家づくりで後悔しないために|気密測定が大切な理由

家づくりでは、断熱材や窓の性能、デザインや間取りに目がいきがちですが、実は「隙間の少なさ=気密性能」も快適な暮らしに大きく影響します。どんなに高性能な断熱材を使っても、壁や窓のわずかな隙間から冷たい風が入り込むと、冬は暖房が効きにくくなり、夏は冷房の効きが悪くなります。さらに、隙間があると光熱費が余分にかかるだけでなく、壁の中で結露が発生しやすくなり、カビや住宅の劣化の原因にもなってしまいます。
では、どうすればこの「隙間の多さ」を事前に確認できるのでしょうか。それが「気密測定」です。気密測定を行うことで、家の隙間の大きさを数値として確認でき、住まいの性能や施工の品質を客観的に知ることができます。
特に、これから家を建てる方や高断熱住宅を検討している方にとって、気密測定は「後悔しない家づくり」のための重要なステップです。この記事では、気密測定がなぜ大切なのか、測定の仕組みや流れ、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。これを読めば、家づくりの段階で何を確認すべきかがしっかりと理解でき、安心して住宅会社と話を進められるようになります。
1. 気密測定とは?
気密測定とは、住宅にどれだけ「隙間」があるかを実際に測定する検査のことです。住宅は外から見ただけでは分からない小さな隙間が多く存在しており、窓やドアのわずかな隙間、壁や床の接合部分のすき間など、見えない部分から空気が漏れています。この隙間の量を正確に把握することで、家の断熱性能や住み心地を客観的に評価できるのが気密測定です。
測定では「C値(気密性能の指標)」が使われます。C値とは、住宅全体の隙間面積を床面積で割った数値で、単位は平方センチメートル/平方メートル(cm²/m²)です。簡単に言うと、家の床1㎡あたりにどれだけの隙間があるかを表した数字で、数値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高いことを意味します。例えばC値が1.0の場合は、床1㎡あたり隙間が1cm²しかないということになります。
測定の方法は、専用の送風機を使って家全体をわずかに減圧し、隙間からどれだけ空気が漏れるかを計測します。送風機で室内の空気を外に押し出すことで圧力差を作り、そのときの空気の流れを測定することで家の隙間量を数値化します。これにより、完成後の住宅性能を客観的に確認できるだけでなく、施工の精度や建材の施工状態も間接的に知ることができます。
つまり、気密測定は「目に見えない隙間」を可視化し、数字で評価する唯一の方法であり、家の快適性や光熱費、省エネ性、長期的な建物の耐久性に直結する非常に重要な検査なのです。
2. なぜ気密測定が大切なのか
冬暖かく、夏涼しい家にするため
家の隙間が多いと、外から冷たい風や暑い空気が入り込み、せっかくの暖房や冷房の効果が十分に得られません。たとえば冬、リビングの暖房をつけても、窓や壁のわずかな隙間から冷気が入り込むと、部屋全体が温まるまで時間がかかり、足元が冷たいままになりやすくなります。逆に夏は冷房が効きにくく、部屋がムラのある暑さになりやすくなります。
気密性能を高めることで、こうした空気の漏れを防ぎ、室内の温度を一定に保ちやすくなります。その結果、家全体が快適に保たれ、どの部屋にいても過ごしやすい環境を作ることができます。
光熱費のムダを防ぐため
隙間が多い家では、冷暖房が常に空気の漏れを補うために余分に働くことになります。つまり、電気やガスの消費量が増え、光熱費が高くなる原因になります。
一方で気密性能を高めれば、空気の漏れが少なくなるため、暖房や冷房の効率が上がり、少ないエネルギーで家全体を快適に保つことができます。長期的に見れば、光熱費の節約につながり、家計にも優しい家づくりが可能です。
壁内結露やカビを防ぐため
家に隙間があると、外から入り込んだ湿った空気が壁の内部に入り込み、温度差によって結露が発生することがあります。この壁内結露は、見えない部分でカビを発生させ、建材を傷める原因になります。
さらに、カビはアレルギーや呼吸器への影響など、家族の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。気密測定によって隙間の量を把握しておくことで、こうしたリスクを事前に防ぎ、安心して暮らせる家を作ることができます。
高断熱住宅の性能を活かすため
近年の高断熱住宅では、高性能な断熱材や窓を使用することで、冬は暖かく、夏は涼しい家を目指すことができます。しかし、いくら断熱材や窓の性能が高くても、隙間が多ければその性能は十分に発揮されません。
断熱と気密はセットで考えることが重要で、気密測定によって隙間の少なさを確認することが、高断熱住宅の性能を最大限に活かすためのポイントです。
3. 気密測定のやり方
気密測定は、住宅にどれだけ隙間があるかを客観的に確認するための検査です。測定には「送風機(ファン)」と「圧力計」と呼ばれる専用の機器を使用します。まず、家全体の窓やドアを閉め、換気口など必要な部分を閉じます。その状態で送風機を取り付け、家の内部の空気を外に押し出すことで室内をわずかに減圧します。家の内外で圧力差が生じると、隙間がある部分から空気が漏れます。この空気の流れを計測することで、住宅全体の隙間量を数値化するのです。
測定結果は「C値」として表示されます。C値は、建物全体の隙間面積を床面積で割った数値で、数値が小さいほど隙間が少なく、高気密な家であることを示します。たとえばC値が1.0であれば、床1㎡あたり1cm²の隙間しかないことになります。数値を見れば、施工品質や隙間の多い箇所を把握でき、改善が必要な場合は施工段階で補修することが可能です。
測定を行うタイミングは、気密測定は、JAS(日本工業規格)では、建物の完成状態で測定するとなっていますが、理想的には2回の測定を行うのが良いでしょう。断熱材やサッシの取り付け後、内装工事の前の施工途中と完成後の2回です。こうすることで、より確実に高気密な家を実現できます。施工段階で測定する理由は、隙間の補修や改善がまだ可能だからです。完成後では壁や床が覆われてしまうため、隙間があっても修正が難しくなります。また、施工段階で数値を確認することで、施工会社が丁寧に作業しているかどうかもチェックすることができます。
つまり、気密測定は単なる「数字を出す検査」ではなく、家の快適性・省エネ性能・耐久性を確保するための重要なプロセスであり、施工の品質管理にも役立つ非常に大切な検査なのです。
4. 気密測定で注意すべきポイント
1. 測定を必ず実施している会社を選ぶこと
気密測定は、住宅の快適性や省エネ性を確認する上で欠かせない検査です。しかし、施工会社によっては気密測定を行わない場合があります。気密測定を実施していない会社では、隙間の大きさや施工品質を客観的に把握できないため、完成後に「思ったより寒い」「光熱費が高い」といった後悔につながる可能性があります。
そのため、家を建てる際は「気密測定を実施しているか」を必ず確認しましょう。実施している会社であれば、測定結果をもとに施工の精度を確かめたり、必要な補修を行ったりすることができます。
なお、測定は自社ではなく、第三者の専門会社に行ってもらうことが大切です。
2. 測定回数が2回が理想
前項でもふれましたが、気密測定は、施工のどの段階で行うかも重要です。一般的には建物完成直前に行われますが、施工中に測定することで、より確実に施工品質を確認することができます。
断熱材やサッシの取り付け後に測定し、数値が悪ければすぐに隙間を補修。その後、完成時に再度測定をし、悪い部分があれば、補修をすることで、理想的なC値を達成できます。1回だけの測定では、隙間の補修タイミングを逃してしまうことがあり、完成後に隙間が残るリスクがあります。
3. 結果の数値だけでなく施工品質も確認
C値の数値は家の気密性能を示す目安ですが、数値が良くても施工が雑だと将来的に問題が起こる場合があります。例えば、壁や床の継ぎ目の処理が甘い、配管周りの隙間が残っているなど、見えない部分で空気が漏れていることがあります。
そのため、測定結果を見るだけでなく、施工の丁寧さや確認方法も重要です。施主自身が現場を見学したり、施工会社から隙間補修の内容を説明してもらうことで、数値だけでは分からない施工品質を確認することができます。
4.気密測定で目指すべき数値
- C値の目安
- 1.0 cm²/m²以下:一般的に高気密住宅と呼べる水準。冬の暖房効率や快適性の面で優れた性能を発揮します。
- 0.5 cm²/m²以下:より高性能な高気密住宅。熱損失を最小化でき、床下エアコンや全館空調との相性も抜群です。
- 2.0 cm²/m²以上:隙間が多く、気密性能としては改善が必要なレベル。冷暖房効率や結露対策にも影響します。
高気密住宅では、C値は 1.0 cm²/m²以下を目標 に施工するのが基本です。測定でこの数値を下回れば、換気や冷暖房効率、結露対策など、住宅の性能を十分に活かすことができます。
さらに注意すべきポイントとしては、単に数値だけに頼らず、隙間の場所や施工の質も確認することが重要です。例えば、コンセント廻りや配管貫通部、サッシ周りなどは隙間ができやすい箇所です。これらを丁寧に施工することで、C値の改善だけでなく、住み心地や健康性の向上にもつながります。
5. 気密測定の結果をどう活かすか
気密測定の結果として出るC値は、住宅の隙間の少なさを示す重要な数値です。C値は低いほど家の気密性能が高いことを意味しますが、単に数値だけを追い求めるのではなく、「暮らしやすさ」とのバランスを考えることも大切です。例えば、極端に気密性を高めても、換気設備や湿度管理が適切でなければ、空気がこもって不快になったり、結露やカビの原因になることがあります。
測定結果を断熱計画や換気計画に活かす
気密測定の結果は、断熱材や窓の性能と組み合わせて、より快適で健康的な住まいを作るための設計指針として活用できます。C値が想定より大きれば、壁や天井、床の施工に隙間が残っている可能性があるため、補修を行うことで断熱性能を最大限に引き出せます。また、気密性能が高い場合には、24時間換気や熱交換換気の計画も最適化できます。気密性能と換気計画が両立している家は、室内の温度・湿度が安定し、健康的で快適な生活空間を実現できます。
施工会社の信頼性を判断する材料に
さらに、気密測定は施工会社の丁寧さや品質管理のレベルを確認する手段にもなります。測定をきちんと実施し、結果を施主に提示して改善策まで説明してくれる会社は、施工品質に責任を持っていると言えます。一方、測定を行わなかったり、結果の説明が不十分な会社は、家の快適性や長期的な耐久性に不安が残る可能性があります。
まとめると
- C値の数値を単なる数字として見るのではなく、快適性・換気・湿度管理とのバランスを考える
- 測定結果を基に隙間の補修や施工品質の改善を行うことで、高断熱住宅の性能を最大限に活かす
- 施工会社の信頼度を判断する材料としても活用できる
気密測定は、単なる検査ではなく「家の性能を確実にするためのツール」であり、施主自身が快適で健康的な暮らしを実現するための指針となります。
まとめ
気密測定は、住宅の隙間の量を客観的に確認することで、快適で健康的、省エネな暮らしを実現するために欠かせない検査です。数値だけを見て安心するのではなく、測定結果を施工品質や断熱・換気計画と合わせて活かすことが重要です。C値が良くても、施工が雑であれば後々不具合や冷暖房効率の低下につながることがあります。逆に、隙間の補修や施工改善を行うことで、高断熱住宅の性能を最大限に引き出すことができます。
また、気密測定を行うかどうかは、施工会社の信頼性や品質管理の姿勢を判断する大きな目安にもなります。測定をきちんと実施し、結果を施主に説明してくれる会社は、施工の丁寧さや家づくりへの責任感があると言えます。
家づくりを考える際は、単にデザインや価格だけで判断するのではなく、「この会社は気密測定を行っているか」「数値をどう活かしているか」を必ず確認しましょう。これにより、冬は暖かく夏は涼しい、光熱費も抑えられ、長く安心して暮らせる家を手に入れることができます。
気密測定は、後悔しない家づくりを実現するための重要なステップであり、快適な暮らしを守るための「安心の目安」とも言えるのです。
快適で健康的、省エネな家を実現するには、気密測定だけでなく、施工全体の品質や家づくりの計画が重要です。私たち「足立和太建築設計室」では、断熱・気密・換気をトータルで考えた設計を行い、気密測定の実施や施工チェックも徹底しています。
家づくりは一生に一度の大きな買い物だからこそ、数字や性能だけでなく、安心して暮らせる家を実現したいものです。気密測定の結果を最大限に活かす設計と施工管理で、冬は暖かく夏は涼しい、家族が長く快適に暮らせる住まいをご提案しています。
もし「自分の家も快適で後悔のない家にしたい」とお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談・無料プランニングはこちらからどうぞ