高気密・高断熱でもおしゃれに!性能もデザインも両立した注文住宅のつくり方

「せっかく注文住宅を建てるなら、快適で住み心地のいい家にしたい」
「でも、やっぱり見た目もおしゃれで、自分たちらしい空間にしたい」

…そう思う方はきっと多いのではないでしょうか?

ところが、いざ家づくりを始めてみると、
「高気密・高断熱にこだわると、見た目は二の次にしないといけないのかな?」とか、
「デザインに力を入れると、断熱性能が落ちるんじゃないかな…」と思われる方もいらっしゃいます。

たしかに、住宅の性能とデザインは、どちらも大事。
でも、そのどちらかを“我慢する”必要はないんです。

最近では、「性能の高い家=かっこ悪い」というイメージは過去のもの
断熱性・気密性といった基本性能をしっかり確保しながら、シンプルで美しく、居心地のいい空間をつくることは、ちゃんと設計すれば十分可能なんです。

このコラムでは、
高気密・高断熱でも、ちゃんとおしゃれに暮らせる家づくりの考え方と工夫」を、建築士の視点からわかりやすくお伝えします。

これから家づくりを始める方も、設計の途中で迷っている方も、
「どちらも大切にしたい」と思っているなら、ぜひ参考にしてみてください。

目次

高気密・高断熱とデザインは両立できる?

「性能を優先すると、見た目はあきらめるしかない…?」それ、本当でしょうか?

家づくりを考えるとき、「性能とデザイン、どちらを優先すべきか?」という悩みはよくあるものです。

たとえば、
「高気密・高断熱の家って、断熱材やサッシを重視するから、外観や内装がのっぺりしてしまうんじゃないの?」とか、
「機能性ばかりを追い求めると、味気ない“箱っぽい”デザインになりがちで、ちょっと物足りないかも…」

そんな不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。

でも実はこれ、一昔前のイメージにとらわれているだけかもしれません。

たしかに以前は、「性能重視の家=デザインに制限がある」という印象が強かったかもしれません。
ですが最近では、断熱・気密性能をしっかり確保しつつ、見た目にもこだわった家づくりが十分に可能になっています。

その理由は、技術の進歩と設計の工夫にあります。


両立できる理由①:断熱・気密の技術が進化している

まずひとつめは、住宅の性能そのものが進化しているという点です。

高性能な断熱材やサッシが登場し、より薄く・より効率的に断熱性能を確保できるようになったことで、空間の自由度が広がりました。
「断熱性能を確保するために窓を極端に小さくする」とか、「断熱性能を確保するために窓を少なくする」といった制約も、今ではかなり緩和されています。

つまり、「快適な室内環境を保ちたいから、このデザインはあきらめよう…」というような我慢をしなくてもよくなってきているんです。


両立できる理由②:吹き抜けや勾配天井も、性能次第で快適にできる

「吹き抜けは冬寒そう…」
「天井を高くするとエアコンが効かないのでは?」
そんなイメージを持たれる方も多いのですが、実はこれは断熱・気密・換気の設計次第で大きく変わります。

たしかに、断熱性能が低かったり、気密が甘かったりすると、上下に空気が動きやすくなり、暖気が上へ逃げてしまいます。
でも、家全体の断熱性能(UA値)と気密性能(C値)をしっかり確保し、適切な換気計画を行えば、吹き抜けや勾配天井のような開放的な空間でも、快適な室温を保ちながら美しい空間を楽しむことが可能です。

また、開放感のある空間では「空気が動く設計」も重要。
床下エアコンや小型の空調補助機器の導入、吹き抜けの形状や位置の工夫によって、効率よく空気を循環させることもできます。

つまり、「デザインを優先すると性能が落ちる」というのは過去の話。
性能を確保したうえで、どう空間を魅力的に構成するかが、これからの家づくりの考え方です。


両立できる理由③:設計初期から“トータルで考える”ことが大切

性能とデザイン、両方を大切にしたいときに最も重要なのは、家づくりの初期段階から両立を前提に計画することです。

たとえば…

  • デザイン的に目立たせたい窓の位置、大きさが、家全体の断熱性能ににどう影響するのか,Ua値をシミュレーションしながらデザインする
  • 日射遮蔽の庇が家全体のデザインとどう関わるか、外観と合わせて検討をする
  • 平面計画と断面計画を検討しながら、エアコンの効率的な配置を考える

こういったポイントを建築士や設計士が総合的にバランスを見ながらプランニングすれば、見た目も機能も妥協しない住まいが実現します。


性能もデザインも、あきらめなくて大丈夫です

つまり、「高気密・高断熱の家は、無骨でつまらない」なんてことは、もうありません。
設計の段階で“両立する前提”で考えれば、性能もデザインもちゃんと手に入る時代です。

あなたが思い描く「理想の暮らし」をあきらめないためにも、
性能だけでなく、デザインのバランスも考えてくれる設計者に相談してみてくださいね。

性能を確保しながら美しさも叶える設計ポイント

窓の配置と外観デザインの工夫

家の断熱性能を高めるうえで、窓の配置やサイズはとても重要なポイントです。
でもそれは、「窓を小さくしなきゃいけない」とか「好きな場所に窓をつけられない」という“制限”ではありません。

たとえばこんな工夫があります:

  • 南側には大きな窓を配置して、冬は太陽の光をしっかり取り込む
     → 室内が明るく暖かくなり、暖房の負担も軽減できます。
  • 北側や西側は、小さめの窓にして、寒さや夏の強い西日をカット
     → 快適性をキープしながら、外観にもメリハリがつきます。
  • 窓の高さや庇など、水平ラインをそろえることで、外観がすっきりと整って見える
     → シンプルで上質な印象の外観に仕上がります。

こうした窓の配置は、性能を高めるためだけでなく、デザイン的にも「整っていて美しい家」につながるんです。

つまり、断熱とデザインは相反するものではなく、お互いを引き立て合う関係なんですね。

窓の役割について詳しくは「窓の役割と配置のコツ」をご覧ください。


開放感のある間取りは、性能を高めることで実現できる

広がりのある空間と聞くと、「寒くなりそう…」「エアコンが効きにくいのでは?」といった不安を感じる方も多いかもしれません。
たしかに、ひと昔前の住宅では、吹き抜けやワンルームのような開放的な間取りは、冷暖房が効きにくく、快適さを犠牲にするデザインとされてきました。

でも、今は違います。

断熱性能と気密性能をしっかり高めることで、
家全体の熱が逃げにくく、温度ムラの少ない空間が実現できるようになりました。

その結果、例えばこんな空間づくりが可能になります。

  • リビングからダイニング、キッチンまでつながる広々としたワンルーム空間
  • 2階とゆるやかにつながる吹き抜けやスキップフロア
  • 勾配天井やハイサイドライトを活かした高さのある明るい空間

これらは、断熱・気密・換気・空調のバランスが取れているからこそ成立する設計です。
しっかりとした性能が土台にあるからこそ、壁やドアで仕切らなくても快適な温熱環境が保てる。
その余白が、開放的で美しい空間デザインを可能にしてくれるのです。

素材選びで「機能」と「美しさ」を両立する

さらに、室内の仕上げ材や使う素材にも目を向けてみましょう。
無垢の木材や漆喰、珪藻土といった自然素材は、見た目のやさしさ・温かみがあるだけでなく、
実は調湿性・断熱補助・触感の快適さなど、暮らしに嬉しい機能性も備えています。

例えば:

  • 無垢フローリングは冬でもひんやりしにくく、素足でも心地よい
  • 漆喰や珪藻土の壁は湿気を吸ったり吐いたりして、室内の湿気を整えてくれる

こうした素材を使えば、「デザイン性が高いだけの家」ではなく、住んでいて心地よい家を実現できます。


性能を活かすことで、デザインも際立つ

家の性能を考えるということは、単に「断熱性を上げる」だけではありません。
快適に、そして長く美しく住まうための“ベースづくり”です。

そしてそのベースがしっかりしていれば、空間の魅せ方や素材の選び方によって、住まいのデザインはさらに豊かに広がっていきます。

性能を意識した家づくりは、見た目も妥協しない。
そんな発想で、「心地よくて美しい住まい」を実現していくことが良いと思います。。

デザインと快適性を両立させた間取りの考え方

シンプルな動線が、美しさと快適性を生む

「デザインにこだわった家にしたい」と思ったとき、つい外観やインテリアばかりに目が向いてしまいがちですが、実は「間取り」こそが、見た目と暮らしやすさを大きく左右するポイントなんです。

特に大切なのが「動線(どうせん)」と呼ばれる、生活の流れを考えた設計。

毎日の生活の中で、

  • 朝起きてから顔を洗うまでの流れ
  • 洗濯して干して、畳んでしまうまでの流れ
  • 帰宅して手を洗って着替えてくつろぐまでの流れ

これらがスムーズに行える間取りは、暮らしやすいだけでなく、空間にも無駄が生まれにくくなり、美しさにもつながるんです。

たとえば、こんな動線計画:

  • 洗面→脱衣→ファミリークローゼットを一直線につなぐ
     → 洗濯物の移動距離が最小限に。洗う・干す・しまうが楽になるだけでなく、家事道具をひとまとめにできるので空間もすっきり。
  • リビングとキッチンを壁で仕切らず、ゆるやかにつなげる“回遊動線”
     → 家族が自然に行き来できて、見通しのよい開放的な空間に。視線が抜けることで、空間が広く・美しく感じられる効果もあります。

こうした「無理のない動線」は、住み心地のよさと空間の整った印象のどちらも叶えてくれる、実はとても大事なデザイン要素なんです。


「区切りすぎない間取り」で温度ムラも視線の抜けも両立する

快適さと美しさを両立する家づくりでは、「空間をどう仕切るか(仕切らないか)」が大きなカギになります。
冷暖房効率を考えると、つい部屋を細かく区切りたくなりますが、それでは視線の抜けがなくなり、空間が狭く感じてしまいます。

そこで有効なのが、「ゆるやかに区切る」間取り。

たとえば:

  • 腰壁や天井の高さの変化で空間の用途を分ける
  • 家具や造作棚を間仕切り代わりに使うことで、視線は通しつつ機能を分ける
  • 室内ドアをなるべく減らし、気流の妨げを減らす

このように、完全に仕切らずにゾーニングすることで、空気の流れを邪魔せず、空調の効率も落とさずに済みます。
結果的に、温度ムラのない快適な住まいと、抜け感のある美しい空間が両立できるのです。


「片付けやすさ」もデザインのうち

収納の数や大きさだけでなく、「どう片付けるか」まで計画に含めると、自然とモノが整い、結果として美しい空間が保たれます。

たとえば:

  • 帰宅後すぐにカバンや上着をしまえる収納を玄関横に
  • 子どものおもちゃを“出し入れしやすい場所”に配置して、自然にお片付けできる習慣づけを

こうした配慮が、「片付いている状態が自然に保てる家」=いつも整っていて心地よい家につながります。


デザイン性のある間取りは、「暮らしやすさ」から生まれる

おしゃれな家は、どこか整っていて、無駄がなく、広々と感じられますよね。
それはつまり、「暮らしの流れがスムーズになるように設計されている」ということ。

見た目を重視するだけでなく、生活のしやすさと一体で間取りを考えることで、結果として美しい住まいになるのです。

機能と美しさは対立するものではありません。
「こう暮らしたい」という思いをしっかりと間取りに反映させれば、自然と空間にも美しさが宿る——
そんな家づくりを、私たちは一緒に考えていきます。


まとめ|性能とデザインを両立させる家づくりは「設計の力」がカギ

「高気密・高断熱の家にしたいけど、デザインにはこだわれないのかな…」
「機能性を優先すると、やっぱり見た目は我慢しなきゃいけないのかも」

そう思ってしまう方も多いかもしれません。
でも今の家づくりは、もう「どちらかを我慢する」時代ではありません。

断熱や気密の技術が進化し、設計の工夫次第で、性能とデザインはどちらも叶えることができるようになっています。
「一年中快適に過ごせる心地よさ」と「住むほどに愛着が湧く美しいデザイン」——
その両方を実現できる住まいは、決して夢ではありません。

ただし、それには家づくりの初期段階から、両立を前提に考えることがとても大切です。
「性能とデザインはどちらも大事」という視点を持った建築家や設計事務所と一緒に、
「どんな暮らしがしたいか」「どんな空間が心地いいか」をじっくり対話しながら、ひとつずつ形にしていく。

そうすることで、見た目にも暮らしにも満足できる、長く快適に住み続けられる家がきっとできあがります。

もし、あなたが「性能にもデザインにもこだわった家を建てたい」と考えているなら、
ぜひ一度、両立の視点を持つプロの建築士に相談することをおすすめします。
家づくりは、一生に一度の大きな選択。だからこそ、性能もデザインも妥協せず、納得できる住まいをつくっていただきたいと思います。

もし「性能もデザインも両立させた理想の家づくりを具体的に進めたい」と感じたら、
ぜひお気軽にご相談ください。

私たちは、住み心地の良さと美しさを両立させる設計を得意としています。
あなたのご希望に合わせたプランをご提案いたします。

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