁の断熱材の施工に入ります。
今回の壁の断熱材は高性能グラスウールです。グラスウールには袋入りグラスウールと裸のグラスウールの2種類あります。
断熱材の中で、このグラスウールがもっともコスパの良い材料なのですが、特に袋入りグラスウールは施工に注意を払わないといけません。
きちっとした施工をしないと、性能が発揮できないという難しさがあります。
詳しくは、「袋入りグラスウール、コスパは良いが、施工は要注意!」をご覧ください
というわけで、今回は裸のグラスウールを使います。

このグラスウールで特に注意が必要なのは、室内で発生した湿気をグラスウールに侵入させないようにすることです。
グラスウールに湿気が入ってしまうと、断熱性能が低下し、カビの発生や木材の腐朽の要因になってしまいます。
その湿気の侵入を防ぐために、防湿気密シートというビニールのシートを隙間なく張ります。

さらに注意が必要なのは、コンセントとかスイッチなどがあると、この防湿気密シートを破って設置しなければなりません。
そうすると湿気が、その穴から壁面の中に入ってしまいます。
これを防ぐために、コンセントやスイッチ専用のバリヤーボックスをつけて、防湿気密シートとしっかり密閉するわけですが、
この施工も、丁寧にしなければならず、なかなか厄介です。
下の写真がバリヤーボックスです。

バリヤーボックスと気密シートとの処理方法は下図のようになります。
なかなか手間ですね。

今回の設計では、そのようなリスクのある仕事をしなくて済むように、防湿気密シートの外に、下地用の胴縁を取り付けてボードを貼り、胴縁の隙間にコンセントやスイッチをつけるようにしました。
こうすることで、防湿気密シートを傷める必要がなくなり、安心できるというわけです。
今回は「制振装置」と「断熱材」についての解説でした。