吹き抜けのある家のメリット・デメリット|後悔しないための設計ポイントも解説

吹き抜けのある家ってどうなんだろう?憧れるけど、不安もある…
注文住宅の間取りを考えていると、「吹き抜けのあるリビングっていいなあ」と感じたこと、ありませんか?
天井が高くて明るく、開放感があって…家づくりの中でも、ちょっと特別な存在ですよね。
でも同時に、
- 「冬、寒くならないのかな?」
- 「エアコン効きにくいって聞くけど本当?」
- 「音が響いたり、においが上に行ったりしそう…」
- 「実際に住んでみたら、後悔しないかな?」
そんなふうに、メリットだけじゃなくてデメリットも気になってしまうのが、吹き抜けのある家のリアルなところです。
じつは、吹き抜けは設計や住宅性能によって良くも悪くもなる部分なんです。
しっかり断熱・気密・空調を考えてつくれば、「吹き抜けは寒いからやめた方がいい」というのはもう昔の話。今の家づくりなら、開放感と快適さを両立することも十分できます。
このコラムでは、
- 吹き抜けのある家のメリット・デメリット
- 後悔しないための設計の工夫
- 吹き抜けが「合う人・合わない人」のポイント
などを、愛知県で「夏涼しく、冬暖かい家づくり」をしている設計事務所の目線で、わかりやすくお伝えします。
吹き抜けにちょっとでも惹かれている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
吹き抜けのある家とは?
そもそも「吹き抜け」ってどんな空間?
「吹き抜け」って言葉、家づくりを考えはじめるとよく耳にしますよね。
簡単にいうと、1階から2階(またはそれ以上)まで、天井が抜けていて上下がつながっている空間のこと。まるで建物の“ワンフロア分”が縦に広がっているようなイメージです。
特に人気なのが、リビングや玄関など、家の“顔”になる場所に吹き抜けを設ける間取り。
例えば、リビングに大きな吹き抜けがあると、実際の広さ以上に「わぁ、広い!」と感じられて、家に入った瞬間に開放感が生まれます。
それに、2階にある窓から自然光を取り込めば、1階の空間までやさしい光が届くので、昼間も電気をつけずに過ごせるような明るい空間になることも。
「天井が高いって、こんなに気持ちいいんだ!」という感覚、体感するとけっこう感動します。
どうして吹き抜けは人気なの?
最近は、「コンパクトな家でも広く見せたい」「限られた土地でも明るく開放的にしたい」というニーズが増えています。
吹き抜けは、そんな住まいの課題をうまく解決してくれる有効な手段なんです。
しかも、以前は「吹き抜けは寒い」「冷暖房が大変」というイメージもありましたが、最近の住宅は断熱性・気密性が格段に進化しています。
しっかりとした性能を持った家なら、吹き抜けをつくっても冬寒くなりすぎることはありません。
それに加えて、「家の中で上下階のつながりを感じられる」というのも大きな魅力。
たとえばリビングにいるとき、2階にいる家族の気配や声が自然に感じられるのは、吹き抜けならではの楽しさです。
つまり、吹き抜けは単なるデザインの一部ではなく、
家全体の“空間の質”をぐっと上げてくれる存在なんです。
吹き抜けのある家のメリット
1. 開放感があり、空間が広く感じられる
吹き抜けのいちばんの魅力といえば、なんといっても「開放感」です。
天井がぐんと高くなることで、同じ面積でも体感的には何倍も広く感じられます。
たとえばリビングに吹き抜けをつくると、ソファに座ったときの“上の抜け感”がとても気持ちよく、圧迫感のない、のびのびした空間になります。
小さなお子さんが走り回ったり、休日に家族でのんびりくつろいだり。
そんな日常のワンシーンが、「空間の広がり」によってもっと豊かに感じられるのが、吹き抜けの力です。
2. 光が入りやすく、明るいリビングになる
「家の中をできるだけ自然光で明るくしたい」というのは、多くの方の共通の希望ですよね。
吹き抜けがあると、2階の高い位置に窓をつけられるので、そこからやわらかい光が1階のリビングまで届きやすくなります。
特に、住宅密集地などで1階の採光がとりにくい場合でも、吹き抜けをうまく使えば「上から光を取り込む」ことが可能に。
昼間は照明いらずで、やさしい自然光の中で過ごせる快適な空間になります。
3. 家族の気配を感じやすくなる(2階とのつながり)
吹き抜けは、空間だけでなく家族同士のつながりも近づけてくれます。
たとえば、1階のリビングにいても、2階にいる子どもの声や気配が自然に伝わってきたり、吹き抜け越しにちょっと声をかけたりもできます。
「おーい、ごはんできたよー」なんて呼びかけも、わざわざ階段を上らなくても届きますし(笑)、
思春期のお子さんでも、完全に“部屋にこもりっきり”にならないのは、親としてもちょっとうれしいところではないでしょうか。
適度な距離感でつながれる設計は、家族が自然にコミュニケーションをとれる暮らしにつながっていきます。
4. 暖気が上昇し、2階まであたたまりやすい
「吹き抜けって、冬は寒いんじゃないの?」という声もよく聞きますが、じつは設計次第でその逆の効果もあります。
リビングで暖房をつけたとき、あたたまった空気は自然と上にのぼっていくので、2階のホールや部屋まで暖かくなることも。
特に断熱性・気密性がしっかりした家であれば、暖気がムダに逃げていくことも少なく、上下階の温度差が小さくなります。
床下エアコンや吹き抜け用のシーリングファンを組み合わせれば、効率よく家全体をあたためられる空間設計も可能になります。
「吹き抜け=寒い」と思われがちですが、正しく設計すれば「吹き抜けだからこそ暖かい」という家にすることもできるんです。
5. デザイン性・シンボル性があり、来客にも印象的
吹き抜けは、構造的にも視覚的にも、その家の“顔”になる存在です。
リビングに入った瞬間に広がる空間の高さや、2階の窓から降り注ぐ光、階段や梁の見せ方など、どこか“特別感”のある演出ができるのが魅力。
実際、来客が「わあ、素敵ですね!」と感動してくれることもよくあります。
シンプルな空間でも、吹き抜けがあるだけでグッと印象が引き締まり、個性的で印象に残る家づくりにつながります。
また、照明や天井ファン、アイアンの手すりなど、インテリアとの相性を考えてデザインを楽しめるのも魅力のひとつ。
「毎日見上げたくなる空間」があるって、やっぱりうれしいですよね。
吹き抜けのある家のデメリットと注意点
※ただし、設計や性能次第で十分にカバーできます!
1. 冬に寒くなりやすい?でも、それ本当に「性能次第」です。
「吹き抜けって寒いんでしょ?」とよく聞かれます。
たしかに、暖かい空気は上にのぼるので、天井が高い吹き抜け空間だと、リビングの下の方にいるときに「なんだか足元が寒いなあ…」と感じることがあるかもしれません。
でも、ここで大事なのが家の断熱性と気密性。
きちんと断熱された空間なら、せっかく温めた空気が外に逃げにくく、吹き抜けでも室温がしっかりキープできるんです。
むしろ断熱・気密がしっかりしていないと、吹き抜けがなくても家全体が寒くなってしまいます。
つまり、「吹き抜け=寒い」は一概には言えず、「吹き抜け×高性能な家=快適」が今の家づくりの考え方です。
2. 音やにおいが上下階に伝わりやすい
吹き抜けは空間がつながっているぶん、音やにおいもつながりやすいという面があります。
たとえば、2階で誰かが音楽を流していたり、夜に話し声が響いたり。1階で調理しているにおいが、2階の廊下や部屋に届くことも。
これは「家族の気配が感じられて安心」と捉えることもできますが、生活スタイルによってはストレスになる可能性もあります。
特に思春期のお子さんや、在宅ワークをしているご家族がいる場合は、音のゾーニング(空間の分け方)に少し気をつけたいところです。
具体的には、
- 壁の遮音性を高める
- ドアを引き戸にせず開き戸にする
などのプランニング上の工夫で対策できます。
3. 掃除やメンテナンスがちょっと大変
「吹き抜けに憧れるけど、あの高いところ…掃除ってどうするの?」
これも、現実的な悩みですよね。
吹き抜けに付ける照明や窓は高い位置にあることが多く、簡単に手が届きません。
虫が入ったりホコリが溜まったりしても、脚立で登って掃除…となると大変です。
とはいえ、最近では
- 昇降式の照明器具
- 吹き抜けにキャットウォークのような簡単な通路を設ければ、掃除などメンテナンスがしやすくなります
など、「手が届かない=不便」にならないための工夫はいろいろあります。
設計の段階でメンテナンス性も意識しておけば、日々の暮らしで困ることは少なくなります。
4. 冷暖房の効率が悪くなることもある(けど、これは設計次第!)
吹き抜けがあると、空気のボリューム(体積)が増えるので、冷暖房に時間がかかる・効きにくいと感じる場合があります。
特に、断熱や気密が不十分な家だと、エアコンでせっかく温めた(あるいは冷やした)空気が逃げてしまい、上下階で温度差が出てしまうことも。
でもこれも、「きちんと設計すればちゃんと快適にできる」部分です。
たとえば:
- 吹き抜け上部にシーリングファンを設置して空気を循環
- 床下エアコンや全館空調を使って下から暖める
などの方法で、吹き抜け空間でもしっかりと快適な室温を保つことができます。
また、「吹き抜けの大きさや位置」も大切な要素。
無理に広く取りすぎるよりも、必要なだけ、効果的に設けることで冷暖房の効率も上がります。
デメリットは「工夫と性能」で乗り越えられる!
吹き抜けにはたしかに注意すべき点もありますが、それらの多くは、家の性能(断熱・気密)と設計の工夫でしっかり対策できるものです。
「どうしても寒くなるからやめた方がいい」という時代は、もう終わり。
むしろ、空間としての魅力を活かしつつ、ちゃんと快適に暮らせる家にすることができるのが今の家づくりです。
後悔しないための設計ポイント
1. 断熱性・気密性をしっかり高めて「寒さ対策」を万全に!
吹き抜けがあっても、家の中が快適かどうかはまず断熱性能と気密性能にかかっています。
吹き抜けの空間は天井が高い分、外気の影響も受けやすいので、特に屋根や吹き抜けまわりの壁の断熱は手を抜けません。
しっかり断熱されていると、外の冷たい空気が入ってくるのを防ぎ、室内の暖かさを逃がさずキープできます。
これがしっかりしていれば、吹き抜けの高さによる寒さもグッと抑えられますよ。
逆に断熱・気密が甘いと、吹き抜けに限らず家全体が寒くなってしまうので、ここは「ケチらずに」しっかり施工したいポイントです。
2. 空調の工夫で吹き抜けの上下の温度差を減らそう
吹き抜けがあると、暖かい空気は自然に上にのぼっていくので、2階がぽかぽか、1階の床はちょっとひんやり…ということも起こりがち。
そこでおすすめなのが、シーリングファン(天井についている回転するファン)の活用です。
これをつけると、暖かい空気を下に押し戻して空気を循環させてくれるので、上下の温度差をグッと減らせます。
さらに、最近は床下エアコンという床下空間に設置するエアコンや、家全体を効率よく冷暖房できる全館空調システムもよく検討されます。
こうした設備とシーリングファンを組み合わせれば、吹き抜けがあっても部屋中が均一に快適な温度に保てるんです。
3. 吹き抜けの「位置」と「大きさ」は設計でしっかり決めよう
吹き抜けは「大きければいい」というわけではありません。
実は、吹き抜けの大きさや位置が住み心地に大きく影響します。
たとえば、吹き抜けをリビングの中心にどーんと大きく作るのではなく、天井の低いところと、天井の高い吹き抜けを設けることで、空間のメリハリをつけることがとても大切です。
または、光や風をうまく取り込めるような場所に適度な大きさで設けると、快適で効率的な空間になります。
設計段階で、
- どこにどのくらい吹き抜けを設けるか
- 採光や通風の流れにどう影響するか
- 空調計画とどう合わせるか
をしっかりシミュレーションして決めることが、後悔しないポイントです。
4. 採光・通風もしっかりコントロール!自然の力を活かそう
吹き抜けに面した高い位置の窓(高窓)から差し込む自然光は、家の中を明るくしてくれるだけじゃなく、気持ちまで明るくしてくれますよね。
でも光の入り方や日射の強さは季節によって変わるので、日射遮蔽(夏の強い日差しを遮ること)も大切です。
また、風の通り道を計画しておくと、自然の風で換気もスムーズに。
風が家の中を気持ちよく流れると、エアコンに頼りすぎずに済むので、健康にも家計にも優しいですよね。
こうした採光や通風の「パッシブデザイン」は、吹き抜けの心地よさを最大限引き出すために欠かせない工夫です。
このように、吹き抜けの快適さは断熱・気密・空調・設計のバランスで決まります。
デザインだけでなく、こうしたポイントを押さえた設計事務所と相談しながら進めると、後悔のない素敵な家づくりにつながりますよ!
こんな人に吹き抜けの家はおすすめ!
1. 明るさや開放感をとにかく大切にしたい人
もし「家の中に自然光がたっぷり入ってほしい」「広くてのびのびした空間が好き!」という気持ちが強いなら、吹き抜けはまさにピッタリです。
天井が高くなることで、同じ広さでもずっと広く感じられるし、2階の窓から差し込むやわらかい光が1階まで届くので、昼間は電気をつけなくても明るく過ごせます。
「家の中にいるのに、外にいるみたいに気持ちいいなあ」って思える空間になります。
しかも、開放感があると心までリラックスできるので、忙しい毎日を過ごすあなたの癒しの場所にもなります。
2. 家族とのつながりを大切にしたい人
「家族みんなの気配をいつも感じていたい」「上下の階で離れていてもコミュニケーションが取りやすい家がいいな」と思う方にも吹き抜けはおすすめです。
吹き抜けがあると、リビングで過ごすパパやママの声が2階の子ども部屋まで自然に届いたり、逆に2階にいる子どもの様子がわかったり。
離れていてもお互いの存在を感じられるので、安心感やつながりがグッと増します。
もちろん、完全なプライバシーが欲しいときは、設計で調整できますからご安心を!
3. 高性能な家づくりにこだわりたい人
吹き抜けは、断熱性や気密性といった家の性能がしっかりしていれば、デザインのカッコよさと快適さを両立できる最高の空間になります。
「吹き抜け=寒い」「光熱費がかかる」というイメージは、今や性能の高い家づくりで大きく変わっています。
断熱・気密に優れた住宅なら、吹き抜けがあっても冬は暖かく、夏は涼しい。そんな家が実現可能です。
だからこそ、吹き抜けを取り入れるなら、性能面もしっかり考えてくれる設計事務所や工務店とじっくり相談しながら進めるのが成功のカギです。
あなたの暮らし方や好みに合った快適な吹き抜け空間を一緒に作りましょう!
吹き抜けのある家は、ただの憧れじゃなくて、暮らしやすさと心地よさを両立する“賢い選択”でもあるんです。
「明るくて開放的な空間で家族みんながつながれる家」を考えているなら、ぜひ検討してみてくださいね!
まとめ|吹き抜けのある家は「設計」で快適にできる
吹き抜けのある家は、天井が高く開放感あふれる空間や、2階の窓から降り注ぐ自然光による明るさといった、大きな魅力があります。
そんな空間は、住む人の心を豊かにし、日常を特別なものにしてくれますよね。
しかし、一方で「冬に寒く感じる」「音が響いて気になる」といった問題が起こりやすいのも吹き抜けの特徴です。
こうした問題があると、せっかくの憧れの空間が後悔につながってしまうこともあります。
しかし、心配する必要はありません。
吹き抜けの快適さは、断熱性・気密性を高めること、そして適切な空調計画や設計上の工夫を組み合わせることで十分に実現できます。
例えば、断熱性能が高い家なら暖かい空気が逃げにくくなり、シーリングファンを使って空気を循環させれば、上下階の温度差も小さくなります。
さらに、吹き抜けの位置や大きさをバランスよく設計すれば、光の入り方や風の通りもコントロールしやすくなり、快適な暮らしが実現可能です。
吹き抜けのある家に憧れているけど、「寒さや音のことが心配…」という方や、どのように設計すれば快適になるのか知りたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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