木造住宅のリノベーションはどう進める?|現状調査から設計までの流れ

「古くなった木造住宅をリノベーションして、これからも住み続けたい」

そう考える方が多くいらっしゃいます。

しかし、木造住宅のリノベーションは、キッチンや浴室を新しくしたり、間取りを変更したりするだけではありません。

特に築年数の経った住宅では、

  • 建物の耐震性は大丈夫なのか
  • 柱や梁などの構造は傷んでいないか
  • 雨漏りや腐朽はないか
  • 断熱性能は十分なのか
  • 今の暮らしに間取りが合っているのか
  • どこまで改修する必要があるのか
  • 予算の中でどこを優先するのか

など、さまざまなことを考える必要があります。

新築住宅の場合は、基本的には更地から建物をつくっていきます。

一方、リノベーションでは、すでに建っている建物の状態を確認し、それを活かしながら新しい住まいをつくっていくことになります。

そのため、設計のスタート地点も新築とは少し違います。

私は、木造住宅のリノベーションでは、まず「新しくすること」よりも、「今ある家を知ること」から始めることが大切だと考えています。

ここでは、木造住宅のリノベーションをどのような順序で進めていくのか、その基本的な流れをご紹介します。

目次

リフォームとリノベーションの違い

まず、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉について整理しておきます。

一般的には、古くなった部分を修繕したり、設備や内装を新しくしたりすることを「リフォーム」、既存の建物を活かしながら、間取りや性能、暮らし方などを見直し、新しい価値を加えることを「リノベーション」と呼ぶことが多いようです。

ただし、この二つには法律上の明確な区分があるわけではなく、実際にはさまざまな使われ方をしています。

この記事では、既存の木造住宅について、耐震性や断熱性、耐久性、間取りなどを総合的に見直し、これからの暮らしに合わせて再構成することをリノベーションと考えます。


木造住宅のリノベーションは「調べること」から始まる

木造住宅のリノベーションは、次のような流れで進めていきます。

① 現状調査

② 現状の把握・問題点の整理

③ リノベーションの範囲を決める

④ 概算予算を検討する

⑤ 詳細設計

次にもう少し詳しくご説明します。

1.まずは既存住宅の現状を調査する

リノベーションを考えるとき、最初に行いたいのが現状調査です。

古い住宅の場合、図面が残っていたとしても、実際の建物と図面が一致しているとは限りません。

過去に増築や改築が行われていることもあります。

そのため、図面だけではなく、実際の建物を見て確認することが重要です。

構造の状態を確認する

木造住宅で最も重要なものの一つが構造です。

例えば、

  • 基礎の状態
  • 柱や梁の状態
  • 筋交いの位置
  • 耐力壁の配置
  • 柱と梁などの接合部
  • 過去の増改築の状況

などを確認します。

築年数の古い住宅では、現在の耐震基準とは異なる時代に建てられている場合もあります。

そのため、必要に応じて耐震診断を行い、現在の建物がどの程度の耐震性を持っているのかを確認します。


外壁や屋根の状態を確認する

外壁や屋根も、建物の寿命に大きく関係します。

外壁のひび割れや劣化、屋根材の状態だけでなく、

  • 雨漏りの跡
  • 雨水が浸入している可能性
  • 軒先や開口部まわり
  • 外壁内部への水の浸入

なども確認します。

特に木造住宅では、雨水の浸入が構造部材の腐朽につながっていることがあります。


木部の劣化を確認する

木造住宅では、柱や土台などの木材が健全な状態にあるかどうかも重要です。

例えば、

腐朽・シロアリ被害・長期間の湿気・雨漏り

などによって、見えないところで木材が劣化していることがあります。

内装だけを新しくしても、構造躯体に問題が残っていれば、本当の意味で住宅を再生したことにはなりません。


断熱性能も確認する

古い木造住宅では、ほとんどの場合、断熱性能が十分ではありません。

そのため、みなさん冬に非常に寒い思いをされているはずです。

壁・床・天井や屋根にどのような断熱材が入っているのか、窓の性能はどうなのかを確認する必要があります。

また、実際に住んでいる方から、

「冬の朝が寒い」

「夏は2階が暑い」

「窓に結露する」

「浴室が寒い」

といった住み心地を聞くことも重要です。

性能だけでなく、実際の暮らしの中で何に困っているのかもとても大切なポイントです。


2.調査結果から「今の家」を把握する

現状調査をしたら、次に行うのが問題点の整理です。

例えば、

  • 耐震性に不安がある
  • 基礎や構造部材に問題がある
  • 屋根や外壁が劣化している
  • 断熱性能が低い
  • 窓の性能が低い
  • 水回りが老朽化している
  • 間取りが現在の暮らしに合わなくなっている

などです。

ここで重要なのは、問題が見つかったからといって、すべてを同時に改修しなければならないわけではないということです。

住宅にはそれぞれ、

  • 建物の状態
  • 家族構成
  • これからの暮らし方
  • 予算
  • 将来の計画

があります。

そのため、調査結果をもとに「何を優先するべきか」を考えていきます。

3.どこまでリノベーションするのかを決める

リノベーションというと、「家全体を新しくする」というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、必ずしもそうとは限りません。

建物の状態や予算によっては、必要な部分に絞って改修することも一つの方法です。

フルリノベーション

建物全体を対象として、

  • 耐震性の向上
  • 断熱性能の向上
  • 耐久性の改善
  • 間取りの変更
  • 内外装の更新
  • 設備の更新

などを総合的に検討します。

大きく手を入れることができるため、構造・断熱・間取りなどを一体的に計画できるメリットがあります。

しかし、予算も多くかかります。


部分リノベーション

一方で、改修する範囲を限定する方法もあります。

例えば、

  • 1階だけを改修する
  • LDKを中心に改修する
  • 水回りを更新する
  • 耐震改修を優先する
  • 断熱改修を優先する
  • 屋根や外壁などの劣化対策を優先する

といった方法です。

フルリノベーションではコストがかかりすぎるため、予算を抑えるため改修範囲を絞るわけですね。

大切なのは、

「何を優先して改善する必要があるのか」

という視点です。

そして、

「何を残し、何を変えるのか」

を決めていきます。

4.概算予算を検討する

改修する範囲が見えてきたら、概算の予算を検討します。

ここで注意したいのが、

「リノベーションなら新築より安い」とは限らない

ということです。

新築とは違い、リノベーションでは既存の建物を解体してみなければ分からない部分があります。

例えば、

  • 柱や梁の劣化
  • 基礎の状態
  • 壁の内部
  • 既存配管
  • 過去の改修部分
  • 既存部分との取り合い

などです。

さらに、既存部分を壊して撤去するための解体工事も必要になります。

そのため、リノベーションでは、調査段階で分かることと、工事を始めてから分かることがあります。

だからこそ、限られた予算をどこに使うのかを、設計の初期段階から考えることが重要です。

例えば、

「耐震性を優先する」

「断熱性能を優先する」

「水回りを優先する」

「内装はできるだけ既存を活かす」

というように、優先順位を整理していきます。

5.具体的な設計へ進む

ここまでの検討を踏まえて、具体的な設計へ進みます。

ここでは、

  • 間取り
  • 耐震計画
  • 断熱計画
  • 開口部
  • 水回り
  • 収納
  • 建具
  • 内装
  • 外装
  • 設備
  • 照明

などを決めていきます。

ただし、これらを一つずつ別々に考えるわけではありません。

例えば、間取りを大きく変更すれば、耐震計画にも影響します。

窓を大きくすれば、断熱性能や耐震性との関係も考える必要があります。

壁や天井を改修するのであれば、その機会を利用して断熱性能を高めることもできます。

つまり、リノベーションでは、構造・断熱・間取り・設備・デザインを一体的に考えることが大切です。

木造住宅のリノベーションで特に考えたい4つのこと

ここまでが、リノベーションを進める基本的な流れです。

その中でも、私は特に次の4つを重要だと考えています。

① 耐震性

まずは、地震に対して安全な住宅であること。

必要に応じて耐力壁、筋交い、接合部、基礎などを検討し、建物全体のバランスを考えながら耐震性能を高めます。


② 断熱性

次に、暑さ・寒さへの対策です。

壁、床、天井・屋根、窓などを総合的に考え、できるだけ室内の温熱環境を改善します。

断熱性能を高めることは、単に「冬暖かい家」にするだけではなく、夏の暑さや部屋ごとの温度差など、日々の住み心地にも関係します。


③ 耐久性

住宅を長く使っていくためには、耐久性も欠かせません。

雨水の浸入、湿気、結露、シロアリなどによる劣化をできるだけ防ぎ、構造躯体を長く維持できるように考えます。

耐震性や断熱性を高めるだけでなく、その性能を長く維持できる住宅にすることも重要です。


④ これからの暮らしに合った間取り

そして、性能だけでなく、そこで暮らす人の生活も考えます。

家族構成が変われば、必要な部屋数も変わります。

子どもが独立した後なら、以前は必要だった子ども部屋を別の用途に変えることもできます。

家事動線を短くしたり、収納を見直したり、将来の暮らしを考えて階段や段差を検討したりすることもできます。

リノベーションは、古い家を新しくするためだけのものではありません。

これからの暮らしに合わせて、住まいをもう一度つくり直すことでもあります。

「何を残し、何を変えるのか」がリノベーションのポイント

リノベーションを考え始めると、

「キッチンを新しくしたい」

「リビングを広くしたい」

「古い内装をきれいにしたい」

というところから考えることが多いと思います。

もちろん、それも大切なことです。

しかし、その前に、

この家は今、どのような状態なのか。

これから何年、この家で暮らしたいのか。

そのためには、何を改善する必要があるのか。

を考えてみることをお勧めします。

そして、

何を残し、何を変えるのか。

どこに予算をかけるのか。

を整理していきます。

木造住宅のリノベーションでは、古いものをすべて取り替えるのではなく、まだ使えるものを見極め、残すべきものは残し、必要なところに手を入れるという考え方も大切です。


木造住宅のリノベーションをお考えの方へ

「築年数が古いけれど、この家はまだ使えるのだろうか」

「建て替えた方がいいのか、リノベーションした方がいいのか分からない」

「耐震性や断熱性も改善したい」

「予算の中で、どこまでできるのだろう」

リノベーションを考え始めると、さまざまな疑問が出てきます。

足立和太建築設計室では、既存住宅の状態を確認し、耐震性・断熱性・耐久性・間取り・暮らし方などを総合的に検討しながら、これからの住まいを考えていきます。

「リノベーションできるかどうか分からない」という段階からでも構いません。

相談だけでも結構ですので、お気軽にご連絡ください。

お問い合わせは下記からどうぞ

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