「30代の家づくり|注文住宅はいくら?価格のリアルと予算内に収めるコツ」

「そろそろマイホームが欲しいな」と考え始める30代夫婦はとても多いです。
でも、いざ注文住宅を検討しようと思うと、

「そもそもいくらくらいかかるの?」
「うちの予算で建てられるのかな?」
「価格の内訳がよくわからない…」

と、不安や疑問が次々に出てくるのではないでしょうか。

このコラムでは、そんな30代のご夫婦に向けて、注文住宅の価格相場や費用の内訳、コストを抑える方法、依頼先の選び方までをわかりやすく解説します。
これから家づくりを始める人が「何に、どれくらいお金がかかるのか」を把握でき、安心して一歩を踏み出せる内容になっています。ぜひ最後まで読んで、理想の住まいづくりに役立ててくださいね。

目次

注文住宅の相場はどれくらい?

注文住宅の価格は、建てる場所や家の広さ、仕様によって大きく異なりますが、まずは全国平均のデータをもとに、全体のイメージをつかみましょう。

● 全国平均の建築費用(建物のみ)

区分平均費用(税込)
全国平均約3,620万円
首都圏約3,980万円
中部圏(愛知含む)約3,520万円
近畿圏約3,680万円

出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2024年度)」
※延床面積平均は約110〜120㎡(約33〜36坪)

愛知県を含む中部圏では、建物本体だけで平均3,000〜3,500万円程度がひとつの目安です。


● 土地込みの場合は?合計費用の目安

注文住宅の場合、土地を所有していない方は「土地+建物」で考える必要があります。
30代夫婦の多くが土地から探すケースが多く、以下が参考になります:

区分土地+建物の平均総額
全国平均約4,800万円
中部圏(愛知含む)約4,500万円

愛知県では、土地の価格が市街地と郊外で大きく異なり、名古屋市内では1,000万〜2,000万円前後、郊外では500万〜1,000万円台がボリュームゾーンです。

参考までに令和7年の調査では、愛知県の住宅地の平均価格は128,800円/㎡、名古屋市内では平均価格は222,300円/㎡となっています。

例えば30坪の2 階建ての家を建てる場合には、建蔽率が60%とすると土地は約85㎡必要ですから、愛知県の平均では1,100万円、名古屋市の平均では1,890万円ほど必要となる計算です。


● 実際の予算帯の目安(30代夫婦の例)

実際に30代夫婦が建てている注文住宅の価格帯としては、以下のようなケースが多いです:

  • 建物のみで2,500万〜3,000万円台(延床30坪前後)
  • 土地込みで4,000万〜4,500万円程度
  • 住宅ローン借入額は3,000万〜4,000万円前後が一般的

また、共働き世帯の場合は、月々の返済額を10万〜12万円程度に抑えたいという希望が多く、それに合わせてプランや仕様を調整する方も増えています。


● 注文住宅の価格は“幅が広い”のが特徴

注文住宅は、自由設計が魅力である一方、価格に幅があるのも特徴です。

  • ローコスト住宅(シンプル設計):建物本体 1,800万〜2,500万円
  • 中価格帯(性能・デザインのバランス型):2,500万〜3,500万円
  • 高価格帯(高性能+こだわり設計):3,500万円〜

だからこそ、「相場」を知ることがスタート地点
そしてその上で「自分たちはどこにお金をかけたいのか」を考えることが大切です。

価格の内訳とは?注文住宅の費用構成を理解しよう

注文住宅の価格は、一言で「〇〇万円です」と言い切れるものではありません。
なぜなら、実際にかかる費用は「建物」だけではなく、様々な項目で構成されているからです。

まずは注文住宅の費用全体を大きく3つに分けて見ていきましょう。


● 注文住宅の費用の3構成

費用項目内容の概要目安の割合
① 本体工事費建物そのものの建築にかかる費用約70〜80%
② 付帯工事費建物以外の工事(外構・インフラ整備など)約10〜20%
③ 諸費用契約や手続き、税金など、建築以外にかかる費用約5〜10%

✅ ① 本体工事費:注文住宅のメイン部分

注文住宅の「坪単価」にも関係する部分です。具体的には以下の工事が含まれます:

  • 建物本体の基礎・構造・屋根・外壁・断熱・内装
  • 設備(キッチン、トイレ、バス、給湯器など)
  • 建物の施工に必要な仮設工事、足場、養生など

たとえば延床面積30坪・坪単価75万円なら、2,250万円が本体工事費の目安となります。
設計のこだわりや仕様(断熱材、窓、外壁の素材)で価格が大きく変わります。


✅ ② 付帯工事費:見落とされがちな「+α」の工事

本体工事費に含まれない工事で、意外に大きな金額になることもあります。たとえば:

  • 地盤調査・地盤改良工事(必要に応じて数十万円〜数百万円)
  • 給排水や電気などの引込工事
  • 外構工事(駐車場・フェンス・アプローチなど)
  • 屋外給湯器やエアコンなどの設置工事
  • 解体費(建て替えの場合)

これらは総額で200〜500万円程度になるケースが一般的です。
また、地盤が弱い土地では「思わぬ地盤改良費」が発生する可能性もあるため、契約前の地盤調査のタイミングや内容にも注意が必要です。


✅ ③ 諸費用:建築以外にかかる“見えない出費”

家の完成までには、建物や工事以外にも多くの費用がかかります。

主な諸費用の項目:

  • 設計料(建築士に依頼する場合。工事費の10%程度)
  • 登記費用(表示登記・保存登記・抵当権設定など)
  • 住宅ローン関係の費用(保証料、事務手数料、火災保険など)
  • 印紙代や仲介手数料(土地付きの場合)
  • 引っ越し費用・仮住まい費用(建て替え時など)

これらを合計すると150万〜200万円程度+設計料が相場感です。
意外と後回しにされがちですが、「建物以外にどれだけかかるのか?」を最初に把握しておくことが、予算オーバーを防ぐカギになります。

どれくらいの性能の家が建てられる?

「注文住宅=自由設計」と聞くと、デザインばかりに目が向きがちですが、快適で長く住める家には“性能”が欠かせません。
ここでは、注文住宅でどこまで性能を高められるのか、そしてそれにどれくらいの費用がかかるのかを詳しく見ていきましょう。


● 注文住宅で考えるべき“性能”とは?

家の性能といっても、その内容は様々です。中でも以下の3つは必ず押さえておきたい基本性能です。

性能項目内容チェック指標
断熱性冬の暖かさ・夏の涼しさを保つ性能UA値(外皮平均熱貫流率)
気密性隙間からの空気の出入りをどれだけ防げるかC値(相当隙間面積)
耐震性地震に対する強さ(構造的安全性)耐震等級1〜3

✅ 断熱性(UA値):夏も冬も快適に暮らせる家に

断熱性能は「UA値(ユーエーち)」で表され、小さいほど高性能です。

地域区分(6地域=愛知など)UA値の基準
断熱等級4(旧基準)UA値 0.87以下
断熱等級5(省エネ基準)UA値 0.6以下
断熱等級6(高断熱)UA値 0.46以下
断熱等級7(超高断熱)UA値 0.26以下

たとえば、等級6以上の性能があれば、エアコン1台で全館空調が可能な設計も現実的です。
注文住宅で多いのは等級5〜6レベルで、2,500万〜3,500万円台の家でも十分可能です。

基本的には断熱等級6を目指すのが良いと思います。


✅ 気密性(C値):エアコン効率や冷暖房コストに直結

気密性は「C値」で表され、数値が小さいほど隙間が少なく、室内環境が安定します。

C値の目安性能のレベル感
5.0以上(無対策)ほぼ隙間だらけの家
2.0〜5.0一般的な建売住宅レベル
1.0以下高気密住宅。計画換気が効く
0.5以下超高気密住宅。快適さ・省エネ◎

C値0.5以下の家は、しっかりした施工管理があってこそ実現可能。
性能を重視する設計事務所や工務店なら、気密測定(中間or完成時)も実施して数値で性能を確認できます。

実際のところ、C値まで測定しているハウスメーカー、工務店は少ないと思います。逆に言えばC値まで測定している会社は性能に責任を持ったしっかりとした会社であると言えます。


✅ 耐震性:地震に強い安心の住まいを

耐震性は「耐震等級」で表され、数字が大きいほど強い構造になります。

等級内容
耐震等級1建築基準法の最低ライン
耐震等級2等級1の1.25倍の地震力に耐える
耐震等級3等級1の1.5倍の地震力に耐える。消防署レベル

30代の子育て世代であれば、将来の地震リスクを見据えて「耐震等級3」が基本と考える方が多くなっています。
特に長期優良住宅を取得する場合も、等級2以上の取得が推奨されています。


● 性能×コストのイメージ(価格帯別)

建物価格帯期待できる性能レベル
〜2,000万円断熱等級4〜5、気密C値2.0前後、耐震等級1(最低基準)
2,500万円前後断熱等級5〜6、気密C値1.0以下、耐震等級2〜3
3,000万円以上断熱等級6以上、気密C値0.5以下、耐震等級3+制振装置可

※標準的な30坪前後の住宅を想定した目安です。


性能は“後から変えられない”からこそ慎重に

注文住宅の性能は、間取りやデザインよりも優先順位が高いといわれることもあるほど。
なぜなら、断熱材や構造の性能は住み始めてからでは改善が難しいからです。

特に以下のような方は、しっかりした性能設計がおすすめです:

  • 冷暖房の光熱費を抑えたい
  • 年中快適に過ごしたい
  • 地震に強い家で安心して暮らしたい
  • 将来、家族の健康や安全も重視したい

「見た目だけでなく中身も優れた家」を建てられるのが、注文住宅の大きな魅力です。
性能をしっかり確保するためには、最初の予算配分・依頼先の選び方がとても大切になってきます。

注文住宅の価格を抑えるには?

注文住宅の魅力は、自由にプランや仕様を選べること。
ですがその分、気づかないうちに予算オーバーになってしまうこともよくあります。

ここでは、「品質を下げずに価格を抑えるための方法」を、建築士の視点からわかりやすくご紹介します。


✅ 1. 「延床面積」と「形状」をシンプルにする

まず最も効果が大きいのは、家の大きさ(延床面積)と形状です。

  • 家が大きくなれば、当然建築費も比例して増加します
  • 複雑な形状や凸凹の多いプランは、施工コスト・構造材のロスが増える

30〜32坪のコンパクトな間取り + 正方形に近い形にすることで、100〜200万円単位のコストダウンも可能になります。

ポイント:広さより「使い勝手」「動線」の工夫で快適さをカバー

建築士としてのおすすめは、極力、家の規模は抑えて、その分、性能や設備、仕上げに予算を回していところです。家の広さ感は設計上の工夫でなんとかなると考えています。


✅ 2. 設備・仕様のグレードにメリハリをつける

「全部ハイグレードに!」と選んでしまうと、どんどん予算が膨らみます。

以下のようにこだわる部分とそうでない部分に優先順位をつけるのがコツです。

設備・仕様優先したい?理由・考え方例
キッチン・水回り◯(家事のしやすさ重視なら)使いやすさ・掃除のしやすさは暮らしに直結
床材・内装△(節約可)無垢材でなくても見た目は工夫できる
窓・断熱材◎(必ず優先)後から変更不可。性能に直結
外構・庭△(後回しOK)最小限にして、住んでから整備するのも◎


✅ 3. “見積もりの中身”を正しく比較する

価格を抑えたいからといって「安い見積もり」に飛びつくのは危険です。
なぜその金額なのか?何が含まれているか?を確認しましょう。

  • A社:建物本体2,200万円(付帯工事別・諸費用別)
  • B社:建物+付帯+設計料で2,600万円(諸費用除く)

一見、A社が安く見えますが、最終的な支払総額はB社の方が納得感があることもあります。


賢い予算の抑え方は「引き算」より「選び方」

予算を抑えるというと「我慢」や「妥協」のように感じるかもしれませんが、本当に大事なのは、

「自分たちにとって何が大切かを明確にして、必要なものを選ぶ」✨

という考え方です。

長く住む家だからこそ、安さだけでなく“納得感”を大切にしたいですね。


どこに頼むのが正解?依頼先ごとの特徴を比較

注文住宅づくりのスタート地点は、「どこに依頼するか」を決めること。
依頼先によって、家のデザイン・性能・価格・自由度・アフターサービスまで大きく変わってきます。

ここでは、代表的な3つの依頼先を比較しながら、あなたの希望に合った選び方を紹介します。


✅ 代表的な依頼先はこの3つ

依頼先の種類特徴(ざっくり)
ハウスメーカーブランド力と安心感。効率的な工場生産で品質安定
地元の工務店地域密着で柔軟対応。コスパ◎
建築設計事務所設計の自由度が高く、性能やデザインも追求可能

ハウスメーカーの特徴

メリット

  • 品質の安定:部材を工場で大量生産し、施工もマニュアル化
  • 展示場で完成イメージが見られる
  • 保証・アフターサービスがしっかりしている

デメリット

  • 間取りや仕様に制約が多い(“自由設計”でも選択肢に限りあり)
  • 本体価格は安く見えても、総額は高くなることも
  • 設計士と直接話せるわけではない

向いている人

  • 完成イメージがわかりやすい方が安心
  • スピーディに家を建てたい
  • ブランドや保証を重視したい

地元の工務店の特徴

メリット

  • 柔軟な設計対応:希望に寄り添った家づくりがしやすい
  • コスパが良い(中間マージンが少ない)
  • 現場が近く、進行状況も確認しやすい

デメリット

  • 設計提案力は会社によって差が大きい
  • 担当者の力量に左右されることも
  • デザイン性に限界がある場合もある

向いている人

  • 地元で信頼できる職人と建てたい
  • 予算を重視しながらもある程度自由にしたい
  • 担当者との距離感を大事にしたい

建築設計事務所(建築家)の特徴

メリット

  • デザインや暮らし方までゼロから相談できる
  • 性能面も論理的に説明してくれる
  • 敷地条件に合わせた“唯一無二の家”が建てられる

デメリット

  • 工事費とは別に設計監理料がかかる(建築費の10%程度)
  • 相談から完成まで時間がかかる
  • 自分に合う建築家を見つける必要がある

向いている人

  • 自分たちだけの家をじっくりつくりたい
  • 暮らしのこだわりや敷地にあった家を実現したい
  • 設計にも構造・性能にもこだわりたい

依頼先別 比較早見表

項目ハウスメーカー地元工務店設計事務所
設計自由度△(制限あり)◯(柔軟に対応)◎(自由度最大)
コスト感△(高め)◎(コスパ良好)△(設計料あり)
性能・品質◯(標準化で安定)◯〜◎(業者により差)◎(性能設計も可能)
デザイン性△(規格に近い)◯(希望次第)◎(オーダーメイド)
工期の安定◎(スピーディ)◯(天候などの影響も)△(調整や監理に時間)
アフター対応◎(体制が整う)◯(地元密着)△(施工会社次第)

依頼先選びは「どんな暮らしをしたいか」から考える

価格やブランドで選ぶよりも、まず考えてほしいのは――

「自分たちはどんな暮らしを、どんな空間で、どんな考えの人と一緒に作りたいか?」

たとえば:

  • 住宅性能にこだわってパッシブな家を建てたい → 設計事務所向き
  • コストを抑えて安心できる家がほしい → 地元の信頼できる工務店
  • ブランドや見た目の安心感重視 → ハウスメーカー

建築士の視点からのアドバイス

設計事務所に相談しても、施工は工務店で行うため、設計と施工の連携を確認することも大切です

複数社に「同じ要望」で相談してみると、対応の違いや考え方の違いが明確になります

実際に建てた人の体験談・OB訪問も、選び方のヒントに

まとめ:情報と計画が30代の家づくりのカギ

30代での家づくりは、多くの方にとって人生で初めての大きな決断
住宅ローン、子育て、将来のライフプラン…さまざまな課題が重なる時期でもあります。

そんな中で失敗しないために最も大切なのが、

「正しい情報を集めること」と、「納得できる計画を立てること」

です。


情報は“鵜呑みにせず、自分たちに合うか”が大切

ネットやSNSには、住宅に関するたくさんの情報があふれています。
ですが、それが自分たちの家づくりに本当に合っているかどうかは別の話。

  • 相場は地域によっても違う
  • 性能も「何を重視するか」で変わる
  • 家族構成やライフスタイルにより優先順位は異なる

だからこそ、信頼できる専門家に相談しながら、自分たちにフィットした情報を得ることが大切です。


計画は「将来の暮らし」まで見据える

今だけを見て家を建てると、将来の変化に対応できない家になってしまうことも。

  • 子どもが成長したときの動線
  • 在宅ワークや趣味のスペース
  • 光熱費のかからない家づくり(断熱・気密・パッシブ設計)

30代で建てる家は、少なくとも20~30年後も暮らしやすいことを前提に計画したいところです。
そのためには、目の前の価格だけでなく、「性能」「暮らし方」「将来の変化」まで考えた長期視点の計画が必要です。


焦らず、でも一歩ずつ

「何から始めればいいかわからない」
「周りはどんどん家を建てている」
そんな焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。

でも、家づくりに“正解”はありません。
大切なのは、自分たちに合ったペースで、納得しながら進めていくこと

そのための最初の一歩が、正しい情報収集と、丁寧な計画づくりなのです。


家づくりは「住む箱」を手に入れることではなく、
これからの人生をどう過ごしていくかを描くプロセス

その始まりに、建築士として少しでもお手伝いできたらうれしいです。

注文住宅は、一生に一度の大きな買い物。
だからこそ「相場」「費用の内訳」「性能」「価格の抑え方」「依頼先の違い」など、基本的なポイントを押さえておくことがとても大切です。

そして、どんな家を、誰と、どう建てるのか。
この問いにじっくり向き合うことで、きっと“自分たちに本当に合った家づくり”が見えてくるはずです。


まずは気軽に相談から始めてみませんか?

足立和太建築設計室では、30代のご夫婦からのご相談を多くいただいています。
「夏は涼しく、冬は暖かい」――そんな暮らしの質を大切にした家づくりを、性能・デザインの両面からご提案しています。

  • 資金計画の進め方がわからない
  • 土地探しと家づくり、どちらが先?
  • 性能とデザイン、両立できるの?

こんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

敷地の資料があれば無料でプランのご提案もいたします。


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