自然素材の家づくりは設計事務所が良い?工務店・ハウスメーカーとの違いを比較

「自然素材の家を建てたい」と考えたとき、多くの方がまず悩むのは 「どこに依頼すれば理想の家が実現できるのか?」 という点ではないでしょうか。
無垢の木や漆喰、和紙など、自然素材をふんだんに使った住まいは、健康的で快適、さらに年月とともに味わいが深まるのが大きな魅力です。しかし実際に家づくりを始めようとすると、ハウスメーカー・工務店・設計事務所と選択肢が多く、それぞれの違いが分かりにくいため、迷ってしまう方が少なくありません。
- ハウスメーカーなら安心感はあるけれど、自然素材は限られた仕様しか選べないことが多い
- 工務店なら地域に密着しているが、自然素材の扱いに慣れているかどうかは会社によって差がある
- 設計事務所なら自由度は高そうだが、費用や依頼の流れが分かりにくい
このように「自然素材の家を建てたいけれど、どの依頼先を選べば良いのか分からない」というのが、多くの方の共通した悩みです。
本記事では、まず自然素材の家づくりが注目される理由を整理し、そのうえで ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違い を分かりやすく比較します。さらに、設計事務所に依頼するメリットや注意点についても解説します。
「自分たちの希望に合う依頼先を見極めたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
自然素材の家づくりが人気の理由
健康に配慮できる
自然素材の大きな魅力は、化学物質の使用を最小限にできることです。無垢材のフローリングや漆喰の壁、和紙の壁紙などは、合板やビニールクロスに比べて接着剤や樹脂の使用が少なく、室内の空気を清浄に保ちやすい特徴があります。
近年ではシックハウス症候群や化学物質過敏症が社会問題となり、特に小さなお子さまやアレルギー体質のご家族がいる家庭では「室内空気の質」に敏感です。自然素材の家は、そうした健康面での不安を和らげる選択肢として注目されています。
さらに漆喰や珪藻土には抗菌作用や消臭効果があるとされ、暮らしの中で自然と快適な空気環境を維持できる点もメリットです。
経年変化を楽しめる
自然素材は「新築のときが一番きれい」という工業製品とは違い、時を重ねるほど風合いが増すのが魅力です。
たとえば、無垢材の床は使い込むほど艶が出て、色合いも深まっていきます。漆喰の壁は光の当たり方によって陰影が変わり、年月とともに味わいが増していきます。これらの変化は「劣化」ではなく「経年美化」として楽しむことができます。
家族の暮らしとともに素材が変化していくことで、住まいにより一層の愛着が生まれるのです。人工的な建材にはない「住むほどに育つ家」という感覚は、自然素材ならではといえます。
断熱・調湿など快適性の向上
自然素材はデザインや健康だけでなく、快適な室内環境をつくる性能面でも効果を発揮します。
木材や漆喰、珪藻土などは優れた調湿作用を持ち、湿度が高いときは余分な水分を吸収し、乾燥しているときは水分を放出します。これにより室内の湿度が安定し、夏の蒸し暑さや冬の乾燥を和らげることができます。
また、無垢材は熱伝導率が低いため、夏は足裏にひんやりと心地よく、冬は冷えにくいという性質があります。これを断熱材や高性能サッシと組み合わせることで、エアコンに頼りすぎずとも「夏涼しく、冬暖かい」住まいを実現できます。
自然素材の家は、単に雰囲気や見た目が良いだけではなく、健康・快適・省エネ性に直結する理由があるのです。
依頼先による家づくりの違い
ハウスメーカーの特徴
全国展開している大手企業が多く、ブランド力や施工実績が豊富です。工期の短さや品質の均一性、長期保証制度など、安心感を重視する人には魅力的な選択肢です。
ただし、基本的には規格化されたプランや仕様から選ぶスタイルが中心で、自由度は限定的です。自然素材を取り入れたい場合でも、標準仕様には含まれていないことが多く、オプション扱いになるためコストが割高になる傾向があります。
また、床材や壁材を「無垢材に変更したい」と思っても選べる種類は限られ、漆喰や和紙などの仕上げは対応不可な場合もあります。自然素材に強いわけではない点は理解しておく必要があります。
工務店の特徴
地域密着型で、中小規模の会社が多いのが工務店です。土地勘や気候風土を理解した提案ができ、細やかな対応や柔軟性が魅力です。大手ハウスメーカーに比べてコストを抑えやすい傾向があり、予算重視の方に選ばれやすい依頼先です。
自然素材を得意とする工務店もありますが、会社ごとに得意分野が異なり、性能やデザインのレベルには大きな差があります。断熱や耐震といった基本性能よりも価格を優先してしまう会社もあるため、施工例や過去の実績を確認することが欠かせません。
また、図面やプランの提案力は工務店によってまちまちです。自然素材を使いたいと考えるなら、実際にどの程度自然素材の施工経験があるかを必ずチェックしておくと安心です。
設計事務所の特徴
設計事務所は、建築士が直接施主と打ち合わせを重ね、ゼロからプランを作り上げていきます。そのため、設計の自由度が圧倒的に高いのが特徴です。
自然素材を取り入れたい場合でも、床材の種類や仕上げ方法、漆喰や珪藻土などの壁材の選定まで、細部にわたって相談できます。さらに、デザイン性と断熱・気密といった住宅性能をトータルで検討できるため、「自然素材+高性能+デザイン」をバランスよく実現できる点は大きな強みです。
また、設計事務所は施工段階まで関与し、工務店や職人の工事をチェックする「監理」も行います。これにより、自然素材の施工品質を確保しやすい点もメリットといえます。
一方で、設計監理料が別途必要になるため初期費用は高く見えがちです。また、打ち合わせの回数も多く、完成までに時間をかけるスタイルです。ただし、そのプロセスがあるからこそ「施主の理想に寄り添った家づくり」ができるともいえます。
自然素材の家を設計事務所に依頼するメリット
素材選びの自由度が高い
設計事務所は、既製品やメーカーの標準仕様に縛られず、施主の希望に応じた素材選びが可能です。
無垢材ひとつをとっても、ナラ・ヒノキ・スギ・チェリーなど樹種によって色味や質感、香りが異なります。設計事務所なら、それぞれの特性を踏まえて「家族の暮らしに合う木材」を選ぶ提案ができます。
また、漆喰や珪藻土、和紙などもメーカーや施工方法を比較しながら検討でき、自分たちの価値観やこだわりを反映しやすいのが大きな魅力です。
デザインと性能のバランスを取れる
自然素材をただ取り入れるだけでは、見た目は良くても快適性や省エネ性が不足してしまうことがあります。設計事務所は、断熱・気密性能や耐震性といった性能面を同時に設計に組み込めるため、見た目と住み心地の両立が可能です。
たとえば「冬でも素足で木の床を快適にしたい」という要望に対しては、床下の断熱方法や空調の工夫を組み合わせることで、自然素材の良さを損なわずに快適な住環境をつくり出せます。
単なる素材選びにとどまらず、設計の工夫によって自然素材の魅力を最大限に活かせるのは、設計事務所ならではの強みです。
暮らし方に合わせたオーダーメイド設計
設計事務所は、家族構成やライフスタイルに合わせてゼロから設計します。
「子どもが小さいので自然素材で安心できるリビングを中心にしたい」「夫婦ふたりで将来も快適に暮らせる平屋にしたい」など、暮らし方に寄り添った間取りや素材選びが可能です。
例えば、
- 南側の窓から自然光をたっぷり取り入れ、漆喰の壁でやわらかく反射させる
- 無垢材の床で素足の気持ちよさを楽しむリビングを計画する
- キッチンや洗面にタイルや天然素材を取り入れて、リビングとの調和をはかる
といったように、素材の特性と暮らし方を融合させた設計ができるのは大きなメリットです。
長期的な住み心地を見据えた提案が可能
自然素材はメンテナンス方法によって耐久性が変わります。たとえば、無垢材の床は定期的なワックスがけで美しさを保てますし、漆喰の壁は傷や汚れがあっても部分的に補修が可能です。
設計事務所はこうした特性を踏まえ、将来的に手入れがしやすい素材や仕上げ方法を提案してくれます。さらに「30年後、50年後にどう変化していくか」を見据えた計画が立てられるため、建てた直後の見た目だけでなく、長く暮らしても快適で愛着が持てる住まいを実現できます。
また、定期的に相談できる関係を築けるのも設計事務所の良さで、「家を建てたら終わり」ではなく、長期的に住まいをサポートしてもらえる安心感があります。
設計事務所に依頼する際の注意点
コスト感の理解が必要
設計事務所に依頼する場合、工事費とは別に「設計監理料」が発生します。一般的には工事費の10%前後が目安とされており、工務店やハウスメーカーと比較すると総額が高く感じられることがあります。
ただし、この費用には、
- 詳細な設計図を作成し、素材や性能を施主の要望に合わせて検討する
- 工事が図面通りに進んでいるかを定期的にチェックする
- 引き渡しまで品質を確保し、問題があれば是正を求める
といった役割が含まれます。いわば「設計監理料は品質保証のための保険」のようなもの。初期費用は増えますが、長期的に安心できる住まいを手に入れるための必要経費と考えると納得しやすいでしょう。
打ち合わせに時間がかかる
設計事務所の家づくりは自由度が高いため、プラン検討や素材選び、仕様決定に一定の時間と手間がかかります。具体的には、完成までに数十回の打ち合わせを行うケースも珍しくありません。
「忙しいから早く終わらせたい」という方には負担に感じられるかもしれませんが、このプロセスこそが設計事務所の家づくりの醍醐味です。
- 家族の生活動線を細かく検討する
- サンプルを比較しながら無垢材や漆喰の種類を決める
- 将来の暮らしを見据えた間取りを一緒に考える
といった過程を経ることで、家への理解が深まり、完成後の満足度が高まる傾向があります。時間をかける分、愛着の持てる家になるのです。
事務所ごとに得意・不得意がある
設計事務所は一つひとつが独立した事務所であり、得意分野や設計スタイルに大きな差があります。自然素材を使った住宅を多く手がけている事務所もあれば、鉄筋コンクリート造やモダンなデザインを得意とする事務所もあります。
そのため、依頼前には必ず以下を確認することが大切です。
- 過去の施工事例
- 実際に建てた家を訪問できる見学会
- 打ち合わせの際の相性やコミュニケーションの取りやすさ
こうした確認を経て、「自分たちの理想と合う設計事務所かどうか」を見極めることで、失敗を防げます。特に自然素材を重視する場合は、素材の扱いに慣れているかどうかを見極めるのが重要です。
まとめ|自然素材の家は「誰に頼むか」で大きく変わる
自然素材の家づくりは、依頼先によって仕上がりや暮らし心地が大きく変わることを理解しておくことが大切です。
- ハウスメーカー
安定した施工品質や保証制度が魅力ですが、規格化された仕様が中心のため、自然素材の自由な選択肢は限られます。素材の風合いや仕上げ方法にこだわりたい場合は、オプション扱いとなることが多く、コストが割高になるケースもあります。 - 工務店
地域密着型で、コストを抑えやすく柔軟な対応が可能です。ただし、施工実績や設計力に差があり、自然素材の扱いに慣れているかどうかは会社によって大きく変わります。施工例を確認し、信頼できる工務店を選ぶことが重要です。 - 設計事務所
ゼロからプランを作る自由度が高く、自然素材の特性を最大限に活かす設計が可能です。素材の選定から仕上げ方法、断熱や気密といった性能までトータルで検討できるため、デザイン性・性能・暮らし方のバランスを整えた家づくりが実現できます。さらに、打ち合わせや設計監理を通して、施主の希望や生活スタイルを反映したオーダーメイドの家が完成します。
自然素材の家は、素材選びや設計の自由度によって、住み心地や暮らしの満足度が大きく変わります。
もし「自分たちの暮らしにぴったり合った、自然素材の家を建てたい」とお考えなら、設計事務所に相談することをおすすめします。
私たち 足立和太建築設計室 では、無垢材や珪藻土などの自然素材を活かしながら、断熱・気密などの性能面も考慮した設計を行っています。家族構成やライフスタイルに合わせたオーダーメイド設計で、快適で健康的な住まいづくりをサポートします。
まずはお気軽にご相談ください。無料相談や施工事例のご紹介も可能ですので、「自然素材の家づくりを具体的にイメージしたい」という方に最適です。
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