夫婦2人で建てる平屋住宅|暮らしやすい広さと後悔しない家づくりのコツ

「子どもが独立して、これからは夫婦2人でゆったりと過ごせる家に住みたい」
「今は元気だけど、将来のことも考えて、階段のない平屋に建て替えようかな…」
そんなふうに思い始めたとき、ふと悩むのが
「どれくらいの広さがあれば足りるんだろう?」
「無理のない予算で、快適に暮らせる家ってどんな家?」ということではないでしょうか。
最近は、ご夫婦だけの暮らしに合わせた「コンパクトで快適な平屋住宅」を選ぶ方が多くいらっしゃいます。
ワンフロアで生活が完結する平屋は、家事もラクになり、将来の介護や体の変化にも対応しやすい点でとても人気です。
でも実際に計画を始めてみると、
「間取りの工夫ってどんなことをすればいいの?」
「予算をかけすぎずに、性能の良い家にするには?」
といった具体的な疑問や不安がたくさん出てくるものです。
このコラムでは、そんな不安を少しでも解消できるように、
夫婦2人で建てる平屋住宅の広さ・間取り・予算の考え方や、後悔しない家づくりのコツを、できるだけわかりやすくまとめてみました。
これからの暮らしにちょうどいい、シンプルで心地よい住まいをつくるためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
夫婦2人暮らしに「平屋住宅」が選ばれる理由
階段がなくて移動がラク。将来も安心して暮らせる
平屋のいちばんの魅力は、やっぱりすべての生活がワンフロアで完結すること。たとえば、朝起きてからキッチンへ、洗濯機を回して外に干して、リビングで一息ついて…という日常の動きが、すべて1階だけでスムーズに行えるんです。
2階への上り下りがないというのは、思っている以上に身体への負担を減らしてくれます。今は元気でも、10年後・20年後も安心して暮らせると思えるのは、将来を考えた家づくりの大きなポイントですよね。
さらに、段差のないバリアフリーな設計にしやすいので、もし将来、介助が必要になったとしても対応しやすいのが平屋の強みです。住み慣れた家で、夫婦2人がずっと自立して暮らしていける——そんな安心感が、平屋にはあります。
コンパクトでも快適に暮らせる設計ができる
「平屋って、狭くなりそう…」と心配される方もいますが、実はそうでもないんです。平屋は上下の移動がないぶん、生活動線が短くてすみます、かつ階段のスペースが不要なので、その分の平面的なスペースが稼げます。つまり、必要な空間を必要な分だけ確保すれば、ムダのない“ちょうどいい家”がつくれるんです。
たとえば、廊下を最小限にすれば、その分LDKを広くとったり、収納スペースをしっかり確保したりすることも可能です。
平屋は「広さより、空間のつながりや使いやすさを重視した設計」にしやすいので、コンパクトでも驚くほど快適に暮らせる家になるんですよ。
さらに、生活空間がフラットにつながっていることで、夫婦それぞれがほどよい距離感で過ごせるのも魅力のひとつです。キッチンとリビング、寝室と洗面室など、自然な動線を設計すれば、日常のストレスも減らせます。
メンテナンスしやすく、掃除もラク
意外と見落とされがちですが、平屋はメンテナンス性の高さも大きなメリットです。
たとえば外壁や屋根の点検をするとき、2階建てだとどうしても高所作業が必要になって、足場を組んだり業者を頼んだり…と大がかりになりますよね。でも平屋なら、自分たちで目が届く範囲が多く、点検やちょっとした修繕もしやすいんです。
もちろん、日々の掃除もラク。階段の掃除って地味に手間がかかりますが、平屋ならそれも不要。掃除機も軽々運べますし、1階だけをさっと掃除するだけで家全体がきれいになるのは本当に助かります。
夫婦2人にちょうどいい「平屋の広さ」とは?
20坪台〜30坪台が一般的。ライフスタイルに合わせて調整を
「夫婦2人だけの暮らしに、どれくらいの広さが必要なんだろう?」
家づくりを始めたときに、まず気になるのがこのポイントではないでしょうか。
実は、夫婦2人で暮らす平屋住宅の場合、20坪台から30坪台くらいの広さがちょうどいいと言われています。とはいえ、これはあくまで目安。大切なのは、どんな暮らし方をしたいかによって広さを調整することなんです。
たとえば、こんなイメージで考えてみてください。
- 最小限にコンパクトに暮らしたい方には:
→ 20〜23坪程度で、LDK+寝室+水まわり+収納がしっかり収まります。家事動線も短く、掃除もラクになります。 - ゆったり暮らしたい方や、来客が多い方には:
→ 25〜30坪程度あると、客間や書斎、趣味の部屋などもつくれるので、気持ちにも余裕が生まれます。
最近では、20坪台後半の平屋を選ぶご夫婦が多い印象です。「広すぎず狭すぎず、ちょうどいい」くらいですね。
収納スペースと将来の動線も考慮して決めよう
間取りを考えるときに、「LDKは○帖、寝室は○帖」と部屋ごとの広さに意識が向きがちですが、実は“収納”と“動線”のバランスがとても重要です。
たとえば、クローゼットが寝室から遠かったり、掃除道具が取り出しにくい場所にあると、それだけで日々のストレスが増えてしまいます。
また、年齢を重ねてからの暮らしを考えると、「トイレは寝室のすぐそば」「洗面と脱衣はゆったりめに」といった将来を見据えた動線設計も欠かせません。
ですから、単純に「延べ床面積が何坪あればいいか」ではなく、その中に必要な機能がちゃんと収まっているかどうか、を大切にしたいですね。
広すぎると冷暖房・メンテナンスコストがかさむ点に注意
「せっかくだから、広めにしておこう」と思う方も多いのですが、注意したいのは広ければ広いほど、暮らしが快適になるとは限らないということ。
たとえば、部屋を大きくしたり数を増やしたりすれば、その分建築費が上がるだけでなく、掃除の負担、エアコンなどの光熱費の増加といった“暮らしてからのコスト”も増えてしまいます。
特に夫婦2人だけであれば、「普段どの空間で過ごすのか?」「来客はどれくらいあるのか?」を見極めて、本当に必要な広さだけを確保することが、結果的に“快適で、管理しやすい家”になります。
必要最小限にまとめつつ、収納や余白の空間をうまく取り入れることで、ムダのない、暮らしやすい平屋が完成します。
後悔しない平屋の間取りのポイント
将来を見据えた「寝室と水まわり」の配置がカギ
平屋を建てるときに意外と見落とされやすいのが、「将来の暮らし方を踏まえた間取り」です。特に大切なのが、寝室とトイレ・洗面・お風呂などの“水まわり”を近くにまとめておくこと。
若いうちは多少の移動が気にならなくても、年齢を重ねると、「夜中にトイレに行くのに遠い」「浴室が寒くて億劫」といった小さなストレスが、毎日の暮らしに影響してきます。
たとえば、
- 寝室のすぐそばにトイレを配置する
- 洗面脱衣室と浴室は、寝室から数歩で行ける場所に
- 廊下を挟まず、LDKからも寝室・水まわりへ緩やかにかつスムーズにつながる動線
といったように、普段の動線が自然に組み立てられている間取りにすると、将来も安心して暮らせる家になります。介助や車いすを使う場面を想定して、引き戸や段差なしの設計にしておくと、さらに安心ですね。
収納は「使う場所の近く」に設けるのが基本
平屋に限らず家づくり全般に言えることですが、収納は“しまう場所”より“使う場所”に近いことが大切です。
ただ壁一面に収納を設けても、動線から外れていると不便なだけ。とくに平屋はコンパクトな分、動線にフィットした収納設計が暮らしやすさを大きく左右します。
たとえば:
- キッチンまわりにパントリーやゴミ置き場のスペースをしっかり確保
- 玄関にはコートや靴だけでなく傘・外用品もまとめられる収納
- 洗面脱衣室にはタオル・下着・洗剤などをまとめて置ける棚
- 寝室には夫婦それぞれの洋服を分けて管理できる収納を
こうした配置が整っていれば、家事動線が短くなり、暮らしにムダがなくなります。
収納は“量”ではなく“質”が重要。
「何を、どこで、どれくらいしまうか?」をあらかじめイメージしておくと、平屋でもストレスなく快適に過ごせますよ。
庭やデッキとのつながりも重視
平屋ならではの魅力のひとつが、屋外とのつながりを感じやすいことです。
2階がないぶん、リビングや寝室からそのまま外に出られる設計がしやすく、自然との距離がぐっと縮まります。
たとえば、
- リビングからウッドデッキへつながることで、実際の広さより、より広がり感を演出できます
- 庭に面するちょっとしたコーナーを設けることで、朝の光を取り込んだり、庭を眺めながらのコーヒーなんかも
- 濡れ縁やテラスを設けて、外周をゆるやかな「外の回遊動線」にすることで、季節の変化を感じられる豊かさが
こうした工夫は、暮らしにちょっとした非日常やゆとりを与えてくれます。
特に夫婦2人の暮らしでは、家の中にこもるだけでなく、庭やデッキで過ごす“余白の時間”が気持ちにゆとりをもたらしてくれるはずです。
ガーデニングを楽しんだり、朝にコーヒーを飲んだり、そんな小さな幸せが積み重なる空間づくりを意識したいですね。
平屋住宅の予算とコストを抑えるコツ
平屋はシンプルで暮らしやすい一方で、建築面積が広くなるぶん、思ったよりコストがかかるケースもあります。
でも、ちょっとした工夫や考え方で、建築費や光熱費、将来の維持費まで、トータルでムリのない予算に抑えることができるんです。
ここでは、家づくりで失敗しないための「賢いコストダウンのコツ」を3つの視点でご紹介します。
無駄を省いた間取りで建築費を圧縮
平屋づくりでは、「必要な部屋数をつくる」と同時に、「それ以上にムダをつくらない」ことがとても大切です。
たとえば…
- 複雑な形状(L字型・コの字型など)にすると、外壁や屋根の面積が増えて建築費がアップします。
- 使わない部屋や広すぎる廊下も、結果的にコストを押し上げる原因になります。
おすすめは、できるだけシンプルな形状の間取りにして、生活に必要な空間をしっかり確保するスタイル。
たとえば、「LDK+寝室+洗面・浴室+収納」で構成した20〜25坪前後の平屋なら、快適に暮らせてコストも比較的抑えやすいです。
「なんとなく和室をつけたい」「とりあえず2部屋に分けておこう」といった“とりあえず設計”ではなく、実際の暮らしに本当に必要な空間を見極めることが、予算を守る家づくりの第一歩です。
断熱・気密性能を高めて光熱費もダウン
家の性能にこだわることは、「長く快適に暮らす」だけでなく、「光熱費の節約」にもつながります。
特に平屋は、屋根と天井からの熱の影響を受けやすい構造なので、夏の暑さ・冬の寒さ対策がとても重要です。
たとえば…
- 断熱性の高い窓(Low-E複層ガラスなど)を選ぶ
- 壁・床・天井の断熱材の性能をしっかり確保する
- 気密性を高めて、すき間風や熱の出入りを防ぐ
こうした基本的な性能を高めることで、冷暖房の効きが良くなり、電気代がグッと下がります。
初期コストは少しかかりますが、10年・20年と暮らしていくうちに、十分元が取れる“未来の節約”なんです。
「住んでからお金がかからない家」は、実はとても大事な視点ですよ。
長期的にメンテ費用を抑える素材選び
建てたあとのことまで考えておくと、さらに安心です。
たとえば外壁や屋根材。デザインだけで選んでしまうと、10年おきの塗り替えや補修が必要になって出費がかさむことも。
そこでおすすめなのが、
- 耐久性の高い金属系サイディングや陶器瓦などを選ぶ
- メンテナンスの頻度が少なくてすむ自然素材や高性能塗装材を使う
- 雨樋や軒の形状にも気を配り、雨仕舞いのよい設計にする
こうすることで、定期的な修繕費用や手間をぐっと減らすことができます。
また、メンテナンスが必要な場所に“脚立で届く”というのも平屋のメリット。
でもだからこそ、素材選びにもこだわって、将来も「手がかからない家」を目指すのがおすすめです。
今だけじゃなく、「これからかかるお金」にも目を向けよう
家づくりで大事なのは、「建てるときのお金」だけでなく、「住んでからのお金」も含めて計画すること。
ちょっとした工夫で、建築費・光熱費・メンテ費用のすべてを“無理なく”抑えることができます。
無理のない予算で、でも品質や快適性はしっかり確保したい。
そんな思いを叶えるために、設計や素材の選び方、性能への投資をうまく組み合わせて、将来も安心して暮らせる平屋住宅を目指していきましょう。
家づくりでよくある失敗とその対策
広さや動線の感覚が「図面で見たのと違う…」
家づくりでよく聞くのが、「完成してみたら、図面で見たより狭く感じた」「動線が思っていたより不便だった」という声です。
間取り図や3Dパースを見ながら打ち合わせをしていても、実際にその空間で暮らすイメージを掴むのって、なかなか難しいものですよね。
たとえば、
- 「LDK18帖って十分広いと思ったのに、家具を置いたら意外と狭かった」
- 「キッチンと洗面が遠くて、家事の動線がイマイチだった」
- 「収納の位置が悪くて、動きがちょっと不便…」
こうした“思っていたのと違う”を防ぐために、基本設計の段階で、実際に置く家具を想定してレイアウトし、その上で平面図を立体的にした鳥瞰図などを作ってもらって、間取りをわかりやすくしてもらった上で、自分の生活スタイルをシミュレーションすることがとても大切です。
老後を見据えた仕様を考えていなかった
今は元気だから大丈夫、と思っていても、「もう少し将来のことを考えておけばよかった…」という声も少なくありません。
たとえば、
- 廊下やトイレが狭くて、将来的に手すりをつけるスペースがなかった
- 寝室からトイレが遠くて、夜間の移動が不安になった
- 開き戸が多くて、年を重ねると使いづらくなってきた
こうした後悔を避けるためには、「今は使わなくても、いざという時に備えられる設計」にしておくのがコツです。
具体的には…
- 手すりを後付けしやすいように壁に下地を入れておく
- 将来ベッドを置く寝室は、トイレや洗面室の近くに配置
- 車いす対応のスペース幅を確保しておく(特にトイレや玄関まわり)
- 引き戸や片引きドアにしておくと、年齢を重ねても開け閉めがラク
「バリアフリー」と聞くと、ちょっと年配向けの印象があるかもしれませんが、誰にとっても“使いやすい家”は、結果的に長く快適に暮らせる家になります。
「いざという時に対応できる設計」=「安心して長く住める家」です。無理なく、ちょっとずつ備えておきましょう。
こだわりすぎて予算オーバーに…
家づくりって、考えれば考えるほど「これもいいな」「あれも入れたいな」と夢が広がっていきますよね。
でもそこで注意したいのが、こだわりすぎるあまり、予算がどんどんふくらんでしまうこと。
よくある例としては、
- 高級キッチンや浴槽にこだわって、当初の予定より大幅アップ
- 外壁材や床材に迷って、いいものを選びすぎて全体が高額に
- 「せっかくだから全部理想を詰め込みたい」と思っていたら、気がついたら予算を超えていた…
大切なのは、「どこにお金をかけて、どこで抑えるか」をあらかじめ優先順位を決めておくことです。
たとえば、
- 毎日使うLDKの快適性にはしっかり投資して、来客が少ない和室は最小限に
- 外観の見た目よりも、断熱性・気密性など性能面にコストを配分
- 設備は「標準仕様+必要に応じてグレードアップ」という考え方にする
打ち合わせの中で「欲しいけど、本当に必要?」と立ち止まるタイミングを持つと、メリハリのある家づくりができます。
予算内で建てるからこそ、住み始めてからも気持ちにゆとりが持てますよ。
「後悔しないための選択」は、じつは“引き算”から生まれることも多いんです。
まとめ|夫婦2人にぴったりの平屋を建てるために大切なこと
夫婦2人で暮らすための平屋住宅は、派手ではなくても、これからの人生を穏やかに、心地よく重ねていける住まいです。
そんな平屋をつくるうえで大切なのは、「今の暮らしやすさ」だけではなく、10年後、20年後のライフスタイルまで見据えて設計すること。今だけでなく、これからも変わらず快適で安心して暮らせる住まいこそ、本当に“いい家”といえるのではないでしょうか。
そのためには、以下のような視点を持つことが大切です:
- 広さや間取りは、“ちょうどいい”にとどめることが心地よさのカギ
広すぎる家より、コンパクトで動きやすく、管理しやすい家のほうが、長く快適に暮らせます。夫婦2人の生活スタイルに合った適切な広さ・収納・動線を考えることがポイントです。 - 将来を見据えた設計で、ずっと安心できる家に
段差のない設計や、寝室とトイレ・水まわりの近接、手すりの下地など…少しの工夫で、将来の不安をグッと減らせます。無理にバリアフリーにしなくても、「いざという時に備えられる家」を意識しましょう。 - 予算と理想のバランスを大切に。信頼できるパートナー選びも重要
こだわりたい部分、コストを抑えていい部分を明確にすることで、無理のない予算で理想の家に近づけます。そのためには、あなたの想いをしっかり聞いてくれる信頼できる設計者・工務店との出会いがとても大切です。
平屋住宅は、これからの夫婦の暮らしを大切にする家づくりのカタチです。ムダをそぎ落とし、本当に必要なものだけを丁寧に選び取る——そんな住まいは、きっと長く愛せるはず。
わたしたち建築の専門家も、あなたと一緒に、「安心して、心地よく暮らせる家」をじっくり考えていきたいと思っています。
無理のない予算で、日々の暮らしにぴったりと寄り添う平屋住宅を、ぜひ一緒にかたちにしていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
夫婦2人の暮らしにぴったりな平屋住宅をつくるには、「間取りの工夫」や「将来への備え」、「予算のバランス」など、ひとつひとつ丁寧に考えることが大切です。
とはいえ、家づくりは分からないことも多く、はじめは誰でも不安なもの。
「わたしたちの暮らしには何坪くらいがいいの?」
「この予算でどんな家が建てられる?」
「土地はあるけど、どんな間取りが合うのかな?」
そんな疑問が少しでも出てきたら、どうぞ気軽にご相談ください。
足立和太建築設計室では、ご夫婦のライフスタイルや将来の暮らし方に寄り添った住宅をご提案いたします。
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