「設計料っていくら?設計事務所の費用内訳と納得できる理由」

設計事務所に頼むと、設計料って高いんでしょ?」
家づくりを考えはじめたとき、こんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
ハウスメーカーや工務店では見積書に“設計料”という項目が明確に書かれていないことが多いため、「設計料ってなんだか特別な費用みたい」「よくわからないけど高そう」と感じる方が少なくありません。
でも、実は設計料は“家づくり全体の品質を左右する大切な費用”でもあります。設計の内容はもちろん、使う素材や間取りの工夫、断熱や耐震といった性能、そして完成後の暮らしやすさにまで関わる、大切な仕事の対価なのです。
設計料が高く感じられる背景には、「費用の内訳が見えにくいこと」や「なぜその金額がかかるのか分かりにくいこと」があるかもしれません。
そこでこのコラムでは、設計事務所に依頼する場合の設計料がどれくらいかかるのか、その費用の中身はどんなものなのか、そして「なるほど、これなら納得」と思っていただける理由について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
「自分たちの家づくりには設計事務所が合っているのかな?」と考えている方にとって、ひとつの判断材料になればうれしいです。
1. 設計料っていくらくらいかかるの?
設計事務所に家づくりをお願いする場合、最初に気になるのが「設計料っていくらくらいかかるの?」ということではないでしょうか。
設計料の計算方法は、設計事務所ごとに多少違いはありますが、もっとも一般的なのは「工事費の○%」という割合で算出するスタイルです。多くの場合、この割合はおおよそ10%前後で設定されています。
たとえば、建築工事費が2,500万円の住宅であれば、設計料は約250万円というイメージです。
この金額には、図面の作成だけでなく、打ち合わせ、法規チェック、確認申請、現場監理など、家づくり全体にかかわる設計事務所の仕事が含まれています。
ただし、設計料の金額は建物の規模によっても変わるケースもあります。
たとえば、工事費が極端に低い場合には、「最低設計料」が設定されていたり、規模がかなり大きい場合には「料率」が下げられている場合もあります。
また、設計料を「設計段階」「監理段階」といったふうに業務のフェーズごとに分けて提示する設計事務所もあります。たとえば、
- 最初のプラン提案までに◯万円
- 本設計に進んだら工事費の◯%
- 工事監理はさらに◯%
というように段階的な方式をとっているケースもあります。
ハウスメーカーとの違いは「見え方」
ハウスメーカーや工務店では、設計料という費用が工事費に含まれていることがほとんどです。
つまり、設計という仕事そのものに費用がかかっていないわけではなく、見積書の中で見えにくくなっているだけなんですね。
一方、設計事務所では、設計が業務として独立しているため、「費用としての存在感」が大きく感じられます。
その分、「これは何のための費用なんだろう?」「こんなに必要なの?」と疑問を持たれることもありますが、逆に言えば、費用構成が明確で納得しやすいというメリットでもあります。
このように、設計料は建物をつくる上では必ず必要となるものであり、透明性と信頼性の高い家づくりのために必要な費用ともいえます。
次の章では、「設計料の中にはどんな仕事が含まれているのか?」をもう少し具体的に見ていきましょう。
2. 設計料の内訳とは?何にお金がかかっているのか
設計料というと、「図面を描くための費用なんでしょ?」と思われがちですが、実際にはもっと広い範囲の仕事が含まれています。
家づくりって、ただ図面を引いて終わりではありません。
設計者は、最初のヒアリングから完成後の暮らしまでを見据えて、家づくり全体をナビゲートする役割を担っています。
では、設計料の中にはどんな業務が含まれているのでしょうか? 大きく分けて4つに整理してみましょう。
● 設計業務(プランをつくるための準備と計画)
まずは、家の“設計図”をつくるまでのプロセスです。
ここには、次のような作業が含まれています。
- ヒアリング(聞き取り)
どんな暮らしがしたいのか、ご家族のライフスタイルやご希望、敷地の条件などを丁寧に聞き取ります。たとえば「家事動線をよくしたい」「自然素材が好き」「ペットと快適に暮らしたい」といったことも大事な情報です。 - 間取り・空間構成・外観デザインの検討
ヒアリングをもとに、居心地のよい空間構成や使い勝手のよい間取りを考えます。土地の形や方角、近隣との関係も加味してプランを練ります。そして、街並みを構成する家としての表情、つまり外観のデザインをどうするかを一生懸命に考えます。 - 性能の検討
ただカッコいい家を考えるだけでなく、断熱性・通風・耐震性・採光(光の入り方)といった、目に見えにくい性能面も検討します。 - 素材や仕様の検討
フローリングや壁、外壁の素材などを選ぶときは、見た目・手触り・メンテナンス性・コストのバランスも重要なポイントです。 - 設計図面の作成
最終的に、工事ができるレベルまで図面を描き込みます。仕上表、配置図、平面図、断面図、天井伏図、平面詳細図、断面詳細図、展開図、建具表、外構図、構造図、設備図など、家を建てるのに必要なあらゆる細かい情報を詰めていきます。
● 申請業務(法律や行政との手続き)
建物を建てるには、法的な確認や申請手続きが必要です。これも設計者の大事な仕事のひとつです。
- 建築確認申請
建物が建築基準法などのルールに合っているか、役所に図面を提出して確認を受けます。
敷地や用途、地域によって細かい規制が変わるので、経験と知識がものを言います。 - 法規チェックや調整
用途地域、高さ制限、斜線制限、防火地域など、専門的な法規の条件をクリアできるように設計を調整します。 - その他の必要書類の作成・提出
建築確認以外にも、場合によっては景観条例や開発申請などの対応が必要になることもあります。
● 現場監理業務(ちゃんと図面通りにつくられているかを確認)
図面を描くだけで終わりではありません。家づくりの現場がはじまってからも、設計者の役割は続きます。
- 現場のチェック(監理)
工事が始まったら、図面通りに工事が進んでいるか、施工の品質に問題がないかをチェックするため、現場に足を運びます。 - 施工者との打ち合わせ
施工会社の現場監督をはじめ、大工さんや設備業者さんと直接やりとりして、細かな納まりや現場での判断が必要なところを調整します。 - 修正や指示出し
現場で予期せぬことが起きたときも、図面と現実をすり合わせながら、適切な判断をして対応します。
この「監理」がしっかりしていないと、完成後に「なんかイメージと違う…」というズレが起きやすくなります。
● 打合せ・提案(住まいのイメージを一緒につくる時間)
家づくりの過程では、お施主さんとの綿密な打ち合わせがとても重要です。
- プランのご提案と調整
1回の提案で決まることはまれです。何度もプランを調整しながら、納得できる間取り・外観を一緒に作っていきます。 - 素材の見本のご紹介
床材や外壁、タイルなど、サンプルを見ながら「これが好き」「これは違う」という感覚をすり合わせていきます。 - トータルな住空間の提案
家具の配置、収納計画、照明の位置まで含めて、暮らしの全体像を一緒に考えて使い勝手の良い家につくり込んでいきます。
ときには「こうすると掃除がラクですよ」「将来的にはこういう使い方もできます」といった提案があるのも設計事務所ならではです。
「安心して任せられるための設計料」
このように、設計料には単に図面を描く作業だけでなく、家づくりのすべての工程を丁寧にサポートするための業務が含まれています。
「設計事務所に頼むと高い」と感じるのは自然なことかもしれません。でも、その中身を知れば、「この金額で、ここまで一緒にやってくれるのなら納得できる」と思っていただける方も多いのではないでしょうか。
次の章では、「なぜ設計料が高く“見える”のか?」という背景について、もう少し詳しくご説明します。
3. 設計料が“高く見える”理由とその裏側
「設計事務所って、やっぱり高いよね…」
そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。特にハウスメーカーや工務店の見積書を見慣れている方にとっては、“設計料”という項目がはっきりと見えることが、余計にそう感じさせるのかもしれません。
でも、実はこの「設計料が高く見える」には、いくつかの背景があります。ここではその理由と、知っておくと納得できる“裏側”についてお話ししていきます。
● 理由① 設計料が独立して「見える」から
ハウスメーカーや工務店では、設計や申請、現場での確認といった費用が、建物本体価格に最初から含まれていることがほとんどです。
そのため、見積書を見たときに「設計料」という項目が明確に書かれていない場合が多く、費用としての存在感が薄く感じられるんですね。
一方で、設計事務所の場合は、設計・申請・監理などの業務が、工事とは独立した専門家としての仕事であるため、単独で、「設計・監理業務」として契約をすることになります。
契約書にも「設計・監理料」としてはっきり金額が表示されます。
その結果、「あれ?こんなにかかるの?」と驚かれる方もいらっしゃいますが、これは実際にかかっているコストが“見える化”されているからこそなのです。
● 理由② 実はとても時間と手間がかかっている
設計料が高く感じられるもう一つの理由は、その仕事量や関わる時間がなかなか想像しにくいことです。
家1棟を設計するには、ただ図面を1枚描くだけではありません。
ヒアリング・プラン提案・法規チェック・素材選定・詳細図作成・現場対応…と、段階ごとに膨大な作業と判断が求められます。
実際には、打ち合わせや図面作成、申請手続き、工事中の監理などを含めて、数百時間を超えることもざらにあります。
その間、設計者は建主と何度も対話を重ねながら、希望を整理し、暮らしやすさやコストのバランスを考え、プランを練っていきます。
こうした仕事は“目に見えにくい”部分ではありますが、家づくりのクオリティや完成後の満足感を大きく左右する、いわば「縁の下の力持ち」のような存在です。
● 理由③ 設計者は“施主の味方”として動いている
さらに、設計事務所の重要な役割のひとつが、施主の立場に立って工事全体を見守る“代理人”のような存在であることです。
たとえば、工務店や職人さんと現場でやりとりする場面では、「ここはもっとこうしてほしい」「この納まりは図面と違いますよ」といった調整や指示を、設計者が代わりに行います。
これは、建て主自身ではなかなか判断できないことを、プロとして中立的にチェックして、必要な修正を求めるという大事な仕事です。
もし設計者がいなかったら、専門的な判断をしないまま工事が進んでしまうこともあります。完成してから「やっぱり気になる…」「思っていたのと違う…」となってしまうのは避けたいですよね。
設計事務所では、こうした品質管理や調整の手間もすべて“設計料”に含まれているのです。
● 設計料は“安心して家づくりを進めるための保険”
設計料は、確かに工事費にプラスされる「別の費用」として見えるかもしれません。でもその中には、「満足のいく家をつくるための知恵と時間と労力」が詰まっています。
何より、建て主の立場に寄り添って、
- 思いをくみ取り
- 将来を見据えた提案をし
- 現場をチェックし
- 細部まで責任をもって家づくりを伴走してくれる
そんな存在がいることの安心感は、費用以上の価値があると感じていただけるはずです。
4. 設計料の価値とは?納得できる3つのポイント
ここまで読んでいただいた方の中には、「なるほど、設計料っていろんな仕事が含まれているんだな」と感じてくださっているかもしれません。
でも実際のところ、「それでもやっぱり高いんじゃないかな?」という気持ちが残るのも自然なことです。
そこでこの章では、設計料に見合う“価値”とは何か?ということを、3つの視点からご紹介します。
① 建築トラブルを未然に防げる
家づくりは一生に一度の大きなプロジェクト。だからこそ、できるだけ「後悔のない家」にしたいですよね。
設計事務所では、図面を描く前の段階から、建てる土地の法的な条件や周辺環境、構造的な安全性などをしっかりとチェックしながら進めていきます。
これにより、後になってから「ここに窓がつけられなかった」「隣の建物との距離が足りなかった」といったトラブルを未然に防ぐことができます。
また、工事が始まってからも、設計者が現場を確認しながら進めてくれるので、「図面と違うものが建ってしまった」「細かい仕上げが雑だった」といった施工ミスにも早めに気づいて対処することができます。
つまり、設計料は“安心して工事を進めるための保険”のような役割も果たしています。
② 将来を見据えた家づくりができる
目の前のことだけでなく、5年後、10年後、20年後の暮らしを考えた家づくり。これは、設計事務所の得意分野でもあります。
たとえば…
- 将来的に子ども部屋を仕切れるように設計しておく
- 年齢を重ねても暮らしやすい動線を確保する
- メンテナンスがしやすい素材を選んで、長くきれいに住めるようにする
など、そのときには気づきにくい部分まで計画的に設計していきます。
こうした配慮があることで、「子どもが成長しても使い勝手がいい」「リフォームしなくてもずっと快適に暮らせる」といった、暮らしの“持続力”が高い住まいになります。
家は建てた瞬間がゴールではありません。設計事務所は、暮らしの“その後”まで見据えた家づくりのパートナーでもあるのです。
③ 中立の立場でコストをコントロール
設計事務所は、工事金額が高くなったからといって、そこから追加で利益を得ることはありません。
つまり、「高い材料をすすめて利益を上乗せする」といったことがない、中立的な立場でアドバイスができるのが強みです。
だからこそ、
- どこにお金をかけるか
- どこでコストを抑えるか
- 優先順位をどう決めるか
といったことを、施主と一緒に冷静に考え、予算全体のバランスをとる“予算配分の最適化”を行うことができます。
たとえば、「外壁はシンプルにして、その分リビングの窓を広くして明るさを重視しましょう」といったように、限られた予算の中で“満足度の高い選択”ができるように導いてくれます。
コストを削るのではなく、お金のかけ方を整える。それが設計事務所の大きな役割のひとつです。
5. 設計事務所に頼むか迷っている方へ
「興味はあるけど、本当に自分たちに合ってるのかな?」
「設計料ってちゃんと払う価値あるの?」
設計事務所に依頼するかどうかで迷っている方は、こうした不安や疑問を感じているのではないでしょうか。
そんなときにまずお伝えしたいのは、設計事務所の家づくりは「安さ」ではなく、「満足度」や「安心感」に価値を感じる方におすすめだということです。
● 設計料=「高い」ではなく「しっかり向き合ってくれる安心感」
設計料という明確な費用がかかるのは確かに事実です。でもその分、設計者は建て主と一対一でしっかり向き合いながら進めてくれるのが大きな特長です。
打ち合わせの回数に上限があるわけでもなく、「こういう暮らし方がしたい」「これって変ですか?」といった小さな相談にもじっくり耳を傾けてくれます。
設計から素材選び、収納計画、照明の位置、さらには庭や家具のことまで、一緒に暮らしの全体像を考えてくれる存在です。
その過程で「本当に必要なもの」が見えてくるからこそ、家づくりの満足度が高まっていくのです。
● まずは「会って話してみる」だけでもOK
「でも、いきなりお願いするのはちょっと勇気がいる…」
そう感じる方も多いと思います。
そんなときは、まずは無料相談や初回面談を利用してみることをおすすめします。最近は、メールやオンラインで気軽に相談できる事務所も増えてきています。
初回の相談では、たとえばこんなことがわかります:
- 設計者の人柄や考え方
- 家づくりの進め方やスケジュール感
- 設計料の仕組みやお金のかかり方
- 自分たちの希望がどこまで実現できそうか
この時点で「なんか合わないな」と感じたら、無理に進める必要はありません。“相性”を確かめる場として利用するくらいの気持ちでOKです。
● 自分たちに合ったパートナーを見つける感覚で
設計事務所選びは、ただ商品を比較するようなものではありません。
どちらかというと、人生の一部を一緒に歩んでくれる“パートナー”を探すような感覚に近いかもしれません。
建て主の思いやこだわりを丁寧に受け止めて、一緒に悩んで、一緒に喜んでくれる存在。
そんな相手と家づくりができたら、完成したときの喜びも格別です。
「せっかく家を建てるなら、ちゃんと納得できるものにしたい」
そう思っている方にとって、設計事務所はとても心強い選択肢になるはずです。
6. まとめ|設計料を知れば、安心して家づくりを進められる
設計事務所に支払う「設計料」とは、決して“図面を描いてもらうための料金”だけではありません。
実際には、家づくりのスタートから完成、そしてその後の暮らしまでを見据えた、総合的なサポートを受けるための費用です。
家づくりには、多くの判断や選択、予期せぬことがつきものです。
「本当にこの間取りでいいのかな?」「この素材はメンテナンスが大変じゃない?」「業者さんの言っていることって正しいの?」——
そんな時に、建て主の立場に立って一緒に悩み、解決策を考え、最適な方向へ導いてくれるのが設計事務所の存在です。
そのため、設計料には以下のような“安心”が含まれています。
- 住み手の想いやライフスタイルを深く理解した、オーダーメイドのプラン
- 性能や法規、コストのバランスがとれた実現可能な設計
- 現場にもしっかり目を配る品質管理とトラブル防止
- 家づくりの全工程に寄り添う「頼れる専門家」といった存在
最初は「ちょっと高いかも…」と感じるかもしれません。
でもその中身をきちんと知ることで、「ここまでしてくれるなら納得できる」「むしろ安心してお願いできる」と、気持ちが前向きに変わっていただけると思います。
「満足のいく家づくり」を本気で目指すなら
人生のなかでも大きな選択となる“家づくり”。
どうせなら、「あのとき思い切って相談してよかった」と思える体験にしたいですよね。
設計事務所は、そんな想いに丁寧に応えてくれる存在です。
もしあなたが、「家にこだわりたい」「失敗したくない」「納得できる選択がしたい」と思っているなら、一度相談してみる価値はきっとあります。
設計料は、その安心と満足を得るための“投資”ともいえるかもしれません。
費用の内訳や意味をきちんと知ることで、家づくりの不安が安心に変わる——
この記事が、そんな第一歩になれば嬉しいです。
家づくりについて、気になることがあればお気軽にご相談ください
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「設計事務所に相談するのってちょっとハードルが高いかも…」
「まだ具体的な計画はないけど、少し話を聞いてみたいな」
そんな方も、どうぞご安心ください。
当事務所では、家づくりに関する初回のご相談を無料で承っています。
設計料のことはもちろん、性能、間取り、暮らしのイメージまで、どんな小さな疑問でも大丈夫です。
じっくりお話を伺いながら、ご希望に合った家づくりの進め方を一緒に考えていきます。
無料相談・無料プランニングはこちらからどうぞ