窓の役割と配置のコツ

建物には必ず「窓」があります。
この「窓」は建物にはなくてはならないものではありますが、割と安直に設けられているケースが多いように思います。
窓には機能的な役割とデザイン的な役割があり、窓の果たす役割は大きいといえます。
反面、デメリットもあります。
今回は、この「窓」について考えてみたいと思います。
■窓の役割と配置のコツ
窓の役割
窓には大きく分けて2つの役割があります。
機能的な役割とデザイン的な役割です。
機能的な役割というのは以下の3つです。
- 光を取り込む(採光)
- 景色を見る(眺望)
- 風通し(通風)
そして、デザイン的な役割としては、建物のファサード(建物の正面)を決定づける、つまり建物の表情に大きな影響を及ぼすということです。
窓の形状、大きさ、配置によって建物の表情は、シンプルでカッコ良く見えたり、どこかありきたりで面白みにないもに見えたりもします。
窓の取り方で、建物の表情は一変します。
順番にみていきましょう。
機能的役割
1,光を取り込む(採光)
窓の一番の役割は、室内に太陽の光を取り込むということです。
夜が明ければ、陽が入り、日が暮れれば暗くなる。
これは健康的な生活をする上で大変重要な要素です。
建物が入り組んだ街中で住宅を建てるときは、この採光をどこから取るかが設計の大きな課題にもなります。
話がちょっと脇道にそれますが、実際にあった話で、ある会社で遅刻の常習者という人がいました。仕事が忙しいということもありますが、いつも昼過ぎの出社で、ひどいときは夕方に出社ということもありました。
いくら注意をしてもなおりません。
これでは仕事の予定もつかず、困り果てていましたが、ある時どんなところに住んでいるのかという話になり、住環境を教えてもらいました。
すると、住んでいるのは、街中のマンションですが、窓から陽は入らず、しかも窓の向こうは別のマンションの壁が見えるといいます。
そのため、カーテンは1日中閉めっぱなしということでした。
それでは昼夜の区別もつかず、とても健康的な生活は無理だろうと、そして遅刻もそれが原因ではないかとなり、引っ越しを勧めました。
そして、ほどなく陽の当たるマンションに引っ越しました。
すると、どうでしょう、その人の遅刻は治り、さらに始業時間の30分から1時間前には出社するという変わりようです。
激変ですね。
この例からも、採光は健康的な生活をおくるうえでいかに重要かということがわかります。
2,景色を見る(眺望)
窓があることで、外の景色を見ることができます。
近くに公園があればその緑を借景として部屋に取り込むこともできます。
公園が無くても、周りのロケーションから、景色のよさそうな場所があればそこに窓を設けるべきでしょう。
さらに言うなら、敷地を見た段階で、どこの景色が良いか見出し、そこに窓が設けれるようにプランニングすべきだとも言えます。
3,風通し(通風)
最近の住宅は24時間換気が義務付けれていますから、窓による換気は不要という考え方もあるかもしれませんが、窓からの換気は効果絶大です。
また、中間期などは窓をしっかり開けて外の風を感じたいものです。
気持ちいいですからね。
この時の注意点があります。
窓は1か所だけでは、風通しはできません。
必ず、2か所、できれば対角方向にあると風通しは効果的です。
デザイン的役割
窓の形状、大きさ、配置によって、建物の外観に大きな影響を与えます。
窓のデザインによって、モダンなイメージ、クラシックなイメージ、伝統的なイメージなど、様々な表情を演出することができます。
また、窓の配置によって、建物のファサードにリズムや対称性を持たせることができ、これにより、ファサードが調和のとれたデザインに見せることができるわけです。
あるいは、庭に面した大きな片引戸を壁内に引き込むことで、庭と室内とが一体化したような開放的な空間の演出をすることもできます。
このように、窓には工夫次第で様々な表情等を演出する可能性を秘めています。
窓のデメリット
窓には弱点もあり、以下のようなデメリットとなる要素もあります。
- 断熱性の低下
- 結露のリスク
- コスト
それぞれについてみていきます。
1、断熱性の低下
断熱性能は「熱貫流率(U値)」という指標で比較します。
熱貫流率とは、床、壁、窓などの部位の断熱性能を表す値です。材料1㎡において表と裏で1℃の温度差があるときに伝わる熱量をワット(W/㎡℃)で表します。この値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高くなります。
それでは、屋根、壁、窓で冬の暖房時に室内の熱が室外に逃げる割合を見てみます。
省エネ基準レベルの家での割合ですが、下図のとおりです。
註)住宅省エネルギー技術講習テキストより掲載
全体の熱損失の中で、窓からの熱損失が48%を占め最大となっています。
つまり、窓の熱貫流率が屋根、壁に対してずいぶんと低いことを示しています。
断熱性においては窓が弱点だということがわかりますねね
2,結露のリスク
最近のアルミサッシは、ほとんどの場合が、Low-Eのペアガラスになっているので、断熱性能はそれなりではありますが、枠の断熱性能が低いことが問題となります。
サッシの枠には、アルミ枠、アルミ樹脂複合枠、樹脂枠の3種類あります。
この中でアルミ枠は熱伝導率が高いので、結露リスクがとても高いといえます。また、アルミ樹脂複合枠でも、下枠は特に温度が低くなりやすいため、やはり結露リスクがあります。最も結露しにくい枠が樹脂枠となっています。
このように枠の種類によりますが、窓には結露リスクがあります。
3,コスト
窓はのコストは屋根、壁と比較しても高いといえます。
一般的なデータで、建築本体工事費において、屋根、外壁工事費の占める割合は12~13%、窓の工事費の占める割合は6~7%となっています。
一方、外壁面積に対して窓面積の占める割合は、一般的な住宅で20~25%です。
窓は、面積で見れば、外壁の1/4程度ですが、屋根まで含めればさらに割合は低くなるのに対し、コストでは50%を占めます。いかに窓のコストが高いかがわかるかと思います。
さらに、断熱性能を高めるために、ガラスをペアガラスからトリプルガラスにしたり、枠をアルミ複合枠から樹脂枠にしたりするとコストはさらに上がります。
このように窓とは高価なものですから、最小限度の窓で最も効果的な配置を考えるべきでしょう。
窓の効果的な配置のコツ
ここでは窓を配置するうえでの考え方、デザイン的効果についてまとめてみます。
内部から見たときの配置
1)計画敷地の中で、周りを見渡しどこの景色が一番良いか検討する。そこに窓が来るように計画する。
2)窓の役割の1)採光、2)眺望、3)通風の機能をよく考え、間取りを見てどの位置にどんなに役割の窓を配置するか検討する。滅多やたらに窓を設けない。
3)室内の壁に窓を設けるとき、安直に中央に配置するのではなく、上下左右のコーナーに寄せて配置する。こうすることでスッキリ見えるし、窓周囲の壁天井にも光が回り、明るくなる。
外部から見たときの配置
1)窓の位置が上下、左右でそろうように配置する。スッキリと整理された感じになる。
2)横長の窓、縦長の窓など、壁を貫くように配置する。壁が分節されメリハリ感がでる。横長な窓では浮遊感のあるデザインとなり、縦長の窓の場合は垂直性が強調され、スリムな印象になる。
3)広い壁面に、四角い窓一つ設けることでシンボリックに見える。
4)小さい窓を連続して設けるときは、外壁にリズム感が出て、軽やかな印象になる。
5)窓をコーナーに設けると、開放感が向上し、視覚的な広がり感、モダンな印象のデザインとなる。
まとめ
窓には機能的な役割とデザイン的な役割があります。
機能的な役割は
- 採光
- 眺望
- 通風
です。
デザイン的な役割は、窓の形状、大きさ、配置の仕方によって建物の表情を決定づける要素になるということです。
間取りで窓の位置を決めるときは、その窓にはどのような機能を持たせるかを考えた上で配置をし、不必要に設けてはいけません。
また、窓には以下のようなデメリットもあります。
- 断熱性の低下
- 結露のリスク
- コスト
特にコストにおいては、壁の数倍高いことになりますので、必要最小限で最も効果的に窓を設置する必要があります。
そして、窓の配置ですが、ただ、壁の中央に配置するという安直な方法ではなく、内部から見たときには光の効果、眺望の取り入れ方に注意し、外部から見たときにはデザイン的な効果を考え、内外両面から配置を検討することが非常に重要となります。