「名古屋で中古マンションを買ってリノベーション|費用・物件選び・進め方のポイント」

名古屋市内で理想の住まいを手に入れたいと考えたとき、「中古マンションを購入してリノベーションする」という考え方の方も、多いのではないかと思います。新築に比べてコストを抑えつつ、自分たちのライフスタイルに合った空間を実現できる点が大きな魅力です。
とはいえ、物件選びのコツや、リノベーションにかかる費用、設計・施工の流れなど、初めての方にとってはわからないことも多いはずです。特に名古屋エリアは地域によって相場や物件の傾向にも違いがあるため、正しい知識をもとに計画を立てることが大切です。
この記事では、名古屋で「中古マンション購入+リノベーション」を成功させるために、費用の目安、物件選びのポイント、リノベーションの進め方などを、設計の専門家の視点からわかりやすく解説していきます。
なぜ今「中古+リノベーション」が選ばれているのか
ライフスタイルが多様化する中、「家は買うもの」だけではなく「自分に合わせてつくるもの」へとする考え方も増えています。特に都市部では「中古+リノベーション」という選択肢が注目されており、その背景にはいくつかの理由があります。
コストを抑えて、理想の住まいを実現できる
新築マンションや新築戸建ての価格は、土地代や建設コストの高騰により、年々上昇しています。名古屋市内でも駅近や人気学区にある新築物件は4,000万円〜5,000万円を超えることも珍しくありません。
その一方で、中古マンションは築年数によって価格が大きく下がる傾向があります。例えば築30年程度のマンションなら、同じエリアでも新築の半額〜3分の1の価格で手に入ることもあります。
さらにリノベーションであれば、内装・間取り・設備をゼロから自分の理想に合わせて設計できるため、「価格は抑えつつも、自分らしい家を手に入れたい」という方にとって非常に魅力的な選択肢になります。
例えば:
- キッチンを中心にした開放的なLDKに
- 無垢材や左官など、自然素材を取り入れたナチュラルな空間に
- 断熱改修や収納計画を取り入れた高性能な住まいに
など、建売住宅では難しい「暮らしのカスタマイズ」が可能です。
ただし、注意点は10年~15年ほど住んで引っ越すのか、終のすみかとして住み続けるのかによって、どこまでリノベーションするかを検討す必要があります。
名古屋エリアは中古物件の選択肢が豊富
名古屋市は他の大都市と比べて、比較的手頃な中古マンションが多いエリアです。特に1980〜90年代にかけて開発された分譲マンションが多く、築30年以上のリノベーション向き物件が豊富に流通しているようです。
例えば以下のような地域では、中古物件+リノベーションを検討する方が多いのではないかと思います:
- 千種区:文教エリアとして人気が高く、駅近物件も多い
- 昭和区:落ち着いた住環境と利便性のバランスが魅力
- 中区・東区:都心近くで、暮らしと仕事の両立がしやすい
- 瑞穂区・名東区:子育て世帯に人気の住宅地も多く、広さのある物件が見つかりやすい
こうしたエリアでは、立地の良さはそのままに、自分たちの価値観に合った住まいを実現できるのが中古+リノベーションの強みだと思います。
価値ある住まいづくりに、個性をプラスできる
新築マンションでは、不特定多数の方を対象にしていますから、間取りや内装があらかじめ決まっていることが多く、「なんとなく無難だけど面白みがない」と感じる方も少なくありません。
一方でリノベーションでは、間仕切りを大胆に取り払ったり、素材や照明を一つ一つ選んだりと、暮らしのスタイルや価値観に合わせた設計が可能です。たとえば:
- 古い梁やコンクリートをあえて見せる「ラフな仕上げ」
- 温もりのある木材や珪藻土を用いた自然派リノベ
- ワンルーム的な開放感を重視したミニマルデザイン
- 家族構成に合わせて将来的に可変できる間取り
など、住む人の「らしさ」や「こだわり」が反映された空間になります。
中古マンション購入+リノベーションの基本的な流れ
中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、「物件探し」から「設計・施工」、そして「引き渡し」まで、いくつかのステップを踏む必要があります。この流れを理解しておくことで、途中でのトラブルや無駄な出費を避け、理想の住まいづくりをスムーズに進めることができます。
ここでは、初めての方でも分かりやすいように、基本的な流れとそのポイントをステップごとにご紹介します。
ステップ① 資金計画を立てる
最初に行うべきは、全体の予算を把握することです。
フルリノベーションの場合、費用の内訳は大きく以下の3つに分かれます:
- 中古マンションの購入費用
- リノベーション工事費(1000万円〜1,500万円程度が一般的)
- 諸費用(仲介手数料・登記費用・ローン手数料・引っ越し代など)
特に注意したいのが「物件価格と工事費のバランス」。
予算の大半を物件購入に充ててしまうと、希望のリノベーションができなくなる可能性があります。
たとえば総予算3,500万円であれば、物件に2,000万円・リノベに1,000万円・諸費用に500万円など、最初から大まかな内訳を意識しておくことが大切です。
また、住宅ローンを利用する場合は、「リフォーム一体型ローン(リノベ一体型住宅ローン)」を検討するのが一般的です。このローンでは、物件購入費とリノベーション費用をまとめて借り入れできるため、自己資金が少ない場合でも計画が立てやすくなります。
ステップ② リノベ向き物件を探す
次に行うのが、リノベーションに適した物件探しです。
この段階では「駅近」「価格」「築年数」といった一般的な条件だけでなく、リノベの自由度や建物の状態も重要なチェックポイントになります。
■ リノベーションに適した構造かどうかを確認
マンションには構造形式の違いがあり、リノベの自由度を左右します。たとえば:
- ラーメン構造(柱と梁で支える):間仕切り壁が非構造壁のことが多く、間取り変更がしやすい
- 壁式構造(壁で支える):構造壁が多く、抜けない壁があるため、大幅な間取り変更には制約が出やすい
構造は図面や不動産資料からは分かりにくいこともあるため、建築士に同行してもらい、現地で確認するのがおすすめです。
■ 建物全体の管理状態も重要
築年数だけでなく、マンション全体が良好に維持されているかも判断基準になります。チェックすべきポイントは以下の通りです:
- 過去の大規模修繕工事の有無と内容
- 修繕積立金の金額と残高
- 管理組合の運営状況や清掃状態
- 給排水・電気設備などの老朽化状況
管理が行き届いていない建物では、せっかく住戸内をリノベーションしても快適性や資産価値が損なわれる可能性があります。
名古屋でリノベ向き中古マンションを選ぶポイント
中古マンションの選定は、リノベーションを成功させるための最初で最大のハードルとも言えます。価格や立地はもちろん重要ですが、それだけで決めてしまうと、「思ったようにリノベできなかった」「見えない部分に不具合があった」と後悔する可能性も。
以下では、名古屋エリアで「中古+リノベーション」を検討する際に、特に注目すべきポイントを詳しく解説します。
■ リノベしやすい構造かどうかを確認する
マンションの構造には、主に以下の2種類があります。
構造タイプ | 特徴 | 向いているリノベ |
---|---|---|
ラーメン構造 | 柱と梁で建物を支える | 壁の移動・撤去がしやすく、自由度が高い |
壁式構造 | 壁で建物を支える | 耐力壁が多く、間取り変更が制限される |
たとえば、3LDK→2LDKにしたい、キッチンを対面式にしたいなど、大きく間取りを変えたい人にはラーメン構造の物件がいいと思います。
逆に、壁式構造では「この壁は抜けません」と言われることも多く、理想のプランが実現できないことがあります。
図面だけでは構造の判断が難しいケースもあるため、購入前に設計士や建築士に相談し、「希望のリノベが実現できるかどうか」をチェックしましょう。
■ 管理状態・修繕履歴をチェックする
リノベーションは住戸内の工事が中心ですが、マンション全体の状態が悪ければ、快適な暮らしは実現できません。
以下のポイントは必ず確認しましょう:
- エントランスや共用廊下の清掃状況
→雑然としていたり、劣化が目立つ場合は管理体制に不安があるサイン - 修繕積立金の金額や使途
→極端に安い積立金だと、将来の大規模修繕に支障が出る恐れあり - 過去の修繕履歴(屋上防水・給排水管の更新など)
→定期的に修繕が実施されていれば、築年数が古くても安心材料に
また、管理人が常駐しているかどうかも、日常的な安心感に影響します。
「築古=ダメ」というイメージを持つ方もいますが、40年以上の物件でも管理状態が良好なら長く住めるケースは多くあります。逆に、見た目がキレイでも管理が行き届いていない物件は避けるべきです。
■ 地域ごとの特色と暮らしやすさも大事
名古屋市は、エリアによって街の雰囲気や物件の傾向が大きく異なります。以下に代表的なエリアの特徴をまとめます:
エリア | 特徴 |
---|---|
千種区・昭和区 | 学区・教育環境が整っており、文教地区として人気。地下鉄沿線に物件が多く、便利さと住みやすさのバランスが良い。 |
中区・中村区 | 名古屋駅・栄エリアへのアクセスが良好。単身者・DINKS向けのコンパクトな物件が多く、投資用物件との競合もある。 |
瑞穂区・天白区 | 落ち着いた住宅街が多く、駐車場付き物件も比較的探しやすい。子育て世代に人気があり、周辺環境の静けさが魅力。 |
このように、単に「安いからここ」と選ぶのではなく、将来的なライフスタイルや通勤・通学の動線、さらには住環境(公園、商業施設、交通利便性)なども含めて、暮らしの質を基準に選ぶことが重要です。
■ 建築士に同行してもらうのも一案
物件選びは専門的な判断が求められる場面も多いため、早めの段階から建築士に相談し、「設計の目線」で物件をチェックしてもらうのが良いと思います。
購入後に「構造上この壁が取れなかった」「給排水管が古くて予定より費用がかかった」など、想定外の問題が起きるリスクを減らすことができます。
リノベーション費用の目安と内訳
中古マンションのリノベーション費用は、物件の専有面積や改修範囲、使う素材や設備のグレードによって大きく変動します。「どこまで手を加えるか」「どんな暮らしを実現したいか」によって、総費用に数百万円以上の差が出ることも珍しくありません。
ここでは、名古屋エリアで想定される「中古購入+フルリノベーション」の予算感と、費用の内訳の一般的な目安をご紹介します。ただし、仕様する材料や設備により費用は上下します。
■ 中古購入+リノベーションの総額イメージ
項目 | 想定金額(目安) |
---|---|
中古物件価格 | 2,000万〜3,500万円(名古屋中心部〜郊外) |
リノベーション費用 | 1000万〜1,500万円(60〜70㎡のフルリノベ想定) |
合計予算 | 約3,000万〜5,000万円 |
名古屋市中心部の人気エリア(例:千種区、昭和区、中区)では物件価格が上がる傾向がありますが、郊外や地下鉄沿線で条件を調整すれば、広さと価格のバランスをとることも可能です。
たとえば新築マンションでは同等スペックの住戸が5,000万〜6,000万円超となることもあるため、中古+リノベは「コストを抑えて理想の空間を叶えたい人」にとって魅力的な選択肢となります。
■ リノベーション費用の内訳とポイント
項目 | 費用の目安(60〜80㎡) | 内容・注意点 |
---|---|---|
設計・デザイン費 | 80万〜200万円 | 設計事務所やリノベ会社への依頼料。プランニングやデザイン性にこだわると費用が増える。 |
解体・撤去工事 | 50万〜100万円 | 既存の内装を解体・処分する工程。築年数が古い場合、想定外の補修が発生することも。 |
住宅設備(キッチン・浴室など) | 150万〜400万円 | システムキッチンやユニットバスのグレードにより変動。国内大手メーカー製から海外ブランドまで幅広い。 |
内装・間取り工事 | 300万〜700万円 | 間取り変更、床・壁・天井の仕上げ、建具・造作家具など。素材選びで費用差が大きい。 |
給排水・電気工事 | 100万〜200万円 | 見えない部分だが非常に重要。老朽化した配管の交換や、電気容量の見直しが必要なことも。 |
総額で1,000万円を超えるケースも多く、「最初に想定していたよりも予算オーバーした」というケースも少なくありません。
そのため、設計・見積もり段階で「優先順位を決めておく」ことが大切です。
■ グレード別のイメージ例(60㎡台・3LDK想定)
グレード | 総額 | 内容 |
---|---|---|
ベーシックグレード | 約800万〜1,000万円 | 間取りはほぼそのまま/設備は中級グレード/内装はシンプルな素材中心 |
スタンダードグレード | 約1,000万〜1,300万円 | 水まわりの位置変更あり/設備は中〜上級/造作家具や収納あり |
ハイグレード | 約1,300万〜1,500万円以上 | 間取りを大幅に変更/自然素材や高級建材を使用/デザイン重視の空間 |
■ 費用を抑えるコツは?
- 既存の間取り・設備を活かす部分を残す
- 素材や設備は「高級志向」ではなく「機能とデザインのバランス」で選ぶ
- 複数の業者に相談し、相見積もりを取って検討する
リノベーションは“すべてを新品にすればよい”のではなく、「本当に必要なこと」に投資し、「無理のない予算」で計画することが成功の鍵です。
名古屋でリノベーションする際の注意点と成功のコツ
中古マンションのリノベーションは、自由度の高さが魅力ですが、その一方で「知らなかった」ことが原因で想定外のトラブルが発生することもあります。
失敗しないためには、事前の準備とパートナー選びがカギ。以下のポイントを押さえることが重要です。
■ 購入前に建築士に相談すべき理由
中古マンションを購入してリノベーションする場合、できれば物件を購入する前の段階で設計士など専門家に同行してもらうことが良いかと思います。
● 間取り変更の可否は構造次第
例えば、「間仕切り壁を撤去して広いLDKにしたい」という要望があっても、壁式構造の物件では一部の壁を撤去できない場合があります。
また、水回りの移動が難しいこともあり、排水経路や床下配管の高さ制限がネックになるケースも。
● 「買ったけどリノベできなかった」のリスク回避
物件の構造・給排水・電気配線の状況など、表面からは見えない部分に制約があることも多いため、プロの目であらかじめ可能性を見極めておくことが重要です。
● 建築士は「家を買うためのパートナー」に
不動産仲介はあくまで「売買のプロ」であり、設計や構造に精通しているわけではありません。設計士は“住むための目線”で物件のポテンシャルを評価してくれるため、購入前から相談しておくと、住まいづくりのミスマッチを防げます。
■ 工事不可・制限のある共用部の存在
マンションの中には、専有部分と共用部分の境界が曖昧な部分があり、自由にリノベできないエリアも存在します。
● 共用部とは?
- 玄関ドア(外側)
- 窓枠・サッシ
- バルコニーの床・手すり
- 外壁・躯体
これらは居住者個人の判断で工事できないため、たとえば「二重窓を設置したい」「玄関ドアを交換したい」などの要望があっても、管理組合の許可が必要、または不可のケースもあります。
● 管理規約は必ず事前確認
- 無垢フローリングの使用制限(遮音等級の指定あり)
- 工事可能な時間帯や期間のルール
- 専用部分であっても、工事内容の届け出義務
マンションごとに規約や細則が異なるため、購入前に「管理規約」「使用細則」をしっかり確認しましょう。不安な場合は、設計士と一緒にチェックしてもらうのが安心です。
■ スケジュールの余裕と仮住まいの準備
中古マンションのリノベーションは、次のような流れで進みます:
- 物件購入(契約〜引渡し):1〜2ヶ月
- 設計・打ち合わせ期間:3〜6ヶ月
- 管理組合への工事申請・許可待ち:2〜4週間
- 工事期間(着工〜完了):3〜5ヶ月
「物件を買ったのにすぐ住めない」というのがリノベーションの特徴です。引越しを急ぎたい場合は、仮住まいをどこに、どれくらいの期間確保するかを事前に検討しておきましょう。
● 仮住まいの費用や引越しの段取りにも注意
- 家賃・光熱費の二重支払い
- 仮住まいから本住まいへの二重引越し
- 子どもの転校や通勤距離の変化
など、仮住まいにかかるコストや生活の影響も計算に入れておくと、トータルでの負担が見えやすくなります。
■ 信頼できる設計・施工パートナーの選び方
リノベーションの成功は、“誰と一緒につくるか”に大きく左右されます。
● 設計と施工を分ける or ワンストップ?
- 【設計+施工一体型(リノベ会社)】:打ち合わせがシンプルで時間短縮。提案力は会社により差あり。
- 【設計事務所+施工会社(分離発注)】:提案の自由度が高く、設計のこだわりや断熱性能なども丁寧に対応可能。
● 設計事務所に依頼するメリット
- ライフスタイルや将来の変化まで見越したプラン提案
- 構造・断熱・採光・動線などの性能にもこだわった住まいづくり
- 中立の立場で施工内容・コストをチェック
これらを押さえておくことが、リノベーションは重要になります。
名古屋で「中古+リノベ」を成功させたい方へ
リノベーションは、単なる古い住宅の再生ではなく、「これからの暮らし」を再設計するプロジェクトです。
私たちが大切にしているのは、「リノベーションありき」の住まいづくりではなく、「暮らし方ありき」のリノベーションです。
住まいは、人生のなかでも大きな選択です。
特に「中古物件+リノベーション」は、自由度がある分、「誰と進めるか」が成功のカギになります。
名古屋でこれから「中古+リノベーション」をお考えの方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
あなたの理想の暮らしを実現するために、設計の立場から全力でサポートいたします。
無料相談。無料プランニングはこちらからどうぞ