47:外壁の種類と特徴、お薦めは何。

住宅の外壁には、様々な外装材が使われています。
サイディング、金属パネル、塗り壁などいろいろな種類があります。
外装材でその住宅のイメージほぼ決まってしまいます。また、建築コストにも大きくかかわってきますので、慎重に選ばなければなりません。
今回は、この外壁の種類と特徴についてまとめてみたいと思います。
目次
■外壁の種類と特徴、お薦めは何。
外壁の種類と特徴
外壁の種類として、良く使われる外装材を表にまとめてみました。
もう少し詳しく見ていきます。
窯業系サイディング
最もよく使われる外装材です。
デザインはプレーンな無地、木目柄、タイル柄、凹凸柄など数十種類あります。
註)ニチハHPより
比較的安価な材料なので、コストを抑えた住宅、建売住宅に多く使われています。
あまりに多く使われていますので、柄や色が違えど、どの家を見ても同じようなイメージに見えてしまうのは残念なところです。
一方で、グレードの高いシリーズのタイル柄などは、本物のタイルではと間違うほどの仕上がりになっています。
註)ニチハHPより
上の写真いかがでしょうか。
凹凸感といい、色目といい本物そっくりで、高級感もありますね。
外壁にタイルを貼るのは最もグレードが高い外装の部類に入りますが、大きなタイルは経年劣化で落下するというリスクがあり、最近では一般のビルや公共建築ではほとんど使われていません。
住宅や商業建築などで、どうしても立派なタイルが貼りたいという場合は、こうしたサイディングはぴったりだと思います。
しかしながら私の個人的な意見ですが、タイルそっくりといってもやはり本物ではありませんので、商業建築は別として、住宅での使用は考えてしまいます。
やはり、一生ものの建築ですから、本物志向で行きたいと思ってしまいます。
金属サイディング
金属サイディングも良くつかわれます。
窯業系サイディングと同じように、柄もありますが、それほど多くはありません。
註)ニチハHPより
多くの場合、材料はガルバリウム鋼板が使われています。
ガルバリウム鋼板とは、鋼板の表面にアルミニウム、亜鉛、およびシリコンの合金メッキを施した材料で、一般的な亜鉛メッキ鋼板に比べて、3~6倍の寿命があります。
窯業系サイディングに比べるとコストが少し高いため、コストを抑えた建売住宅にはあまり使われていません。
また、上の右写真のように柄もありますが、多く場合、左側のようなリブ状のサイディングが使われています。
さらに、次の写真のように、ガルバリウム鋼板を加工して、横段葺きにする場合もあります。建築家が設計した家に多く見られます。
水平方向のラインが出て、陰影もつきますので、表情が豊かにまります。
このように、ガルバリウム鋼板の外壁はとても人気があるといえます。
塗り壁
塗り壁は窯業系サイディング、金属サイディングに比べると施工例は少なくなりますが、大手ハウスメーカーでこの塗り壁を採用しているところもあります。
モルタルで下地を作り、その上に仕上げ材を左官で塗ったり、塗装材を吹き付けたりして仕上げます。
表情も様々なパタンがあります。
註)アイカ工業HPより
塗り壁ならではの柔らかで、落ち着いた豊かな表情がつくれます。
また、サイディングのような目地が不要で、目地なしの広い壁面が可能となります。
施工上の注意事項は、湿式工法のため、クラックが入る恐れがありますので、下地処理など注意が必要です。
難点は、やはり手間がかりコストが高いため、施工例がそんなに多くはありません。
板張り(天然木)
外壁に天然木を張る仕様です。
板張りの外壁は、塗り壁よりさらに施工例が少ないかもしれません。特に防火指定のある地域では非常に少ないと思います。
天然木ですから、仕上がりは温かみのある表情で、贅沢な仕上材といえるのではないでしょうか。
サイディングの木目柄と比べれば、本物ですから仕上がった肌合いは全く違います。
また、使用する材料は耐水性の高いものに限られます。
代表的な材料を以下に示します。
スギ ウエスタンレッドシダー
ヒノキ ピーラー
註)マルホンHPより
都市部では、防火指定があるので、使用には注意が必要です。
天然木は可燃材なので、防火指定のある地域ではそのまま張ることはできません。
張る場合は、下地に防火構造(建設省告示仕様)の壁をつくり、その上に板を張るようにすれば施工可能です。
あるいは、コストがかなり上がりますが、防火処理をして防火構造、準耐火構造等の認定を受けた板を張る方法もあります。
タイル張り
タイル張りの壁は、豪華に見え、メンテナンスフリーのとても良い仕上げだと思います。
ただ、サイディングの説明のところで記しましたが、経年劣化による落下のリスクもあり、最近ではマンション以外ではほとんど使われていないと思います。
住宅においても、私の見る限りでは数社の大手ハウスメーカー以外ではあまり見ることはないのではないかと思います。
註)LIXIL HPより
様々なデザインがあり、色合い、陰影、素材感どれをとっても良い材料ですね。
メンテナンスフリーといいましたが、もし年数がたち汚れたとしても洗浄すれば元のきれいな表面に戻ります。また、最近ではタイル表面に焼付処理した光触媒によって、雨水で汚れを落としてしまうという優れものもあります。
ただ、難点はコストでしょうか。高級な外壁になります。
お薦めの外壁は何?
ここまで、各外壁についてみてきました。
さて、その中でお薦めの外壁は何でしょうか。
正直なところ、お好み次第というところでしょうか。
しかしながら、全く私の個人的な意見としては以下のようになります。
1,コストを抑えるなら、窯業家サイディングです。ただ、柄物は避けます。偽物っぽくなりますし、ほかの建物と似たり寄ったりとなってしまいますので、私ならプレーンな無地をお薦めします。これなら、デザイン次第で十分にかっこよい建築ができます。
2,サイディングよりもう少し予算がある場合は、ガルバリウム鋼板のリブ状のサイディングか、平板を加工して横段葺きが良いですね。無機質なガルバリウムの壁にポイントで木製の窓額縁だったり、ガラリ戸などを設けると非常に表情豊かな建築になります。
3,さらに予算が許すなら、天然木の外壁か、塗り壁とします。とても肌合いの豊かな建築が可能です。さらに、これらの壁をガルバリウムの壁とデザイン上うまく使い分けて、コストを抑えた使い方をすることもできます。いろいろな可能性がありますね。
今回は外壁のいろいろについてみてきましたが、どの材料も使い方次第でとてもいい建築にすることは可能です。
くれぐれも、安直に色分けしたり、柄を張り分けたりするような使い方だけはしないでほしいと思います。
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